「東京の感染者3万人規模」ではきめが細かすぎる現在の「新型コロナ対応」

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東京都医師会地域医療推進委員会委員で「いとう内科クリニック」院長の伊藤大介氏が8月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス感染症「第7波」の現状について解説した。

「東京の感染者3万人規模」ではきめが細かすぎる現在の「新型コロナ対応」

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

軽症者の多いオミクロン株「BA.5」の感染者

新行市佳アナウンサー)感染拡大している新型コロナウイルス感染症のBA.5については、軽症の方が多いのかなと感じているのですが、重症化する方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

伊藤)我々のような一般の診療所においては、「軽症者が多いのではないか」というフィーリングでいます。実際に私は、1月7日から350人の陽性者を管理してきたのですが、入院された方は2人だけです。「ラゲブリオ」という治療薬を使った方は3人だけです。その方たちも元気に戻ってきています。

新行)入院された方は2名。

伊藤)一方で、病院の救急外来から見れば、実際に重症になった人たちが病院に行くわけです。そこでは開業医のレベルで軽症のトリアージをなされていて、さらに救急隊の方たちが「運ぶべきかどうか」をトリアージされ、ふるいにかけられた重症の方たちが各病院に行くのです。

新行)そこを経て。

伊藤)病院から見たら、かなり重症の人たちが多いのではないかと思いますし、感染をきっかけに持病が悪くなった人たちがたくさん受診されていると思います。病院の方たちは重症の方たちだけを対応しているので、いまは大変な状態だと思います。人数がまず多いわけですから。

新型コロナを「2類相当」から「5類」に変更すれば混乱が起こる可能性も

新行)現在、新型コロナウイルスは感染症法上の分類が2類相当ですが、これを5類にするという話も出てきています。それについてはどう捉えていらっしゃいますか?

伊藤)いずれはそうなると思います。ただし、医療体制において、いろいろなところがコロナシフトで動いています。我々で言えば検査体制、見守り体制、また薬剤師さんたちの置き配のシステムなど。さらに電子媒体による患者さんの登録や、HER-SYS(ハーシス)の運営などの仕組みを国につくってもらっています。

新行)そうですね。

伊藤)それをいきなり5類に落として、「明日からやめましょう」とすると、おそらく混乱が起こると思います。ですから、行政や国は緩やかなフェードアウトを考えているのではないでしょうか。

新行)急に変更すると混乱が生じる。

伊藤)混乱すると思います。

「東京の感染者3万人規模」ではきめが細かすぎる現在の「新型コロナ対応」

伊藤大介氏、新行市佳アナウンサー

治療薬について

新行)治療薬としては、抗体カクテル療法などが行われていたと思うのですが。

伊藤)抗体カクテル療法は病院によって温度差があり、やっているところもあるけれど、やっていないところもあります。

新行)そうなのですね。

伊藤)効果においてもジャッジが分かれますが、やっているところはあります。「ラゲブリオ」は高齢者でリスクのある人に対しては、開業医レベルで判断して使うことがあります。「パキロビッド」については、腎機能への配慮や内服の照合が必要なので、使いにくいと思っています。

「感染者3万人規模」ではきめが細かすぎる現在の新型コロナ対応

新行)コロナ対策や治療など、全体的に医師の立場からご覧になって、国の政策についてはどうお考えですか?

伊藤)国の政策はきめが細かく、車で言えばフェラーリのような仕様だと思います。本当にきめが細かい。ただし、きめが細かすぎて、感染者が2000~3000人のときであれば、このシステムはうまく稼働したと思います。

新行)2000~3000人のときには。

伊藤)ところが東京都で3万人規模の感染者数になりますと、ベースが多すぎて、どうしてもシステムからずれてしまったり、省略しなければいけない部分も出てきています。例えば入力部分や薬の宅配部分など、いろいろなところできめが細かすぎるので、3万人を超えてくるときついですね。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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