田中と鳥貴・快進撃の秘密 【ひでたけのやじうま好奇心】
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けさは、今、絶好調の居酒屋チェーンのお話。
いわゆる若者の酒離れで、居酒屋業界は7年連続で売り上げが前年割れと厳しい状況が続いています。
これまでの居酒屋チェーンが廃れる中、専門店のように、一点もので勝負するお店が支持を集めています。
まずは、今月14日、わずか創業7年で東証マザーズに上場したのが串カツ専門の居酒屋チェーン「串カツ田中」。
大きなガラス窓で店内の様子を見やすくしていて、家族連れでも入りやすい、串カツが安くておいしい居酒屋さんです。
普段から、良心的な価格ですが、10月4日まで上場記念キャンペーンで串カツ全品100円(※一部適用されない時間もあります)という事もあって、連日多くのお客さんでにぎわっています。
串カツと言えば、大阪の下町の名物ですが、こちらは意外な事に第1号店は東京の世田谷。
もう1つ驚いたのがお店の名前。
てっきり「田中さん」という方が開いたお店かと思いきや、社長のお名前は貫啓二(ぬき・けいじ)さん。
では、「田中」というネーミングはどこから来たのか?と言いますと、副社長の名前です。
どういう事なのか?
大阪出身の社長の貫(ぬき)さんは、個人事業主として、大阪でバーの経営をスタート。
その間に副社長の田中さんと出会って、流行りのデザイナーズレストランや、京懐石料理屋を経営するのですが、2008年のリーマンショックで大ピンチに。
そんな時に、副社長の田中さんの頭に浮かんだのが大阪で食べ慣れた、お父さんが作ってくれたおいしい串カツ。
しかし何度作っても、味が再現出来ませんでした。
「もうダメだ。東京でビジネスは辞めて、大阪に帰ろう」と片付けをしていたところ、見つかったのがお父さんのレシピ。
このレシピ通り、作ったところ、抜群に美味しかったので、お店の名前を「串カツ田中」にして、2008年12月に、東京・世田谷に1号店をオープン。
大阪に戻る覚悟で勝負した「串カツ」が東京で大ヒットして、お店の数は120店舗を突破しています。
では、串カツ田中が東京を中心にお店を急拡大したのか?
広報の方にお話をお聞きしたところ、答えは明解でした。
※1つは「東京に美味しい串カツのお店がなかった事」。
※もう1つは、「マネをするお店を排除したかった事」。
他の美味しくない串カツのお店が増えて来たら、
「串カツ=美味しくないもの」というイメージが東京で広がってしまう為、フランチャイズ展開を開始して、猛スピードでお店を増やしたそうです。
さらに人気の秘密は2つあります。
1つは、「大阪のグルメのテーマパークのようである事」。
串カツ以外の大阪名物、牛すじ土手、かすうどんなどが味わえるので、首都圏にいながら大阪の味を堪能出来ます。
もう1つは、「楽しい仕掛けがある事」。
2つのサイコロを振って、ゾロ目が出ると、ハイボールが無料になる「チンチロリンハイボール」やじゃんけんに勝つとソフトドリンクがタダになる「お子様じゃんけんドリンク」など老若男女問わず楽しめる工夫がある事。
お店がガラス張りで入りやすくて、大阪の味が楽しめて、盛り上がる仕掛けもある。
しかも、平均客単価2,400円前後とリーズナブル。
絶好調の「串カツ田中」。
今後は、年間30店舗程度のスピードで新規出店していくという事です。
続いて、絶好調の居酒屋チェーンもう1つは、焼き鳥専門の居酒屋チェーン「鳥貴族」。
鳥貴族の最終利益は前の年に比べて7割近く増加して、過去最高益を更新。まさに絶好調。
1985年に大阪で誕生した居酒屋チェーンで2005年に東京に進出して、お店の数も500店舗近くあります。
私も先日「鳥貴族」に行ってきましたが、カップルやご家族連れが多かったです。
特徴は3つほどあります。
※「焼き鳥屋さんなのに、赤提灯がなく、テーブル席が多い」。
焼き鳥屋さんというと、赤提灯があって、カウンター席ばかりというイメージですが、鳥貴族はファミリーレストランのように、ボックス席と言われるテーブル席ばかり。女性客も目立ちました。
※「280円均一なのに、国産食材」。
ドリンク(ザ・プレミアムモルツ)やお料理(唐揚げ、チキン南蛮、通常の焼き鳥の倍ほどある90グラムの巨大な焼き鳥2串など)が280円均一という低価格でありながら、鶏肉を含めて、ほぼ100%国産食材を使っているという事。
※「電気で焼く」。
焼き鳥屋さんと言えば、職人が炭火でじっくり焼く為、職人さんの育成に時間がかかるそうですが、鳥貴族ではアルバイトの方に2ヶ月で「焼き」をマスターしてもらう為、個人差、能力の差の出づらい電気グリラーを使用しているそうです。
また、料理を提供するスピードにもこだわっていまして、注文状況を示すモニターを焼き台の近くに設置する事で、調理の作業効率を上げているという事です。
素材やメニューをしぼって、スタッフの作業を簡単にする事で、国産食材を素早く、安く提供する「鳥貴族」。
5年後の2021年には倍増の国内1,000店舗を目指すという事です。
本物志向の味を素早く、手軽に味わう事が出来る事で人気の居酒屋チェーンの「串カツ田中」と「鳥貴族」。
若者の酒離れに歯止めをかけそうな新しいスタイルの居酒屋チェーンに注目です。
9月23日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より