防衛費の財源として「建設国債」が使える「これだけの理由」 青山繁晴と高橋洋一が指摘

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴と数量政策学者の高橋洋一が12月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛増税について解説した。

防衛費の財源として「建設国債」が使える「これだけの理由」 青山繁晴と高橋洋一が指摘

国家安全保障戦略など新たな「安保3文書」の閣議決定を受け、記者会見する岸田文雄首相=2022年12月16日午後7時5分、首相官邸 写真提供:産経新聞社

6年前の青山氏の予想通りの防衛費増額 ~財源についても予想通りの財務省の大増税

飯田)防衛増税についてですが、もともと安保3文書が出てきて、それに先立つような形もあり、「防衛費をどうするか」というところから増税の話が出ています。青山さんはそれを党内で議論してきた当事者でもあります。

青山)6年前に議員になり、最初に議員会館へ出たときに、防衛省の髙橋事務次官(当時)に対し、私は1期6年で辞めるつもりだったので、「6年目が終わる2022年までに防衛費を倍の10兆円にします」と言いました。

飯田)髙橋事務次官に。

青山)髙橋事務次官は全否定して帰られたのですけれども、この間お見えになったので、「そうなったでしょう」と言ったら、「なりましたね」と言われたのです。

飯田)全否定していたけれど。

青山)ただし、6年前から必ずそうなると思っていましたけれども、財源については、財務省が「それをきっかけに大増税の入り口にするだろう」と考えていました。予想通りでしたが、思っていた以上に姑息なやり方です。

「1兆円だけ足りないので国民の皆さまに負担をお願いします」と姑息な手段で仕掛けてきた財務省 ~これを許すと何もかも増税になってしまう

青山)例えば歳出改革や決算剰余金の活用など、一見積み重ねたように見えるけれども、実はいい加減な根拠を積み重ねています。最後は「1兆円だけ足りません」という。1兆円というのは、庶民にとっては大変なお金ですが、国家予算は100兆円を超えているわけですから。

飯田)国家予算は。

青山)「1兆円だけ」というようにして、少しだけ薄く、しかも常套句で「安定財源、国民の皆さまに負担をお願いします」という言い方で仕掛けてきているのです。これを許すと、やがて何もかも消費増税を含めて増税になってしまいます。

2つの大きな間違い ~国防は基本任務だから新たな追加税金を求めてはいけない

青山)総理を含めて「2つ大きな間違いがある」と言っています。1つは、国家観が違うということです。国防は基本任務なので受益者負担ではないため、新たな追加税金を求めてはいけないのです。

庶民の懐は「安定財源」か

青山)もう1つ、安定財源というのは庶民の懐ですか? 月収30万円の人は、明日も30万円なのでしょうか? 物価高もあり、みんな困っているわけです。そこに手を突っ込んで「安定財源」と言う自由民主党議員も、根幹から考え方が間違っていると思います。それを見直すよい機会です。財務省の常套句にこれ以上引っ掛からないためにも、大事なことだと思います。

財源として「建設国債」を使うことは通常のこと

飯田)高橋さんは、今回の増税の話はいかがですか?

高橋)私が安倍、菅政権でいろいろとアドバイスを求められたときに、コロナ対策で100兆円というのを行いましたが、そのときは増税していないのです。

飯田)そうですね。

高橋)当時は日本銀行を使って100兆円を用意しましたけれど、「もし景気がよくなったらどうなるのか」と安倍元総理に聞かれたことがあります。そのときは、外為特会や債務償還費などの話をして「財源がある」と言いました。

飯田)景気がよくなった場合は。

高橋)あとは「建設国債を対象経費にするのが普通です」と言いました。何でもそうなのですけれど、防衛の話ですから、将来にわたって便益があるわけです。いまだけではなく、将来にわたって便益があるものは、実は「建設国債」なのです。防衛省はないと言うのだけれども、防衛省の会計課長に財務省の人間が行っているから、予算要求がなかっただけです。

青山)その通りです。

防衛費の財源として「建設国債」が使える「これだけの理由」 青山繁晴と高橋洋一が指摘

※画像はイメージです

海上保安庁の巡視船は建設国債の対象経費

高橋)予算要求すればできます。海上保安庁は国土交通省ですけれども、国土交通省は平気で予算要求をしているから、海上保安庁の巡視船は建設国債の対象経費になっているのです。

飯田)海上保安庁の巡視船は。

高橋)「要求するか、しないかですよ」という話をしました。要求すれば海上保安庁の船が建設国債の対象経費になるのに、なぜ海上自衛隊は違うのかと聞かれたら、理論がないでしょう。

青山)ないですね。

世界では防衛費を国債で賄うのは当然のこと ~なぜ日本だけ増税なのか

高橋)将来にわたって便益のあるものは国債で対応できるという話は、ずいぶん前から言っていました。安倍さんは「防衛国債」という言い方をされましたが、これは普通です。

飯田)防衛国債。

高橋)例えば、ドイツは(国防費を)GDP比2%にするので、特別基金(約14兆円)をつくったのですが、あれは国債ですよ。

飯田)ドイツの場合。

高橋)ドイツは基本法の憲法改正が必要だったのだけれども、憲法を改正して国債で対応しています。国債が当たり前なのです。

青山)何十回も基本法を改正しています。

高橋)していますよね。ゼレンスキー大統領がインベストメントと言っていたでしょう。

飯田)投資。

高橋)インベストメントで賄う場合は、国債なのです。どこの世界でも当たり前の話をしているのに、なぜ日本だけ増税なのかと思いました。

自衛隊の艦船は建設国債を使う方向になっている ~建設国債の予算書の総則に防衛省の欄を設ければいいだけ

青山)実は防衛省・自衛隊の正面装備、例えば艦船については、建設国債を使う方向になっているのです。ついにそうなったのですが、だから余計に増税の理由がないのです。

飯田)確かに。

高橋)要するに建設国債というのは、予算書の総則のところに表があって、各省ごとに「これは建設国債」と書いてあるのです。その表に防衛省は書いていないというだけです。だから防衛省の欄を1個設けて、そこに書き込めばいいのです。

飯田)そうなのですね。

高橋)単純な話、予算総則に1表を書き込んでおくだけなのです。私は人工衛星を建設国債の対象経費にしたこともあります。人工衛星は上部を取り換えるとミサイルになるでしょう。ロジカルではそこまでできるのです。

青山)いまも北朝鮮はミサイルの実験を「人工衛星の発射実験」と言っています。

高橋)だから日本も、人工衛星は建設国債の対象経費なのです。

飯田)なるほど。

高橋)そこまでやったことがあります。建設国債の対象経費はすごく広いのですよ。便益が広く及べば全部OKなので、ぜひ青山さんをはじめ、国会議員には政治的に進めてもらいたいですね。

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