ジャーナリストの田原総一朗が10月21日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。東京12チャンネル在籍時代、そして現在の「メディア」と「人生」を語った。
政権批判をして朝日、NHK、TBSに落ちた?
辛坊)今年87歳になられて、来年88歳ですか。お祝いされるのですか。
田原)実は、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)が、来年が35周年なのです。
辛坊)35年もやっているのですか、あの番組。へえ。じゃあ、それと合わせて米寿のお祝いもするのですか。
田原)35周年はお祝いしようと思っています。
辛坊)どうなのですか。テレビの世界に入られたのはおいくつのときでしたっけ。
田原)最初はいまのテレビ東京で。
辛坊)テレ東ですよね。東京12チャンネルと言っていたころですよね。
田原)そうです。開局の1か月前くらいに入りました。
辛坊)何をしていたのですか、
田原)ディレクター。
辛坊)手元の資料によると、1964年、東京12チャンネル開局と同時に入社。お生まれが1934年ですから、入局されたときにはもう30歳になられて。大学卒業してから何をしていたのですか。
田原)最初は岩波映画というところに入っていました。
辛坊)なるほど。
田原)で、ジャーナリストになりたいと思って、朝日新聞、NHK、TBS、ほかにも全部落ちた。
辛坊)当時、私の記憶によると、この時代の映画会社というのは花形の頂点みたいなところがあるから、よっぽど学生時代、言っても優秀だったのでしょう。
田原)いや、優秀じゃないけどね、何で朝日新聞やNHKやTBS、東京新聞落ちたかというと、面接で落ちたのです。僕は、当の政権の批判をしたのです。これがだめだった。もっと協調性がないと。
辛坊)でも、いまの時代はどうかな。それで入社試験に落ちることはないような気がするけれど。
2回逮捕されてもクビにしなかった東京12チャンネル
辛坊)でも、どうなのですか。その当時を振り返ってみて、87歳になられるいままで現役でテレビの世界にいると思っていましたか。
田原)全然。2つよかった。朝日とか、NHKとか全部落ちたでしょう。いまのテレビ東京は素晴らしいけれど、当時は三流ですよ。「番外地」と言われてた。
辛坊)そう。本当、「番外地」。
田原)まともな番組つくったら誰にも相手にされない。まず、企画を出しても絶対に通らない。まず、自分でスポンサーを見つけるのです。
辛坊)予算が、ほかのテレビ局とまったく違うのです。
田原)3分の1。
辛坊)そうですね。
田原)それで、まともなものつくったら見てくれない。と言って、NHKやTBSのつくれない番組を普通はつくれるわけがない。だって、向こうのほうが制作費が高いのだから。だから、つくれない番組は何だ?っていったら、「やばい番組」「やったら警察に捕まる番組」。
辛坊)(笑)
田原)僕、2回逮捕されているのですよ。
辛坊)え、2回逮捕されているのですか。
田原)ええ。逮捕されてもオンエアされるし、クビにならない、いい局でね。
辛坊)本当ですね。
田原)局の上の方も、まともにやったら誰にも相手にされないと思ってるから。
辛坊)それ罪名は何ですか。
田原)ええ?
辛坊)逮捕されたときの罪の名前は。
田原)1つは、警視総監宛てに爆発物を送って、奥さんが亡くなった事件(1971年 警視総監公舎爆破未遂事件)で犯人グループとして捕まった彼らの取材。私は犯人ではないと思っていたので(※編集部注:1981年に無罪確定)、警視総監公舎の前庭で彼らを取材しました。
辛坊)不法侵入か。
田原)そう、不法侵入。捕まった。
辛坊)もう1つは?
田原)木島則夫が日本テレビの番組(『ハプニングショー』)を新宿(コマ劇場前)でやっていました。それを(邪魔に感じていた)新宿のフーテン族たちをけしかけて、この番組を邪魔したの。妨害。
辛坊)威力業務妨害?
田原)それで、木島則夫たちは、何か怖いから(逃げて)、喫茶店のなかで放送しました。(その一部始終を撮っていたところ)そうしたら、淀橋警察署が来て、捕まりました。
辛坊)いまなら即クビです。
田原)両方ともオンエアもしたのです。
辛坊)いい時代ですね。
田原)いい局ですよ。すばらしい。
クビになったから、今がある
田原)その局を、また42歳でクビになった。おそらく、このときクビにならずに、60歳までやっていたら、それで終わっていたと思います。
辛坊)まあ、そうでしょうね。定年までいくと、だいたいこの業界にいてそのあともやっている人間って、私なんかは特殊なケースですから。
田原)40歳くらいでクビになったのがよかった。この人(辛坊氏)だって、いまフリーだからいいわけだ。
辛坊)フリーではないですけど、そうかもしれませんね。
田原)ヨットでアメリカに行けます。
辛坊)そうそう。それは言えます。好きなことはできる。
田原)番組でも好きなことを言っていい。
増山さやかアナウンサー)好きなこと言い放題なのです。
辛坊)いや、田原さんには言われたくないですよ(笑)。何を言っているのですか。日本でいちばん好きなことを言っている人物じゃないですか。でも、いいですね。好きなことを言って、自分の番組があって、枠があって、それで言いたい放題言って、それで死んで行ければ、もう理想的な人生ですよ。
不倫もやっていました
辛坊)どうですか、いま87歳ですが、私なんか、逆に読売テレビを辞めたときから、いつ(この仕事を)辞めようかとずっと考えているのですが、そのように物ごとを考えたことって、人生でありますか。
田原)ない。こんな面白い時代ないのよ。だって、日本の問題はいっぱいあるでしょう。
辛坊)あります。
田原)この問題と、真正面からぶつかるとこんなに面白いことはない。誰に会っても、本音で喋っている。お世辞は一切言わない。
辛坊)だからね、そういう人生は幸せだと思うわ。それで、死ぬまでテレビやりながら。もう、あれでしょう。本番中に死ぬのが夢でしょう、基本。
田原)とにかく、死ぬまで番組に(出る)。
辛坊)テレビ以外に趣味はないのですか。
田原)私、趣味がまったくないのです。
辛坊)まったくないのですか。
田原)ゴルフも麻雀も酒も飲まない。タバコも吸わない。
辛坊)酒も飲まないのですか。
田原)うん。
辛坊)若いとき女性の関係の遊びはけっこうあったでしょう。
田原)あのね、それはありました。不倫もやっていました。あなたは不倫やってない?
辛坊)やっていません!
田原)なんでやらないんだ。
辛坊)なんでやらないって、そんな無茶苦茶な。
増山)あの、お2人ともドツボにはまる前に……
田原)本当に、みんな、国民が期待しているから。こんなに言いたいこと言える人あまりいないからね。頑張ってください。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)