昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード(ドーナツ盤)。
デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。
あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡りレコードを集めている平成世代も増えているようです。そんなアナタのために、ドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が「ぜひ手元に置きたい一枚」をアーティスト別・ジャンル別にご紹介していきます。
1980年にデビューして、今年で36年。
今なお当時のように脚が上がるのは驚異的ですが、今回は80年代男性アイドルの象徴・トシちゃんこと、田原俊彦のシングルをゲットしていきましょう。
【ビギナー向け】・・・『哀愁でいと』(1980)
まず最初に押さえておきたいのは、なんといってもデビュー曲です。
レイフ・ギャレット『New York City Night』のカバーですが、サビの「♪ニューヨーク・シティ・ナイト」を「♪バイバイッ 哀愁でいと」というフレーズに置き換えたところが素晴らしい。
郷ひろみの「♪アチチ〜アチ〜」と並ぶ“超訳”です。
そんな訳で歌っても、まったく違和感がないのは、トシちゃんのキャラクター故でしょう。
この盤には、押さえておきたい理由がもう一つあります。
それはB面(=カップリング曲のことです)に、たのきんトリオの盟友、マッチ&ヨッちゃん(近藤真彦・野村義男)が参加しているのです!
二人がまだデビュー前で、別なレーベルと契約していなかったので実現した夢の共演ですが、歌というよりほとんどが語り。
青春ドラマそのままの、三人のクサいセリフがたまりません。
ぜひ手に入れて聴いてみてください。
なお、このレコードはいきなりヒットしたので出物が多く、割と簡単に手に入ります。
【上級者向け】・・・『抱きしめてTONIGHT』(1988)
実質昭和ラストイヤーの88年(昭和63年)にリリースされたこの曲、トシちゃん主演のドラマ『教師びんびん物語』の主題歌でもありました。
今でもライヴでは欠かせないビッグヒットになりましたが、実はこの曲のドーナツ盤は、意外と高価なのです。
当時はちょうど、レコードがCDに切り替わった時期。
トシちゃんが初めてCDシングルをリリースしたのも、この曲からでした。
従って出物が少なく、もし見付けたらすぐに買うことをおススメします。
『教師びんびん物語II』の主題歌『ごめんよ涙』(1989)とセットにして持っておきたいですね。
ちなみに、ネットオークションでは1,000円〜2,000円ほどで取引されています。
【その他、押さえておきたい一枚】
『NINJIN娘』(1982)
「ひらけ!ポンキッキ」の今月の歌に採用。
特典としてトシちゃんのロゴが入った赤いビニール袋に入れて販売された。『夏ざかり ほの字組』(1985)
同じキャニオンレコード所属、研ナオコとの異色のデュエットソング。
「Toshi & Naoko」名義でリリース。
【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。