9月1日(土)、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの人気ゲーム『実況パワフルプロ野球』(通称・パワプロ)のプロプレイヤーを決定する、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」プロテスト東日本選考会が、コナミデジタルエンタテインメント本社にて開催された。
『eBASEBALL パワプロ・プロリーグ』とは、eスポーツを通して新しい野球の楽しみ方を提供し、野球ファンの拡大を目指すことを目的に、株式会社コナミデジタルエンタテインメントと一般社団法人日本野球機構(NPB)が共同で開催する、プロ野球eスポーツリーグ。NPBが統括するセントラル・リーグ6球団、パシフィック・リーグ6球団のプロ野球全12球団それぞれに、eスポーツ選手を登録し、競技タイトルを使用してペナントレースを行う新しい取り組みとなる。
今回開催されたのは、『eBASEBALL パワプロ・プロリーグ』のプロプレイヤーを選出するための第2次試験となる、東日本選考会(※西日本選考会は8月26日に開催)。実技審査や面接審査を実施し、eドラフト会議に参加する“eドラフト候補生”を決定する。9月29日(土)開催のeドラフト会議では、実際のプロ野球12球団が選手を指名し、各チームに指名された選手3名が、共にシーズンを戦う球団のチームメイトとなる。
選考会では、事前に行ったオフライン予選を勝ち抜いた約100名の選手が、対戦による実技審査と面接に臨んだ。
まず初めに行われたのは実技審査。選手たちがA〜Nの14リーグに分かれてプレイを行い、各リーグで好成績を収めた選手が、次の面接審査に進むことができる。
審査員の目が光る中、真剣な眼差しで黙々とゲームに挑む選手たち。試合中は、ピッチャーがどこにボールを投げるかが相手に分からないよう、ボールの道筋を示すにカーソルが見えないようになっており、相手の心理を読み合いながら戦うスキルが必要となる。動きが単調にならないよう巧みに位置を変えながら投げるピッチャーと、それを読みながら打ちにいくバッターの、緊迫した攻防戦が繰り広げられた。また周囲には、そんな選手たちのプレイを遠巻きに観戦する、審査員や関係者、ほかの選手たちの姿もあった。
ひとたび試合が終わると、それまで戦っていた選手たちはお互いに自然と握手を交わし、同じゲームをプレイする仲間同士楽しく談笑する場面もあった。
今回会場には、ニッポン放送のスポーツ実況やイベント司会などを数多く務める清水久嗣アナウンサーの姿も。清水アナは、小さな頃からゲームが好きでパワプロをやっていたそうで、2016年にスポーツニュース番組でパワプロを取り扱ったことをきっかけに、大会の実況を担当するようになったという。
allnightnippon.com編集部は、大会についてよく知る清水アナに、自身の視点から見た会場の様子や審査についてなど詳細を訊いた。
――本日集まっているのは、ゲーム上では有名な方々なんですか?
清水アナ:そうですね、ランキングの上から軒並み来ていらっしゃって。去年や一昨年の地方の大会でファイナリストに入った方々が、この選考会でも上位を占めている状態です。みんな顔なじみで、ゲーム上だけでなく個人同士で仲良くしている人も多いみたいですね
――会場の雰囲気はどうですか?
清水アナ:僕は選考会の最初から見させてもらったんですが、(開始直後は)大学入試か就職試験の会場かと思いました。それくらい緊張感に包まれていて、関係ない僕まで緊張してしまう感じでしたね。いつもならゲームの実況の声が聞こえているはずなのに、それを今回はオフにしているから、コントローラーのボタンを押すカチャカチャという音とゲーム内の審判の声だけが響き渡る、異様な光景でしたよ。これが2戦目3戦目になってくると、他の選手の試合を観に行く余裕も出てきて、和気藹々とした雰囲気に変わっていきましたけどね。12球団の関係者の方も、朝からずっと観ていらっしゃったので、本当にテストといった緊張感でした
――12球団の方は、審査のポイントとして、どんなところを見ていらっしゃるのでしょうか?
清水アナ:実際何人かお話を伺ったんですけど、皆さん共通で仰っているのは、実際の球団の選手にも言っていることだそうですが、ゲームのプレイヤーも選手の1人だし、「プロである以上1人の人間であれ」というところですね。単純に上手いから(eドラフト会議で)1位で指名するかっていうと、そういう風には思っていないと。あとやっぱり、うちのチームを好きでいてくれれば、それに越したことはないと仰っていました。それとTwitterなどSNSでの発信力もあると球団としてもありがたいので、元々そういうのをやっている人がいいとも話していて、いろいろな思惑があるみたいですね
――実力だけでなく、そういうところも見られているんですね
清水アナ:そうですね。それと面白かったのが、試合が早く終わると、将棋の感想戦のようなことを皆さんやっていて。試合を振り返りながらそれぞれ語っているのを見て、こうして面と向かってやるからこそ生まれたワンシーンだったかなと思います。eスポーツならではですね
自身が関係者に取材した内容も含め、大会に関わる人々の思いを語ってくれた清水アナ。この先行われるeドラフト会議もとても楽しみにしているようで、さらなる発展に期待を寄せている様子だった。
また、今回選考会に参加した1人であるえぞひぐま選手にも話を聞いた。子供の頃からパワプロが大好きだったというえぞひぐま選手は、大会前には毎日仕事終わりにプレイして練習を積んでいるそうで、実技審査では好成績を収めていた。あとに控える面接審査でアピールしたいこととして、「パワプロに掛ける情熱と、自分がどれだけNPBさんやKONAMIさんに貢献できるかを示したい」と熱い思いを語っていた。
実技審査が終了すると、A〜Nの14リーグの上位2名が面接審査に進む旨が発表された。それに加えて、各リーグの3位の中からプレーオフを勝ち進んだ5名、計33名が面接に進むことになる。
プレーオフとして実技審査が再開されると、会場に再び緊張感が戻り、選手たちは真剣な眼差しでプレイを始める。終了後には勝った方も負けた方もお互いを称え合い、それぞれの好きなチームについて話すなど親睦を深めていた。
こうして面接審査に進む33名が決定。この面接審査を通過した18名と、8月26日(日)に開催した西日本選考会の通過者18名と併せた36名の候補生が、9月29日(土)開催の「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ eドラフト会議」に進むこととなる。そして、そこから各球団が指名した各チーム3名が、晴れてプロプレイヤーとしてデビューすることとなる。
eドラフト会議に出席できる候補生は、後日発表されるとのこと。『eBASEBALL パワプロ・プロリーグ』を勝ち抜くのは誰なのか、今後どのような盛り上がりを見せていくのか、この先の展開に期待が高まる。