【ニッポンチャレンジドアスリート・藤井新悟選手(車椅子バスケットボール)インタビュー(4)】
このコーナーは毎回ひとりの障がい者アスリート、チャレンジドアスリート、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを語ります。
藤井新悟(ふじいしんご)
秋田県出身。19歳の時事故で車椅子生活。その後、車椅子バスケットボールをはじめ、日本代表の主力として活躍。2004年、アテネ大会でパラリンピックに初出場。北京、ロンドン大会では代表のキャプテンを務め、リオでの4大会連続出場を決めた。宮城マックス所属。
-次こそはリベンジを。その機会がもうすぐやってくる。リオパラリンピック。去年の秋、日本はリオパラリンピック出場をかけて千葉で行われたAOZ、アジアオセアニアゾーンの最終予選に臨んだ。枠は3つ、キャプテンを藤本玲央に譲った藤井はそんな心境でこの大会に臨んだのか。
藤井 自分個人としては、このAOZ予選で切符を取れない時点で僕はもう代表のほうは引退と決めていました。なのでこのAOZ予選で3位以上を取るということだけに、フォーカスして取り組んだ大会でした。今は若い選手もたくさんいますので、少しでも思い切ったプレイができるようにアドバイスする、コミュニケーションをとるというところを自分は頑張ろうと思いました。
-日本は準決勝でオーストラリアに敗れ、3位決定戦で宿敵韓国と対戦することになった。負ければリオ行きがなくなる大一番。
藤井 予選で勝っているから安心するというような選手は一人もいませんですので、そこでよかったことを拾って、とにかく今までやってきたことを出す。僕たちはベーシックスにこだわってきましたので、基本を大事に一つ一つ戦っていこうということをお互い、もう一度確認しました。
-日本は第一クォーターでリードを許したが、第2クォーターで逆転、そのまま逃げ切り、リオ行きを決めた。笛が鳴った瞬間の心境は。
藤井 嬉しいというより、ほっとしたというのが正直なところです。
-この大会には「スラムダンク」や車椅子バスケットボールをテーマにした「リアル」の作者、漫画家の井上雄彦さんも応援に駆け付けた。実は藤井とは長い付き合いだ。
藤井 最初にお会いしたのは、Jキャンプといいます車椅子バスケットボールのはじめてまだ間もない選手だとか、健常者プレイヤーとか、そういった人たちを含めて車椅子バスケットボールを指導してくれるというキャンプがあります。そこに井上さんも参加してくれて初めてお会いしました。スラムダンク大好きでしたということを伝えまして、本当にスラムダンクを読み返していましたので、マニアック・クイズを僕が井上さんに出したんです。そしたら井上さんが答えられなかったという、そんなエピソードがありました。自分たちがやっているスポーツを本当にその名のとおり、リアルに描いてくれている、そこで少しでも僕たちのことを知ってもらえるチャンスだというのがすごくうれしかったです。
-リオ行きを決めた後、井上さんは藤井にこんな言葉をかけてくれた。
藤井 韓国に勝ってからお会いしましたら、「やったな!新悟」と、新悟と呼んできれるんですよね、井上先生は。井上先生の前でリオのキップを取れたというのは本当にうれしかったですし、これからも車椅子バスケットボールというものをいろいろな人に知ってもらえることと、そのために僕たちがまずは勝ち続けることが、まずは大事ではないかという思いで頑張りました。今までお世話になっていますし、あんまりいい報告をしたためしがないので、最後はという思いはあります。
(4月18日~22日放送分より)
『ニッポンチャレンジドアスリート』
ニッポン放送 毎週月曜~金曜 13:42~放送中
(月曜~木曜は「土屋礼央 レオなるど」内、金曜は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。