2/15(水)放送のFM93AM1242ニッポン放送「垣花正とあなたとハッピー」9時のききどころでは、森永卓郎が“安倍総理とトランプ大統領の日米首脳会談の成否の鍵を握るキーマンは麻生太郎”副総理･財務大臣･内閣府特命担当大臣(金融担当)と提言！
日米首脳会談共同記者会見 安倍晋三首相とトランプ大統領 写真提供：産経新聞社
＜経済問題・麻生さんを呼んだアメリカの狙い＞
垣花）安倍総理はトランプさんに熱烈な歓迎を受けて、帰国されてからもいろいろな番組に出ていますが、森永卓郎さんにわかりやすく日米首脳会談の成果を解説いただきましょう。経済問題と安全保障問題が大きな二つのポイントだったと思うのですが、まず、経済問題、トランプ大統領から日本の円安誘導の話とか自動車産業の批判、貿易赤字の話は出なかったですね。
森永）日本は譲歩しなかったので、これをもって、ホームランだとか、満額回答獲得とかいろいろ言われたのですが、私は少し違う見方をしています。今回わかったのは、トランプ大統領のしたたかさです。
まず、日米首脳会談で何が合意されたかと言うと、トランプ大統領と安倍総理がバチバチ喧嘩することにはならなかったのですが、経済問題に関しては、今後、日本の麻生財務大臣とアメリカのペンス副大統領の間で日米経済対話という枠組みを作ってその中で話し合いをしていきましょうということになったのです。
TTPについてはアメリカは離脱するので、二国間交渉でやりましょうと、ここに大きな仕掛けというか、罠があったのだと思います。
日米首脳会談安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領の共同記者会見前に麻生太郎財務相(右)と話すマイク・ペンス米副大統領(左)2017年2月10日米ワシントンのホワイトハウス 写真提供：共同通信社
垣花）それは麻生さんを指名したことに何か意味があるのですか？
＜1985年のプラザ合意の再現が起こる？＞
森永）そうです。実はそもそも世耕さんという経済産業大臣が阿部総理の懐刀として、いつも「総理、総理～」と言っていつもついている方なのですが、その世耕さんがアメリカへ一緒に行こうとしたら「世耕来るんじゃないよ」と安倍さんに言われてしまった。
表向きはアメリカの商務長官、日本の経済産業大臣に相当する人が正式就任していないので、そのカウンターパートがいないので来なくていいと。でも、アメリカはその代わり、麻生太郎財務大臣を連れてきてくださいと言ってきたのです。麻生さんはゴルフしなかった。わざわざ日米首脳会談のためだけに、アメリカの強い要請で行ったわけです。ここを、最初から狙っていたのではないかと思うのです。
一つは、麻生さんは財務大臣ですから、財務大臣というのは為替を動かせる立場にいる。よく新聞やラジオなどで、「日銀が為替の介入に出ました」と報道されますが、日銀は実行犯です。作業をやっているのが日銀なだけで、その指示は全部財務省から飛んでいます。タイミングも金額もすべて財務省がやっています。
その財務省のトップが麻生さんなのです。だから、麻生さんを引きずり込んでおくと、「お前、円高にしろよな～」なんてトランプが言うのをダイレクトにぶつけられるという体制を作ったということですよね。
垣花）もうぶつけられている可能性もありますか？
森永）これからなので、まだです。
垣花）「あなたに行くよ」ということを示したわけですね？
森永）はい。実は1985年にNYのプラザホテルに先進五か国の財務大臣と中央銀行総裁が集まってプラザ合意というものが実施されました。この時、何が起こったかと言うと、日本が雪崩のようにアメリカに輸出するので、日本やっつけるぞということで、先進五か国集めて、為替市場の介入によって、当時240円だった為替を1年で150円、さらに1年で120円としています。私はこれを日本経済集団リンチ事件と呼んでいますが(笑)、ボッコボコにされました。
それも、この介入によってやったわけです。金融緩和だとかいろいろな経済メカニズムに沿ってやったのではなくて、意図的に、無理やり力ずくで円高に持っていくということを過去にやっているのです。レーガン政権の時代に。それは今でもやろうと思ったらできるのです。
＜狙いは米や肉？＞
垣花）繰り返されるというのが森永さんの予想ですね。
森永）そうは言っても、例えば当時と同じことが起こると為替が60円になってしまうわけです。そんなことしたら日本は壊滅してしまうし、麻生さんもそこまでは譲れない。ある程度はやられてしまうと思いますが、「為替60円は勘弁してください」とすると、「そうかいそうかい、では通商問題で譲れよ～」と来て、米とか牛肉とかあるいは薬とかアメリカの製薬会社の高い値段で保険診療の中に入れろとかいう要求をしてくる。そうすると、麻生さんは財務大臣なので、通商交渉は経済産業省がやっています。そこの役人官僚はいろいろ経験があってそれなりに強いのですが、麻生さんは直属の上司ではないので命令が行く段階でワンクッション、ツークッション入ると弱くなるわけですよ。私はそこまで見通していたのではないかなという気がします。
垣花）麻生太郎さんの交渉力に期待したいですね！
森永）期待したいのですが、どこまで強いかわからない。一時期、オタクだという評判が立っていたのですが、ゴルゴ13には詳しいのですが、どうもアニメ全般には疎いというのが…(笑)。
＜安全保障条約・日本と中国のバランスをとるトランプ＞
垣花）麻生さんの交渉力を測るのはそこですか(笑)。まあ、そういうキャラクターもお持ちだということですね(笑)。
さらに、安全保障面に行きましょう。
森永）この安全保障についても尖閣諸島が日本の施政下にあり、日米安全保障条約第5条の適応対象であるということを取ったということが今回の成果だと言われていますが、ずっとオバマ政権までも何度もアメリカが確認してきたことです。このトランプ政権のしたたかさを感じたのは、安倍総理との首脳会談する前に中国の習近平国家主席と電話会談をしています。そこでなんと言ったかというと、台湾の独立を認めない一つの中国政策を尊重しますとトランプさんは言いました。それに対して中国はトランプ大統領の発言を「称賛します」と言ったのです。
いいですか、阿部さんに会う直前に中国に電話してです。ようするに、二股をかけたとは言いませんが、全面的に日本支持で反中だということではなく、バランスをとっているのです。
垣花）もう一人の女性の影をちらつかせることによって嫉妬心を煽らせたのですね？
森永）そうです。ユーミンが作った「まちぶせ」という歌があるではないですか。見知らぬ人のラブレター見せたり、帰り道でそっと待つわ～という(笑)。
垣花）たとえが分かりやすいのですが(笑)。国レベルでそういうことなんですね？
＜したたかでクレバーなトランプ＞
森永）トランプ大統領のことを頭悪いのではないかとか、とんでもないやつではないかと言う人もいるのですが、実はそうではなくて、すごく考えていて、クレバーです。性格が悪いだけです。そして、これが一番厄介なのですが。
垣花）帰ってからの「阿部さんやったじゃない」という報道を見ると、嬉しかったのは嬉しかったのでしょう。
森永）安倍さんは嬉しかったでしょう。ハグしてもらって、一緒にゴルフもして、ご飯もごちそうしてもらって。ただ、いろいろごちそうになった後というのは、後が怖いぞというのはサラリーマン社会と一緒です。
垣花）タダより怖いものはないと言いますものねえ。森永さんは今回の日米首脳会談を見て、トランプ、ちょっとこれはなかなか手ごわいぞという結論ですね。
森永）あとは、麻生さん次第で日本がどうなるか決まります。
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