ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。6月9日は、テーマは違ってもそれぞれに共感できる人間の物語を3本をご紹介しました。
その1本は、本国イギリスで新作映画初登場1位を記録した感動作『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』。
原作は、世界37カ国で刊行し、累計発行部数600万部。日本でも人気を博したレイチェル・ジョイスのベストセラー小説「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」。
定年退職し、妻のモーリーンと平凡な生活を送るハロルド・フライの元に、ある日、思いがけない手紙が届きます。差出人はかつての同僚クイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるというのです。彼にはクイーニーに会ってどうしても伝えたい“ある想い”がありました。
ハロルドは手紙の返事を出そうと家を出ますが、突然ホスピスに電話をかけ、「私が歩く限りは、生き続けてくれ」と伝言、なんと手ぶらのまま歩き始めます。ハロルドのいるイギリスの南西から、クイーニーのいる最北端のホスピスまでは800キロ。
彼の無謀な試みはやがて大きな話題となり、イギリス中に応援される縦断の旅になるのですが……。
ハロルド・フライを演じたのは、『アイリス』でアカデミー賞に輝き、以前このコーナーでもご紹介した『ゴヤの名画と優しい泥棒』のジム・ブロードベンド。
夫の行動で自分も変化していく妻のモーリーンには、大ヒットテレビシリーズ「ダウントン・アビー」ではマシューの母親役でおなじみペネロープ・ウィルトン。
夫婦が長年背負ってきた歴史が滲み出るベテランふたりの演技、本当に素晴らしかったです。
諦めていた人生を取り戻すため、大切な人の命を救うため、黙々と歩き続けるハロルドは、道中、様々な事情を抱えた人々と出逢い、さらに歩くことで初めて自分自身と向き合います。そして、彼は変わっていくのです。
その一助となるのが、美しいイギリスの景色。ハロルドが住む住宅街に始まり、行く手に広がる壮大な丘陵地と高い空、神聖な空気に包まれた大聖堂や煉瓦造りの建物が並ぶイギリスらしい街並み……一緒に歩くように私たちもゆっくりとイギリスが堪能できます。
監督は、主にテレビシリーズで活躍してきたへティ・マクドナルド。
「ハロルド・フライは、人生は変えられるということ、少しでも“信じる気持ち”があれば、幸運が舞い込んでくることもあると教えてくれる」と話していますが、自分は何を信じ、何を大切にしたいのか……ハロルドと一緒に考えたくなりました。
『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』
6月7日(金)新宿ピカデリー、
ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋 他全国公開
監督 へティ・マクドナルド
脚本・原作 レイチェル・ジョイス「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」(亀井よし子 訳 講談社文庫)
出演 ジム・ブロードベント、ペネロープ・ウィルトン
2022年|イギリス|英語|108 分|ビスタ|カラー|5.1ch5.1ch|原題The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry Fry|
日本語字幕 牧野琴子
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/haroldfry/
(C)Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022
番組情報
日曜日の朝5時から7時まで、 ひろたみゆ紀 がお送りする2時間の生放送。それぞれの朝、何かをしながらラジオに耳を傾けて頂けたら嬉しいです。あなたの日曜日の朝が、少しでも、温かく、優しく、爽やかでありますように……新しい1週間の始まり!どうぞお付き合いください。