中国でスパイとして懲役受けた日本人男性が帰国 「日本も“反スパイ法”で対応すべき」と高橋洋一が警告

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数量政策学者の高橋洋一が10月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国でスパイとして懲役を受けた日中交流団体の理事長が、刑期を終え帰国したことついて解説した。

中国でスパイとして懲役受けた日本人男性が帰国 「日本も“反スパイ法”で対応すべき」と高橋洋一が警告

東方経済フォーラム全体会合で発言する中国の習近平国家主席=2018年9月12日、ロシア・ウラジオストク 写真提供:産経新聞社

スパイとして懲役を受けた日中交流団体の理事長が帰国

2016年に中国・北京で拘束され、スパイ活動に関わったとして懲役6年などの判決を言い渡された日中交流団体の理事長の男性が10月11日、刑期を終えて出所し、日本に帰国したことがわかった。中国では反スパイ法が施行された翌年の2015年以降、16人の日本人が拘束され、少なくとも9人が有罪判決を受けており、服役したあと帰国した日本人はこれで4人目となる。

飯田)交流団体の方が拘束されてしまう。

学会の招聘でも「反スパイ法」により拘束される場合がある

高橋)2014年に「反スパイ法」ができてしまいましたから、私もそれ以降は中国に行っていません。学会の招聘で行く予定があったのですが、いろいろな人に話を聞くと「危ない」と言われたので行きませんでした。学会の招聘で行っても捕まった人がいるので危ないです。

飯田)北海道大学の方が中国当局に拘束されたことがありました。

日本国内で中国批判しても「域外適用」になる

高橋)なぜ捕まったのか、理由もはっきりしないので行けません。中国の法律で、国家転覆は域外適用だと。要するに海外でそのような発言をしていても、中国では域外適用になるので、私が中国に入れば、その容疑で捕まる可能性があります。

飯田)しかし、域外適用というのは無茶苦茶な理論ですよね。

高橋)無茶苦茶ですよ。普通の国ではありません。中国国内で変な活動をしたら捕まることはありますが、日本で言っているのに域外適用されたらたまらないです。日本で中国政府を批判することは域外適用なのです。私の場合はたくさん批判しているからダメですね。

飯田)私権の侵害もいいところですよね。

相互主義として日本も「スパイ防止法」をつくって適用しても国際的には構わない

高橋)でも中国は平気なのです。だから、こういうことは相互主義でやらなくてはいけません。相互主義はこういう外交のためにあるので、中国が「反スパイ法」を施行したのであれば、日本も反スパイ法をつくって適用しても、国際的には構わないのです。

飯田)相互主義として。

高橋)しかし日本では、「反スパイ法」をつくること自体に反対する人がたくさんいます。「誰の味方をしているのか」と思います。この問題は「特定秘密保護法」のときにありました。特定秘密保護法は、本当はスパイ防止法をつくりたかったのですが、できないので仕方なく日米の情報の緊密性を保つために、公務員などを中心としてやったのですが、それでも反対がありました。

飯田)あの当時、居酒屋で少し政権批判をしても捕まるのだと言う人もいました。

高橋)そのようなプロパガンダを行うのですが、「どこの味方ですか?」ということです。すべて相互主義で行うことが最も簡単なのです。

「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」を制度化しなければ日本は世界から遅れてしまう

飯田)特定秘密保護法で、ある程度は網をかけられるようになったとはいえ、未だに研究などの部分は……。

高橋)日本も「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の制度をやらないと、世界から遅れてしまいます。

飯田)情報を扱う適格性審査。

高橋)しかし、これに対しても「ダメだ」と言う人がいるのは「なぜだ」と思います。どこの国でもやっています。

飯田)セキュリティー・クリアランスについては。

高橋)民間企業でも、秘密を扱うのであればやらなくてはいけません。日本は秘密に関してとても緩いのです。産業スパイに対しても、「不正競争防止法」くらいしかありません。

飯田)取り締まる法律がそもそもないから、取り逃がさざるを得なくなってしまう。

高橋)この手の話を真面目に議論しようとすると、それこそ海を渡ってみればいいのです。そうすれば日本の貧弱さがすぐにわかります。それでも日本がやらないというのはダメですね。

飯田)特定秘密保護法についても、もともと「国際的な水準に合わせないと条約を批准できないから」というような話もありますよね?

