
ランニングシューズ専門店の店主が「走るならいま!」と言う理由
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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

「ルナークス・ランニング・カンパニー」店主・佐藤英人さん
陽射しが春めいて来て、「ちょっと走ってみようかな?」と思う季節です。「始めるのはいまですよ!」と言うのは、埼玉県川口市でランニングシューズの専門店を営む、佐藤英人さん・51歳。
川口で生まれ育った佐藤さんは、野球が大好きな少年で、走るのは短距離よりも長距離の方が得意だったそうです。高校では陸上部のキャプテンとして、荒川土手を部員を引き連れて走っていました。

高校では陸上部のキャプテンだった佐藤さん
大学ではトライアスロンをやりたくて、体育会の自転車部に入ります。ところが練習中、居眠り運転の車に正面衝突されて、瀕死の重傷を負ってしまいます。
「もうスポーツはできないのか…」と、一時は失意のどん底でしたが、リハビリを重ね、徐々に体が動くようになりました。
悪いことばかりではなく、その病院で親身になって面倒をみてくれた看護師さんと、その後に結婚。大学で経営を学んでいた佐藤さんは、御徒町の大手スポーツ店に入社し、ここで商売の基本を叩き込まれます。

2016年にお店をオープン
「自分の店を持ちたいという夢があって独立し、まずは自宅でネット販売の輸入業を始めたんです。しかし、部屋のなかが商品の段ボールで山積みになってしまい、年ごろの娘から『私の部屋が欲しい』と言われてしまい…。こうなったら店をやるぞ! と宣言し、2016年にオープンしました」
店名は、『ルナークス・ランニング・カンパニー』。ルナークスとは造語で、「ランニング」を通じてその先の「可能性や目標」につなぐ「架け橋」になる、そんな意味が込められています。

店名には「可能性や目標」につなぐ「架け橋」に…という意味が
「欧米にはそれぞれの街に、ランニング・カンパニーと呼ばれるランニングシューズの専門店があるんですよ。魚屋さんや豆腐屋さんのように『いい靴はないかな』と、お客さんが気楽に入って来る。そんなお店をやりたかったんです」
ネット通販で欲しい物が手に入る時代…お店を始めてみると、家賃や商品の仕入れなど、月末の支払いが思った以上に大変でした。それでもお店をやりたかった理由が、佐藤さんにはあるのです。

高尾山口駅前での写真
東日本大震災から1ヵ月後、東北自動車道が復旧して、佐藤さんは友達と被災地に出かけ、「泥かき」のボランティアをしました。初めての土地で「泥かき」の手伝いをすると、住民に喜ばれ、ほぼ毎週出かけるほどやりがいを感じたそうです。
ところが川口に戻って来て、ふと振り返ると、生まれ育った川口に自分は何か地域貢献をして来たのか? と思ったそうです。
「そうだ、店を開くなら地域貢献をする店にしよう!」

「店を開くなら地域貢献がしたい」という思いがあった佐藤さん
夜8時が『ルナークス・ランニング・カンパニー』の閉店時間です。その前後になると、なぜか来店する人が増えて来ます。
実は自由参加の「グループ・ラン」、「グループ・ジョグ」、「グループ・ウォーク」を、曜日別で主催しています。入会金や参加費は一切かかりません。
1キロ6分ペースのランニング、1キロ6分半~7分のジョギング、少し早歩きのウォーキング。会社帰りに走って行くサラリーマンやOLの方々、最近は「走るのが楽しい」という小学生も増えているそうです。

走ることは楽しく、気持ちがいいことに変わっているという
「昔は『校庭10周だ!』と、バツで走らされましたよね。走るのはつらくて嫌なことでした。でもいまは『すがすがしい』、『気持ちいい』に変わって来ています。お金がかからない、健康にいい、健康寿命も伸びるし基礎代謝もアップする。走ることはとても体にいいんです。だから『走ろうかな』と思ったら、いますぐに始めてください」
海外には「ラン・フォー・ビア」という言葉があるそうです。「ビールのために走る…」という気持ちで、きょうから走ってみてはどうですか?

参加自由のイベント表
■RUNARX RUNNING COMPANY
住所:埼玉県川口市幸町3-9-26
営業時間:AM11:00~PM20:00
定休日:月曜日
TEL&FAX:048-235-0817
Mail:info@runarx.jp
ホームページ:https://www.runarx.jp