アナタの2017年が羽ばたく年でありますように!酉年の幕開けは鳥ジャケから【雑学と音楽 ザツオン Vol.9】

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今年も音楽にまつわる雑学を楽しむコラム【ザツオン】よろしくお願いします!

平成29年!干支は「酉年」ということで、新年の『ザツオン』事始めは…鳥ジャケです!

寒いですからね、ホットなサウンドいかがでしょうか?!
地球のウラ側のブラジルへと飛び立ちましよう!
ジョルジ・ベン『トロピカル』(1977年)。

トロピカル,ジョルジ・ベン

コチラのトロピカルバードは「ツメバケイ」でしょうか?!
コロンビア南東からブラジルのアマゾン流域に生息する60㎝な鳥。
でも、完全草食だそうなのでトンボを食べようとしてるけど…ご愛敬!
1940年リオに生まれて1963年にデビュー、1989年には “ジョルジ・ベンジョール”と改名しました。
あの永遠スタンダード「マシュ・ケ・ナーダ」を創った御本人で、「コンスタント・レイン(ショビシューバ)」も、ファンクなアレンジで再収録!
A面1曲目、オープニングを飾る「タジ・マハール」です!
ギターのカッティングとサンバのリズム!ラララ~ラララ~♪

♪遥かワンサポナタイムなインドの出来事。
ムガル帝国のシャー・ジャハーン王子は、ペルシア女性ムムターズ・マハルに一目惚れして電撃結婚!
あげまん女房のおかげかムガル帝国は栄華を極めます。しかし!ムムターズ女王は最後の子を産んで…あの世に。
第5代皇帝シャー・ジャハーンは妻の死を嘆き悲しみ、墓廟「タジ・マハール」を建設して、静かに来世を弔おうとしました。
しか~し!息子たちが王位継承争いをはじめて、父ジャハーンを幽閉!(さらに!色々あって…諸説あって…中略!)ジャハーンはムムターズを想い続けて、7年後に妻のもとに行くのでした♪♪
新年に聴く遠い異国の昔の恋物語。いいですねぇ…。

次もブラジルのアーティストです、キッラキラです!
ジャヴァン『ルース/光』(1982年)。

ジャンヴァン,ルース

アフリカ南部の密林バードな「エボシドリ」ですね!
熱帯降雨林やサバンナなどの樹木のある地域に生息。80㎝にもなる大きな鳥だそうで、尾は長め、頭上には冠羽。
緑や赤や青の光沢テッカテカな美しい羽色をしているそうです!
どうして、アフリカの鳥がブラジルの音楽家ジャヴァンに??
ブラジルにも「エボシドリ」が生息しているのかな…それはそれとして。
で、そうなんです!レコード帯でオワカリのように日本盤!
現地盤はジャヴァン御本人のポートレートなのです。
その写真は裏ジャケの真ん中で使われました!

ジャンヴァン,ルース裏

日本盤(裏面)

ジャンヴァン,ルース現地盤

現地盤

1980年代はAOR系アーティストの御本人ジャ写を日本のメーカーが、ちょっとオシャレな雰囲気写真やイラストに差し替えることありました!
ビル・ラバウンティとか、フランキー・ブルーとか、ラリー・リーとか。
ジャケット写真の差し替えが功を奏したのか否かは別として、5枚目のアルバムでジャヴァンは日本でも認知されました。
アルバム『ルース/光』はMPB(Música Popular Brasileira)、いわゆる「現代ブラジルのポップス」として大人気に!
ハーヴィー・メイソン、アーニー・ワッツ、ヒューバート・ロウズが参加。
プロデュースがロニー・フォスターという完璧なフュージョン・サウンド!
なにしろ!A面1曲目「SAMURAI」の流麗キラキラなハーモニカは、スティーヴィー・ワンダー師匠です。誰もがウットリします。
当時のオシャレな白いインテリア系“カフェバー”で流れまくりでしたね!
あ~、クルクルストローのトロピカルカクテ~ル!
あ~、カットフルーツ!あ~、ニットカーディガン!(遠い目)
失礼いたしました。2017年の新年な散歩音楽に素敵なアルバムです。

続いての酉年記念の鳥ジャケ!次はコチラです!
ハミングバード『ハミングバード』(1975年)。

ハミングバード,ハミングバード

グループ名の「ハチドリ」図柄の切手がジャケットですね。
ハミングバードはレコード帯に書いてありますとおり、第2期ジェフ・ベック・グループの5人のメンバー、ボビー・テンチ(G.Vo)、マックス・ミドルトン’(K)、クライヴ・チャーマン(B)、バーニー・アランド(G)、コンラド・イシドア(D)が結成。
当時は“クロス・オーヴァー・サウンド”と言っておりました。
全編ファンキーでマッタリでシブめで…本当にイイ感じです。
メンバーチェンジもありアルバム3枚をリリースして終了、ラスト作『DIAMOND NIGHTS/ダイアモンドの夜』(1977年)も鳥ジャケでした。

DIAMOND-NIGHTS,ハミングバード

では、自分の一番好きな鳥ジャケがコチラです!
チック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(1972年)。

chick-corea,return-to-forever

海面スレスレを自由に飛ぶ姿は「カモメ」でしょうか。
このジャケ写を見るたびに閑かで奥深い禅の境地を感じます。
安土桃山時代の天才絵師、長谷川等伯の水墨画のような。
芸術フリージャズ系のレーベル「ECM」からリリースされた大傑作!
鍵盤先生チック・コリアを中心にスタンリー・クラーク(B)、ジョー・ファレル(fl)、アイアート・モレイラ(Ds)が結成、紅一点なフローラ・プリムの歌声も爽やかです。
フェンダー・ローズの音色を聴きながら新年のドライブに最適な1枚です。

そんなわけで!
酉年の幕開けに相応しく(?!)鳥ジャケってみました。
どうぞ、アナタの2017年が羽ばたく年でありますように!
『雑学と音楽 ザツオン』第9弾いかがでしたか?
音楽のもうひとつの楽しみ方、次回もお楽しみに♪

神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。

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