音楽にまつわる雑学を楽しむコラム【ザツオン】
今日はその第7回目
時の立つのは早いモノでアッと言う間に師走ももう半ば!ザツオン読者の皆さま、激走バリバリでいらっしゃいますか?
2016年のモータースポーツシーズンも閉幕いたしました。
今季F1ワールドチャンピオンを獲得したニコ・ロズベルグが、誰が予想したであろうことかの12/2に電撃引退発表!王者栄光の「カーナンバー1」をつけることなく去るなんて、あぁ。
2006年のF1デビュー以来10年走り続けた北欧のハンサム君。その紳士なドライビングテクニックに有難うございました!
と、いうことで今回のザツオンは「ジャケ車」です!
まずは!コチラの美しいアルバムジャケットからお届けしましょう。
ハンク・モブレー『A CADDY FOR DADDY』(1965年録音)
デザインの特徴であるタテ目から美女へ導く視点移動の画面構成です。
ハード・バップ武闘派テナーサクソフォン奏者、ハンク・モブレー!
トランペットにリー・モーガン、ピアノにマッコイ・タイナーを従えて、35歳でリリースしたブルー・ノート作品番号84230です。
A面1曲目、9分半にも及ぶアルバムタイトル曲も良いのですが、B面ラストの「サード・タイム・アラウンド」も…イイんですよぉ。素敵ポージング女性が乗ってもビクともしない厚鉄板のボンネット!
ミシガン州のモータータウン、デトロイト「ゼネラルモーターズ」のフルサイズラグジュアリ~セダン「キャデラック・デ・ビル」です!
めちゃめちゃカッコ良いですね!いかにも“親父のキャデラック”!“デ・ビル”は“デビル/悪魔”ではなく、フランス語の“都市”。「キャデラック・ドゥビィル」と表記する方々もいらっしゃいます。
でも…どう見ても、魔太郎が来る的な魅力のアメ車ですよね!(笑)
この1965年から「タテ四つ目ライト」なフロントデザインになった、長さ5メートル70/幅2メートル/7リッター/340馬力車です!昭和半ば生まれの私にとりまして「タテ四つ」は憧れのクルマ顔面。
ニッポンの縦目4灯「日産グロリアA30」(型式表記が大切)を、ウットリ見ていたのは夏が過ぎ風あざみな少年時代でありました!
それでは、四つ目な国産車のベストなジャケ車と言えばコレ!
『クレイジー・ケンズ・ワールド 狂剣的世界』(1998年)
1995年にリリースされた作品をリマスタリングして再発売。クレイジー・ケン・バンド、横山剣さんのソロ名義アルバムです。
そうです!あの「いすゞ」の歴史的名車「ベレット1600GT」!
♪どっから見たってコイツは妙にスペイシー♪♪
車名まんまな曲を歌っていらっしゃいましてバッチグーっ!横目4灯!三角窓!ツインカム!そうです、4・3・2ですよ!そして、砲弾型ミラー!なにもかもが昭和な世界!ボンネットがツヤ消し黒塗装ならモアベター完全無欠のジャケ車。
この「ベレット」や「フローリアン」もカッコ良かったけど「117クーペ」もメチャメチャ素敵だったなぁ、いすゞ系(遠い目)
おまけに!「いすゞ」のエンブレムは“唐獅子”のデザインですよ!フェラーリの馬やランボルギーニの牛なんか相手ではないです!義理と人情を秤にかけりゃの唐獅子牡丹!あ、ケンさん違いか。
そう言えば、その昔は「いすゞ」ってGMと提携してましたね。あぁ、美しいなぁ「四つ目」な自動車!
続いての素敵なジャケ車!日本が世界に誇る軽トラックですよ!
コチラはCooking Songsの『Cooking Song』(2016年)
「渋さ知らズ」の高橋保行サンと「片想い」の伴瀬朝彦サンが結成した双頭リーダーな6人組インディーズバンドの1stアルバム!“日常の機微をすくい取る、繊細でユニークなポップソング集”です。
ジャズ、ブルース、ファンク、ニューオリンズなどなどなど、いろいろな音楽のエッセンスが混合グツグツ調理されて素晴らしい!
驚嘆にスゴいです。完全にヌケてます。軽トラックがジャケ車になる時代が到来した2016年です。
では、やはり最後にコチラの方がジャケ車の登場です!
セロニアス・モンク『monk’s music』(1957年)
誰もが認めるモンク先生の代表的アルバムのひとつ!1曲目、53秒なホーンだけの賛美歌に始まり、「ルビー、マイ・ディア」は何度聴いてもシミジミ鳥肌です。
コールマン・ホーキンズやアート・ブレイキー、コルトレーンなど巨星たちの参加なのに…ジャケ車がコレだ!
アメリカの子供たちが最初に手にするマイカー、「ラジオ・フライヤー」の定番車「レッドワゴン」です!
この老舗玩具メーカーの創業は1917年!ということは…セロニアス・モンクと同じ年です!
先生が「レッドワゴン」をジャケ車ったのは…その理由?!えっ!まさか?!そうなの?!
ジャズ評論家の皆さま、ご教授よろしくお願いします。
そんなわけで!
カッコいいクルマのジャケット写真を考察しました。ニコ・ロズベルグが去ったメルセデスF1のシートには、一体誰が座るのか…結論は来年になりそうですね。
さて!『雑学と音楽 ザツオン』第7弾いかがでしたか?
音楽のもうひとつの楽しみ方、次回もお楽しみに♪
神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。