本日、3月13日は佐野元春の誕生日。63歳となる

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本日、3月13日は佐野元春の誕生日。63歳となる
本日、3月13日は、佐野元春の誕生日。1956年、東京は下町生まれ。63歳になる。佐野元春は1980年3月21日にシングル「アンジェリーナ」(EPIC・ソニー)でデビュー。ソロ・アーティストとして、世に出たが、彼の側にはいつも“仲間”がいた。彼らとともにレコーディングやライブ活動を行い、自らの音楽を形作っている。ボブ・ディランのザ・バンド、ブルース・スプリングスティーンのEストリート・バンド、グラハム・パーカーのザ・ルーモア、エルヴィス・コステロのアトラクションズとでもいうべき存在が、佐野にとってのTHE HEARTLAND(ザ・ハートランド)、THE HOBO KING BAND(ザ・ホーボーキング・バンド)、THE COYOTE BAND(ザ・コヨーテバンド)である。

初期の佐野のファンにとって忘れられないのがザ・ハートランドだろう。伊藤銀次(G)や小野田清文(B)、古田たかし(Dr)、阿部吉剛(Kb)、西本明(Kb)、ダディ柴田(Sax)という面々の雄姿は多くの方の目に焼き付いている。佐野はハートランドのことをバンド結成時、「俺たちは "がんばれベアーズ"だ。今はヘタクソでも、いつか大きな舞台で優勝しよう!」と語っている。ギターが伊藤から横内タケ、そして長田進へ、さらにアディショナル・ミュージシャンとして里村美和(Perc)、ボーン助谷、石垣三十郎らによるホーン・セクション、TOKYO Be-Bopが加わるなど、メンバー・チェンジもあったが、ハートランドはともに頂きを目指し、1994年9月15日に神奈川・横浜スタジオという“大きな舞台”で行なわれた『Land Ho!』を最後に惜しまれながら解散している。

佐野がザ・ハートランドの次に結成したのがホーボーキング・バンド、当初は“INTERNATIONAL HOBO KING BAND(インターナショナル・ホーボーキング・バンド)”と命名されていた。同バンドは1996年7月にリリースされたアルバム『フルーツ』のレコーディング・セッションから生まれている。同作のレコーディングに参加した数多のミュージシャンの中から佐橋佳幸(G)、井上富雄(B)、小田原豊(Dr)、Dr.kyOn(Kb)、西本明(Kb)が選ばれる。西本はハートランドから続けての参加となった。

佐野元春とホーボーキング・バンドはアルバムのリリースを待たず、1996年1月18 日の宮城県民会館から同年2月27日の神奈川県民会館まで、全国8か所全13公演の『INTERNATIONAL HOBO KING TOUR』に出る。同ツアーにはSKAPARA HORNS(ホーン・セクション)、メロディー・セクストン(Cho)も帯同している。

幸いにも同ツアーの全公演に同行することができた。その間、彼らはバッキング・バンドなのか、バンドなのかを自問自答していた。終演後、メンバー同士の飲み会が度々、開催されたが、そんな言葉が当初は出ていた。また、ハートランドで作ってきた音をホーボーキング・バンドで再現することにも呻吟していた。そんな彼らだったが、ツアー後半では楽屋での雑談やリハーサルを通して、当日の曲順や選曲、編曲が変わっていった。最終公演ではこれまでの曲順や選曲を開演直前に大幅に変更、照明プランなども変更しなければならないが、予定調和を嫌い、フォーマットを大胆に刷新することに挑む。そして、それを見事なまでにやりきった。それはバンドとしての確信を掴んでいった証でもある。また、同ツアーで、開演前に楽屋でメンバーが聞いていたのはアメリカのルーツ・ミュージックだった。佐橋やkyOnなど、カントリーやブルース、フォークなど、ルーツ・ミュージックのオーソリティだが、他のメンバーも流行りものではなく、ルーツ・ミュージック系をセレクション、自らの音楽的共通項を確認する作業となった。そんな確認作業と共同作業の成果がアメリカン・ロックの聖地ウッドストックへ赴き、ザ・バンドやジャニス・ジョプリンを手掛けたジョン・サイモンをプロデューサーに迎え、作り上げたアルバム『THE BARN』(1997年12月発売)である。その後、彼らはアメリカのジャム・ミュージックにインスパイアされた『THE SUN』(2004年7月発売) をリリースしている。

