本日はザ・コレクターズのリーダー、加藤ひさしの誕生日
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【大人のMusic Calendar】
僕がコレクターズのリーダー加藤ひさしを初めて見たのはネオGSのコンサートで会場は新宿のJAM、多分1987 年頃だったと思う。
当時はネオGSというネーミングから、かなりキワモノ的なイベントと捉えられていたようだが、今思えばいくつもの才能のある若者達のバンドが出ていた。ザ・ファントムギフト、 ヒッピー・ヒッピー・シェイクス、ザ・ストライクス、 ザ・コレクターズ、田島貴男がいたレッド・カーテン、ワウワウ・ヒッピーズ(後のヒックスヴィルの木暮晋也、GREAT3の高桑圭、白根賢一も在籍)、マディ・ランプスといったバンドが競い合って演奏していた。どのバンドも音楽が好きでたまらないという感じがして負けるものかというやる気と熱気がバンドの音に感じられた。
当時僕はシオンというアーティストを連れて自分の麻田事務所を立ち上げたばかりだった。幾つかのシンガーやバンドをやってほしいという話が幾つかのレコード会社からあったが僕は基本的に良い楽曲が作れるシンガーやグループでなければやるつもりがなかった。
そんななかで加藤が率いるコレクターズは、グループサウンドというよりザ・フーやスモールフェイセズの様なイギリスのモッズバンドを思わせるサウンドと加藤が作る洋楽風の曲が飛び抜けてよかった。又バンドのトータル的なビジュワルもモッズ風で、まるでイギリスからやってきたような雰囲気があった。それにフロントの二人の背が高く、カッコ良くて他のバンドにない存在感が感じられた。自分がやるのはこういうバンドだ、すぐにでもマネージングしたいと思った。
だが当時、加藤はすでに就職をしていて結婚もしたいしで、バンドで生活していく決心がつかなかった。僕自身もいかに自分が気に入ったからといっても、立ち上げたばかりで実績のない事務所で、まだ売れてないバンドに大手事務所のようにお金をかけて売り込むようなことはできないしとずいぶん悩んだ。
でも加藤と話をしてると音楽はもとより車やバイク、自転車(当時は僕はまだ自転車にはまっていなかったが)と趣味の部分も僕と共通する部分があって、やっぱりやってみようということで幾つか作戦を考えた。
まずはシオンで立ち上げたBAIDISレーベルでレコードデビューをさせる。BAIDISの親会社のテイチクはそれまで歌謡曲でビジネスをやってきた会社で若いスタッフは新しいレーベルで新しいアーティストをやることに燃えていた。
また加藤の経済的な部分はフジパシフィック音楽出版の朝妻さんに相談して加藤をフジパの専属作家にしてもらった。それとメジャーデビューしたら僕がいつも外タレのライブをやっていた渋谷のライブ・インでワンマンライブをやる。
ジャケットは大滝くんのジャケットをやっている友人の中山泰氏に頼む。レコードのプロデュースはこれも友人の和田博巳くんにお願いした。
といったアイディアを元に事務所は小さいけど、コレクターズは晴れてメジャーデビューをした。
その後僕は自分のSXSWという仕事のためコレクターズをやめた。加藤はリーダーとしてよくコレクターズをここまで引っ張ってきたと思う。今や自分たちで事務所を運営し、武道館でのコンサートも成功させたコレクターズ。加藤には、これからもあのジャムでの気持ちを忘れずに頑張ってほしいと思う。
本日、11月22日は加藤ひさしの57歳の誕生日。おめでとう。
【著者】麻田浩(あさだ・ひろし):1963年 明治学院大学でマイク真木等とモダンフォークカルテット(MFQ)を結成。カレッジフォークを代表する人気バンドになる。1967年 単身1年間のアメリカ旅行。アメリカ各地を回り、ボブ・ディランやジョニ・ミッチェルなど数多くのコンサートを観る。
1971年 CBSソニーからレコードをリリースし、コンサート活動を行う。1976年 株式会社トムズ・キャビン・プロダクションを設立。以後エリック・アンダーソン、トム・ウエイツやエルビス・コステロ、XTC、トーキング・ヘッズ等のNew Waveアーティストのコンサートなどを数多く手掛ける。1980年 ジェニカ・ミュージック入社。ゴダイゴ、ルースターズなどのブッキングを担当。1983年 株式会社スマッシュ設立に参加。再び外国人アーティストの招へいの仕事をする。ザ・バンド、ラウンジ・リザーズ、ドクター・ジョン、ジェームス・ブラウン等を招へい。1986年 株式会社麻田事務所設立。シオン、コレクターズ、越美晴、ピチカート・ファイブ等のマネージング及び外国人アーティストの招へいを行う。SXSW-ASIAを立ち上げ、日本人アーティストの海外進出を仕事として始める。1994年 セブンゴッド・プロダクション設立。ロリータ18号、ペティ・ブーカのマネージング及びトムス・キャビンの名前で外国人アーティストのコンサートを再開。現在に至る。