日米首脳会談 内容の濃い会談だったが、イベント性と発信力に欠けていた

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産経新聞ワシントン支局長の渡辺浩生氏が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。1月13日に行われた岸田総理と米バイデン大統領の会談について語った。

日米首脳会談 内容の濃い会談だったが、イベント性と発信力に欠けていた

2023年1月12日、日米首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202301/13usa.html)

岸田総理大臣がアメリカを訪問、バイデン大統領と会談

岸田総理大臣は1月13日、アメリカでバイデン大統領と会談を行った。共同声明では、中国や北朝鮮の動向、またロシアのウクライナ侵略に触れ、一方的な現状変更の試みに強く反対すると表明。バイデン大統領は日本の防衛力強化を称賛するとした上で、日米同盟がインド太平洋地域の平和と安全、繁栄の礎であり続けることを改めて確認した。

日本が勇気付けられる力強いメッセージをアメリカに運んでくれた

飯田)岸田総理とバイデン大統領の会談ですが、アメリカではどのように受け止められているのですか?

渡辺)今回は安保3文書の改定、防衛費のGDP2%への増強、そして反撃能力の保有に代表される日本の防衛力の強化を、岸田総理の口から直接バイデン大統領に伝えることが日本側の最大の狙いでした。

飯田)岸田総理の口から。

渡辺)それに対して、日本の決断は歴史的なことであり、それを導いた岸田首相のリーダーシップについて米国は歓迎・感謝し、高く評価しています。タイミング的にもウクライナへの侵略が長期化しており、中国の軍事力増強、台湾周辺での軍事的な威圧行為もある。そして北朝鮮による核ミサイルの脅威度が増す一方で、米国は国内での政治も非常に分断が進んでいます。そのような厳しい内外の状況のなかで、「同盟国の日本は勇気付けられる力強いメッセージをワシントンに運んでくれた」と受け止められていると感じます。

イベント性はなかったが、実務的には内容の濃い会談であった ~自然に映るバイデン大統領と岸田総理の関係

飯田)日本政府は「厚遇を受けた」とアピールしていますが、実際にバイデン・岸田関係はどのように映りましたか?

渡辺)厚遇という点では、2022年にフランスのマクロン大統領が国賓として訪米しました。そのときの豪華なもてなしや、あるいはウクライナのゼレンスキー大統領が12月に訪問しましたが、議会で非常に話題を呼んだ演説も行われました。今回はそのようなイベント性はありませんでした。共同記者会見も行われず、会談後の発信力に欠けていたのも事実だと思います。

飯田)会談後の発信力に欠けていた。

渡辺)ただ、実務的には非常に中身の濃い会談だったと思います。そして、バイデン氏と岸田氏の関係ですが、既に2022年5月の訪日、11月のカンボジアでの首脳会談に加えて、日米豪印のクアッド首脳会合、日米韓3ヵ国の会談。そしてG7、G20と、多国間の外交舞台で対話を重ねていただけに、非常に自然に映りました。何度もバイデン氏が岸田氏の肩に手を乗せて、自分よりも若い同盟国のリーダーを頼りにしているというような印象を受けました。

日本の新たな国家安全保障戦略を高く評価するバイデン大統領 ~日米安全保障条約第5条の日本の防衛に対するアメリカのコミットメントを改めて確認

ジャーナリスト・須田慎一郎)今回の会談では尖閣諸島に対して、日米安保条約がきちんと適用されるのだという確約を得ました。これについてアメリカ側ではどのような受け止め方をされているのでしょうか?

渡辺)今回、まずアメリカ側のコミットメントを強く約束する大前提として、日本の戦後の安全保障政策において、歴史的な大転換があった。この点をアメリカは非常に大きく受け止めています。過去の日本のように、米国の圧力を受けて小出しにしてきた外交安保政策の決定プロセスとは異なり、今回は日本自身がウクライナなど欧州の危機は東アジアの明日であるという危機感を持った。そのような危機感によって、能動的に意思決定がなされたことを高く評価するからこそ、日米安保第5条のアメリカのコミットメントに関して、バイデン大統領が強い言葉で約束したということが言えると思います。

「核による脅しや核戦争を許さないという強いメッセージをこの1年間、日米で訴えていこう」ということが確認された

飯田)アメリカも含めた5ヵ国歴訪は、G7議長国として行われたところもありました。「核なき世界」を岸田さんは言明していますが、厳しい安全保障状況について、バイデンさんとの間でそのような話はされたのでしょうか?

渡辺)2023年5月には広島でG7サミットがあります。そしてアメリカはアジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国です。11月にサンフランシスコでサミットも開かれますが、2023年は日米が共に歩んで、ルールに基づき民主主義の価値を共有する国際秩序を考える。また今回のウクライナ侵略では、ロシアが核兵器使用の威嚇を続けていますが、これに強く反対し、「核による脅しや核戦争を許さないという強いメッセージをこの1年間、日米で訴えていこう」という確認が、今回の会談でもなされたと思います。

米共和党の強硬右派の発言がウクライナ支援に影響する可能性も

飯田)アメリカの政治状況も少し伺いたいのですが、下院議長の選出に15回投票が行われ、ようやくマッカーシーさんが選ばれました。一方で先ほど渡辺さんからも「分断」という話がありましたが、ウクライナ支援に関しても「白紙の小切手は出さない」という発言があり、外交にも影響するのではないかと指摘されています。その辺りはいかがでしょうか?

渡辺)下院議長選出の混乱は、歴史的な混迷と言われています。その過程のなかで、共和党の最も強硬な保守派の発言力が大きく増しました。

飯田)強硬右派の。

渡辺)彼らは外交的には孤立主義で、財政支出の削減についても、「国防費も聖域ではない」と言っています。彼らの発言力が今後のアメリカの予算編成、予算案の採決に大きく影響してくる可能性があります。

飯田)そうですよね。

渡辺)最終的には、アメリカのウクライナ支援がこれまでのように継続拡大する形で続けられるのかどうか。これが主眼点になってくると、日本も含めた同盟国に対する要求も高まってくることが言えると思います。

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