俳優の松重豊が、11月8日(日)に放送された、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)に出演。三谷幸喜の劇団「東京サンシャインボーイズ」旗揚げ公演から出演していた松重が、三谷から離れ、演出家・蜷川幸雄の元で経験を積んだ理由を語った。
松重:(大学を)卒業しても芝居を続けたいと思ったので、僕は蜷川幸雄さんのところに行って。当時、学費も何もいらないところに入ったんです。
戸田:三谷さんの作品にも出ていましたよね?
松重:三谷さんの作品に出ていたのは、学生の頃なんですよ。
戸田:ああ、そうなんだ!
松重:大学1年の終わりから卒業間近ぐらいまで、東京サンシャインボーイズに。三谷さんが日本大学芸術学部で、僕が明治大学の学生だったんですけどね。で、こう言っちゃなんですけど、あの当時、ウェル・メイド・プレイでちゃんと劇団として認められるような時代じゃなかったんです。
戸田:まあ、そうですね。
松重:ウェル・メイド・プレイでやりたいなんて、三谷さんは何を考えているの!? って。
戸田:そうですね、まだちょっと早いという感じですね。
松重:だから僕は、三谷幸喜さんというのは、そんなに才能がある方じゃないと思って……(笑)
戸田:あはははは(笑)
松重:早々にそこは足を洗って、「蜷川さんの所でちゃんと芝居をやります」って感じで。だから今考えると、大きな誤りをしているわけです。この人に付いて行ったら、ろくなことがないぞと思ったんで。
戸田:何の作品に出たんですか
松重:僕は旗揚げから5本出ているんですよ。三谷さん、今はもう「巨匠」って言われてね。演劇界、テレビ界、映画界を背負っている人になって。
戸田:三谷さんについて、何か印象的なこととかありました?
松重:書きはするけど、出演してもろくなことをしないっていうね! アドバイスも何も、ただ一緒にふざけている人だと思っていたから、こんな人に付いていっちゃダメだなと僕は思っていたんです(笑)
戸田:ふふふ(笑)
当時は流行らなかった複雑な台本を書いたり、悪ふざけが多かった三谷について、松重は「この人に付いて行ったらろくなことがないぞと思った」と、学生時代を回想。こうした経緯で、三谷ではなく、「口より手より先に、モノが飛んでくる」など厳しい演出家として知られる蜷川を訪問したという。今でも夢枕に出てくるほど、強烈な指導だったが「修行できたのは財産ですね」と師匠との思い出を懐かしんだ。
この他にも番組では、松重が初めて書いた小説『空洞のなかみ』の制作秘話や、俳優業への悩み事、下北沢の中華料理店で甲本ヒロトとバイトをしていたことなど、近況から懐かしいエピソードまで、時間の限り語った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。