高橋)本当に合わせたかどうか疑問なくらい、レベルが低いのです。

中国でスパイとして懲役受けた日本人男性が帰国 「日本も“反スパイ法”で対応すべき」と高橋洋一が警告

中国共産党中央委員会統一戦線工作会議が2022年7月29、30両日、北京で開催。習近平 中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席が出席し、重要演説を行った。(北京=新華社記者/姚大偉)= 配信日: 2022年7月31日 新華社/共同通信イメージズ

中国在住邦人は10万人規模 ~ある意味の人質のようなものか

飯田)一方で中国には、未だに邦人の方々が10万人規模でいらっしゃるというような話もあります。

高橋)大変ですね。

飯田)しかし、こうなってくるとある意味の人質のようなものですね。

高橋)人質ですね。

飯田)かつて沖縄県・尖閣諸島の周辺で中国漁船が体当たりしてきた事案があって、船長を取り調べている最中に、向こうで日本のゼネコン社員の方が拘束されたことがありました。

高橋)そういうことを平気でやる国です。相互主義でなければ対抗できません。

飯田)相互主義で対抗するしかない。

高橋)向こうは非相互主義で、日本に対してはやりたい放題という感じですよね。今回帰国された日中交流団体の理事長の方は、6年間も拘束されて気の毒でした。

何かあった際の交渉は通常、相互主義で行う

飯田)未だに少なくとも16人が拘束されて、9人は有罪判決を受けているということです。

高橋)すごいですね。

飯田)諸外国であれば、こういうことをやられた場合は……。

高橋)同じようなことをやりますよ。そして、それぞれ交換しようと。相手が変なことをしたら同じように拘束して、「同じ人数だけ交換しよう」などと対策します。

飯田)確かに華為技術(ファーウェイ)の副会長がカナダで拘束されたときは、中国もカナダ人を拘束し、最終的に交渉を行いました。

高橋)交換が基本の考えです。変形型でいろいろなバリエーションはありますが、そうしなければそもそも交渉にならないでしょう。とりあえず交渉するために相互主義で考えるのが普通です。しかし、(日本で)相互主義の話をすると怒られるのです。

外国人の土地取得について規制できる法律がある

高橋)土地の話も相互主義だといつも言っています。

飯田)土地の話。

高橋)現に戦前の法律があるので、少し整備すればワークするのです。それを相互主義でやればすっきりするではないですか。

飯田)中国国内では私有を認めていないのだから。

高橋)企業の買収も認めていませんから、それに応じて行う。日本が企業の買収もできて、土地の取得もできるような国に対しては、同じようにやると。これが普通なのです。戦前につくられた法律もあります。戦後、政令をつくっていない状態になっているだけなのです。

飯田)政令でこのような事例を定めるところがないと。

高橋)それを使うことができるのです。

飯田)そうなのですね。

高橋)「政府がやるか、やらないかの話でしょう」と私はいつも言っているのですが、なかなか政令をつくりません。外交が大変になると言って。

飯田)産経新聞に土地規制法についての記事がありました。安全保障上の重要箇所を挙げたけれど、尖閣が入っていないではないかという話がありましたが、政令を出せばそれも可能だということですか?

高橋)土地法という法律があって、外国人の土地取得について規制できるのです。相互主義で行うという法律ですから、相互主義でお互いに土地の取得について対応しましょうと。法律自体は有効なのです。

飯田)いまも有効なのですね。詳細は別途、政令で定めるという。

高橋)政令がないというだけです。

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