「人治国家」中国の歪みを日本へ浸食させるな~IR基本方針決定先送り

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月21日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。政府が検討するIR基本方針の先送りについて解説した。

2017年12月に中国・深圳の「500ドットコム」本社を訪問した衆院議員秋元司容疑者(右から3人目)。白須賀貴樹衆院議員(左から2人目)、勝沼栄明前衆院議員(同3人目)が同行した。右端は同社副社長の肩書きで活動していたジェン・シー容疑者。 ※一部画像処理(一部人物の顔にモザイク)してます。 ※白須賀議員のフェイスブックより  写真提供:時事通信社

政府、IR基本方針の先送りを検討

政府は、カジノを含むIR(統合型リゾート施設)参入に関する基本方針の決定を先送りする方向で検討に入った。当初は1月中に決定される予定だったが、IR参入をめぐる贈収賄事件を受け、「世論や、国会審議の動向を見極める必要があると判断した」としている。

森田耕次解説委員)IRをめぐって整備地域の選定基準を盛り込んだ基本方針の決定、当初1月中としていたのを先送りする方針です。複数の政府関係者が明らかにしたもので、秋元司衆議院議員が逮捕されたIR汚職事件を受けて、世論や国会審議の動向を見極める必要があると判断したと思われますが、菅官房長官は21日午前の記者会見で次のように述べています。

 

菅官房長官)現時点では、IRの基本的なスケジュールを変更する予定はないということです。いずれにしろ、国会でもさまざまなご意見が出ていることも事実であります。そうした議論も踏まえながら、検討していきたい。

 

森田)菅官房長官はこのように述べているのですが、政府関係者のなかには「いまは無理をしたくない」という話をする人もいまして、世論の動向を睨みながらIRの整備に向けた作業を再開する時期を探るのではないかと伝わっています。

野村)IRについて旗を降ろしたわけではないのですよね。これを進めていくためには、無理なスケジュールで進めていくのではなく、国民の理解が得られるような形にしていきたいという方針だと思うのです。先日、カジノ管理委員会ができました。このカジノ管理委員会の選ばれた委員の気持ちになってみると、就任して間もないのに十分な審議もしないまま方針ができてしまうということに対して、いまの状況のなかではちょっと懸念材料があると思うのですよね。強く反対するのではないかとも思います。だから、カジノ管理委員会の人たちの声も先送りの話には影響しているのではないでしょうか。

森田)委員長が福岡高検の検事長だった人ですね。委員のなかには元警視総監もいますし、そういう方々からすれば懸念があるでしょうね。

IR誘致先を想定している山下ふ頭=2019年8月27日 横浜市 写真提供:産経新聞社

地盤を固めて確実に進めていくことが重要

野村)後になって問題が起こったときに、「何も審議しないで方針を立てたのだろう」と言われるのは望ましくありません。とにかく後になって問題提起をされないような確実な進め方をしていくのが、カジノに対する世間の不安感を払拭していく意味でも大事だという点はあると思います。

森田)基本方針というのは去年のうちに案として公表されているのですが、今回の中国企業と政治家との接触があったということで、いま伝わってきているのは基本方針のなかに例えば政務三役のような政府側の人間、担当職員とIR関連事業者の接触のルールに新たな規定をつくる案が出ているようですね。

野村)今回、中国企業からIRに関連してお金を貰った事実があった以上、そのことがIRを基礎づけている法律に歪みをもたらしていないかということを確認する必要はあると思います。それを疑われたまま、どんどん無理にごり押しをしていくと、結局最後のところでちゃぶ台返しが起こってしまいます。今回のIR汚職事件に関して問題はなかったのだ、お金を貰ったのは個人の問題だということを確認して整理をすることが大事です。疑いが残ったままだと、結局後になってから批判されるでしょう。

中国企業「500ドットコム」の本社事務所が入居する広東省深圳市のビル=12月25日(共同) 写真提供:共同通信社

日本政治に浸食していた中国~“法治より人治“の歴史

森田)中国企業が政治家にお金を渡してここまで食い込んでいることが明らかになった以上、ルールをきちんとしなければいけないということですよね。

野村)中国は最近少しずつ変わってきましたけれども、法ではなく人治と言われている部分があって、その人に口利きをしてもらうことで物事を進めてきた歴史があるのですよ。そこにはいろいろな意味でお金が介在していました。これを日本のビジネスの世界に持ち込んでもらっては困ります。我々はそうやってビジネスをやっているのではなく、きちんとしたルールの下でビジネスを行う法治国家です。そのときに、国会議員の人たちが自分の力を誇示してお金を貰うことはあってはいけないのですよ。そういうレベルの低い国会議員がいると、日本が三流になるだけの話です。しっかりと襟を正して欲しいですね。

森田)IR整備は最大3ヵ所で、横浜市や大阪府・市、和歌山県、長崎県が誘致を表明しています。自治体の計画の受付は2021年の1月4日から7月30日です。この日程案についてはまだずれていませんので、基本方針の決定とその後の日程で2020年代半ばの開業。政府としてはこれをあまり崩したくないのですね。

野村)ただ、方針が立たないと自治体は対応できません。そこは急がなければいけないと思います。

番組情報

ザ・フォーカス

火曜〜木曜 18:00-21:20

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錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。

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