佐野は2005年12月、Mellowhead、プレイグスの深沼元昭(G)、Nona Reevesの小松シゲル(Dr.)、Great3の高桑圭(B)という佐野の音楽に影響を受けた新世代のミュージシャンを迎え、3トラックEP「星の下 路の上」をリリース。コヨーテバンドが結成される契機となる。2007年6月にアルバム『COYOTE』をリリース。コヨーテバンドにシュローダー・ヘッズの渡辺シュンスケ(Kb)、さらにプレクトラムの藤田顕(G)を加え、コヨーテバンドとの活動は既に13年になる。これまでに『COYOTE』を始め、『ZOOEY』(2013年3月発売)、『BLOOD MOON』(2015年7月発売) 、『MANIJU(マニジュ)』(2017年7月発売)という傑作をリリースしている。昨2018年も同バンドと6大都市を巡る全国ツアーを行い、4月1日、東京ドームシティ・ホールでの同ツアーの最終公演を収録した映像作品『2018「MANIJU」ツアー・ファイナル = 東京ドームシティ・ホール』をリリースした。

実は、コヨーテバンドとの活動とともにホーボーキング・バンドとの活動も継続している。“元春クラシックを現在(いま)に鳴らせ!”をテーマにセルフ・カバー・アルバム『月と専制君主』(2011年1月発売 )、『自由の岸辺』 (2018年5月発売)をリリースしている。昨2018年3月にはアナログレコード+Blu-ray+DVD+写真集という『THE BARN』のBOXセット『THE BARN DELUXE EDITION』もリリースされ、同作に収録された映像作品の爆音上映会も行われた。また、長田進(G)、井上富雄(B)、Dr.kyOn(Kb)、古田たかし(Dr)というラインナップで佐野元春 & ザ・ホーボーキング・バンドによるプレミアム・ライブ『Smoke & Blue』を東京・大阪のビルボードライブ、名古屋のブルーノートなどで大人向け(!?)のライブを行っている。この3月、4月にも開催される。

また、ホーボーキング・バンドのオリジナルメンバーであるDr.kyOnと佐橋佳幸によるユニットDarjeeling(ダージリン)がこの1月にリリースした新作アルバム『8芯二葉~雪あかりBlend』に佐野元春が参加している。参加曲は「流浪中(featuring 佐野元春)」で、佐野はヴォーカル&オルガン/作詞/共作曲/編曲という全面的参加。同トラックには、古田たかし(Dr)、井上富雄(B)、山本拓夫(Sax)というホーボーキングのメンバーも参加している。最新型のホーボーキング・バンドを聞くことが出来るのだ。

佐野元春はバンドであることに拘る。佐野にはバンドとしてプロ・デビューを目指していた時期がある。学生時代の仲間とバックレーン元春セクションを結成し、ヤマハ主催のコンテストに出演していたことは知られているが、その後、名前はそのまま、新たなメンバーとバンドを結成。しかし、そのバンドのリズム・セクション、ベースとドラムがプロのバンドに引き抜かれてしまい、バンドは瓦解。当時はプロの人達の思いやりのない…と語っていたが、そんなことへのリベンジもあったのかもしれない。

ちなみにそのベースは寺尾次郎、ドラムは重田真人だった。彼らはハイ・ファイ・セットに引き抜かれた。そのハイ・ファイ・セットに佐野が後にハートランドで出会う伊藤銀次がいたのは不思議な縁である。ハイ・ファイ後、重田は松任谷由実、種ともこのバッキングで活躍。寺尾はシュガーベイブに参加、同バンド解散後は映画字幕の翻訳者として活躍した。昨2018年6月6日に残念ながら亡くなっている。山下達郎は同年のツアーで彼を哀悼し、シュガーベイブのナンバーを演奏している。また、佐野元春はオフィシャルフェイスブックページに追悼文を寄せた。さらに音楽家、文筆家として活動する寺尾紗穂は寺尾次郎の愛娘であり、彼女の最新エッセイ『彗星の孤独』(スタンドブックス)には、亡き父について、綴られている。

佐野元春 & ザ・ホーボーキング・バンド プレミアム・ライブ情報
https://www.moto.co.jp/WhatsNew/news.html

Billboard Live ‘Smoke & Blue 2019’ 東京・大阪・名古屋
■東京公演:ビルボードライブ東京
 3月公演:2019年3月14日(木)、15日(金)
 4月公演:2019年4月4日(木)、5日(金)
■大阪公演:ビルボードライブ大阪
 3月公演:2019年3月7日(木)
 4月公演:2019年4年13日(土)、4月14日(日)
※ チケット一般予約:2019年1月30日~

【著者】市川清師(いちかわ・きよし):『MUSIC STEADY』元編集長。日本のロック・ポップスに30年以上関わる。同編集長を退任後は、音楽のみならず、社会、政治、芸能、風俗、グラビアなど、幅広く活躍。共著、編集に音楽系では『日本ロック大系』(白夜書房)、『エンゼル・ウィズ・スカーフェイス 森山達也 from THE MODS』(JICC)、『MOSTLY MOTOHARU』(ストレンジデイズ)、『風のようにうたが流れていた 小田和正私的音楽史』(宝島社)、『佐野元春 SOUND&VISION 1980-2010』(ユーキャン)など。近年、ブログ「Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !」で、『MUSIC STEADY』を再現している。 http://ameblo.jp/letsgosteady/
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