アニメ「昭和元禄落語心中」をきっかけに、アニメファンの間で広がった「実際に落語を観てみたい」という声に応えるイベント「声優落語天狗連 Supported by 昭和元禄落語心中」の四回目公演が、昨日5月22日(日)に浅草東洋館で開催された。
アニメ「昭和元禄落語心中」をきっかけに、アニメファンの間で広がった「実際に落語を観てみたい」という声に応えるイベント「声優落語天狗連 Supported by 昭和元禄落語心中」。落語研究会出身のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記と、アニメ好きにして落語研究会出身の学者芸人・サンキュータツオがダブルMCを務め、これまで大盛況を収めている。
この「声優落語天狗連」は今年1月にスタートした。
「第一回」は今年1月23日に江戸総鎮守 神田明神 明神会館B1で開催され、声優・小林ゆうさんのトークや、入船亭扇辰師匠による落語「鰍沢」を披露。
「第二回」は、2月21日に同じく神田明神で開催され、アニメ「昭和元禄落語心中」第8話の先行上映、声優・石井マークさんによる「声優落語チャレンジ」や、立川志ら乃師匠による落語「時そば」で盛り上がった。
「第三回」は、としまミュージアムの一環として豊島公会堂を会場にして開催され、ゲストに助六役・山寺宏一さんを迎えてのトークショー、「若手声優・阿座上洋平さんによる声優落語チャレンジ」、春風亭一之輔師匠による落語「居残り左平次」を披露した。
そして四回目となる公演が、昨日5月22日(日)に『声優落語天狗連 第四回 supported by 昭和元禄落語心中』と題して、浅草東洋館にて開催された。
今回、会場をなった「浅草東洋館」は、漫才・漫談などを中心とした演芸場で、建物を同じくする姉妹館・浅草演芸ホール(落語中心の寄席)とともに歴史ある浅草お笑い文化を担う存在。かつてストリップ劇場として営業されていたことや、ビートたけしさんが芸人としての第一歩を踏み出した劇場としても知られている。この伝統ある演芸場「浅草東洋館」での開催ということもあって、発起人である吉田尚記アナウンサーは大興奮!
会場に集まったのは、落語界には程遠いと思われる若い女性を中心とした約300名のお客さま。同時間帯では「笑点」の司会・桂歌丸師匠のラスト出演がオンエアされ、その司会のバトンを受け取ることが決まったのが春風亭昇太師匠であることが発表されていた。そんな歴史的なニュースが飛び交う中、「この季節の浅草六区は気持ちいいでしょ~!!」と、良く晴れた春の浅草の雰囲気と、このイベントを心から楽しんでいる吉田アナの浮かれた第一声でイベントはスタート。
定番となっている若手声優が落語に挑戦する企画「声優落語チャレンジ」には、アニメ「ワンパンマン」で主人公・サイタマを演じた古川慎さんが出演。1ヶ月にわたって特訓した落語「真田小僧」を披露した。小さな演芸場だからこその「生声が届く距離」、そして声優ならではの「強く伸びやかに響き渡る美声」、そして何より、「熱のこもった好演」に、会場全体が高座にクギ付けとなった。
「伝わっているならそれでOK!セリフなんか無くてもいい!」という、落語指導を受けた立川志ら乃師匠からの教え通り、セリフだけでなく身振り手振り、そして豊かな表情で大いに会場を沸かせた。
そして、イベントのトリを飾るのは人気落語家・隅田川馬石師匠。アニメ『昭和元禄落語心中』に登場しておなじみとなった「野ざらし」を口演。テンポの良い語り口とダイナミックな動き、そしてクライマックスに向かって畳みかけてくる笑いの波。会場に集まったお客のほとんどが落語初体験であったにも関わらず、噺家とお客が一体となってドッと沸く空気の塊の連続が印象的だった。
まさに、アニメ界と落語界のコラボレーション。現代と昭和の時空を越えた笑いの波、そして噺家とお客によるこの瞬間にしか起こりえない幸福な空気が存在していた。エンディングでは、隅田川馬石師匠が「これまでで一番ウケたかもしれない(笑)」と、お客と共有した会場のあたたかな空気を振り返った。
『声優落語天狗連 Supported by 昭和元禄落語心中・第五回』が、再来月7月に同じく浅草東洋館にて開催されることも発表された。アニメファン落語ファンだけでなく、「いちど落語を観てみたい!」と思っている落語初心者のアナタにおススメしたいイベントだ。