子どもや若者の性被害を防止するためにも「日本版DBS」を早く法案化するべき

By - NEWS ONLINE 編集部　公開：2023-07-25 　更新：2023-07-25

ジャーナリストの有本香が7月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「日本版DBS」の法案化について解説した。

※画像はイメージです

性犯罪歴の照会「日本版DBS」法案化へ

子どもや若者の性被害を防止するため、政府がまとめた緊急対策の原案が判明した。教育や保育の仕事に就く際に、性犯罪歴がないことなどの証明を求める仕組み「日本版DBS」の導入について検討を加速させ、早期の法案提出を目指すと明記された。7月26日にも関係府省庁会議で決定する。

再犯率が高い性犯罪　～本人の身体のなかにチップを埋め込むアメリカや、薬物治療を行う韓国の例も

飯田）イギリスで導入されている「DBS（ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス）」の制度を参考にしています。

有本）一刻も早く法案化するべきです。以前から私はやるべきだと申し上げてきました。性犯罪は残念ながら、改心した、更生した、あるいは罪を償ったという形で終わるのが難しい種類の犯罪であり、再犯率が極めて高いのです。

飯田）再犯率が高い。

有本）「再犯させないためにどうするのか」を真剣に考えるべきです。例えばアメリカでは、本人の身体のなかにチップを埋め込み、完全に監視するという状態をつくっていますし、韓国では薬物治療を行います。これは治療というよりも、言葉が少しきついですが化学的去勢だというようなことも言われています。多くの場合、加害者や性犯罪を起こす人は男性が多いからなのですが。

飯田）それに対する批判も出ています。

有本）なぜそれほど厳しく対処するかと言うと、再犯率が高いからです。

「性犯罪歴がある人の就職機会を阻害するのではないか」という議論の可能性も　～いろいろな権利があるなかで何を優先させるのか

有本）日本で議論になるとすると、性犯罪歴がある人の就職機会を阻害するのではないか、それが憲法違反にあたるのではないかという声が、おそらく出てくると思います。

飯田）指摘されているのは「職業選択の自由」あるいは「プライバシー権」に関わるのではないかというところですね。

有本）しかし、いくつかの権利がぶつかった場合、「何を優先させるのか」を考えるべきです。

性犯罪歴を持っている人間を制限するのが世界の流れ

飯田）この場合は子どもや若者の方の……。

有本）そちらを優先させるのは当然の話です。

飯田）基本的人権の部分ですよね。

有本）どちらを制限する必要があるかと言えば、やはり性犯罪歴のある人間を制限するのが当然ですし、それが世界の流れですよね。

飯田）しかも、すべての就職に関してではないですよね。

有本）子どもに接する部分だけですから。先ほど申し上げたように、他国の対応を見れば激しく対応しているわけです。

飯田）チップを埋め込む方法だとプライバシー権の問題になりますし、薬物治療となると、本当に人権の……。

有本）本人の基本的人権を相当損なうものになりますよね。

飯田）人格権とのバッティングになる。

被害者になり得る人を守らなくてはならない

有本）でも、やはり子どもや弱い人の安全を守り、被害者になり得る人を守らなくてはいけません。

飯田）被害者になり得る人を。

有本）6月に閉じた国会で最後の議題になった「LGBT理解増進法」でも、女性の安全をどう守っていくかについて議連が立ち上がるなど、いろいろありました。このときもそうでしたが、あまねく人の人権、あまねく人の安全を守らなくてはいけない。とりわけ弱い立場にある人、肉体的に弱い人、被害者になりやすい人を優先して守っていく形で、筋道をつけるしかないですよね。

有料の情報サービスに登録すると性犯罪歴を持った人が住んでいるかどうかの情報を得ることができるアメリカ

飯田）1つの権利を突出させてしまうと、全体のバランスがどうなのかという話になる。

有本）おかしくなりますよね。子どもや女性、若者を真っ先に守らなくては仕方がない。

飯田）子どもや女性を。

有本）イギリスには「DBS」制度があり、ある程度は抑制が効いていますが、アメリカではチップを埋め込む以外にも制度があります。個人情報の取り扱い方が日本とは違うのですが、普通の民間人でも有料の情報サービスに登録すると、例えば自分の住んでいる地域に性犯罪歴を持った人が住んでいるかどうか、情報を得ることができます。

飯田）民間人でも。

有本）それくらい性犯罪歴に関しては、社会としても厳しく対応しているのです。