黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に白鳥バレエのプリマバレリーナ、白鳥五十鈴が出演。11月に上演される『平家物語』の素晴らしさについて語った。
黒木)今週のゲストは鹿児島を拠点に活動されている、白鳥バレエ・プリマバレリーナの白鳥五十鈴さんです。『平家物語』の上演が迫っていますけれども、お稽古もたけなわでいらっしゃいますね。
白鳥)はい。
黒木)これは再演になるのですけれども、『平家物語』にはいろいろな思いがあるということですが。
白鳥)素晴らしい作品だと思いますので、いろいろな方に観てもらいたい。1回だけの公演ですが、1時間半の短いなかに歴史絵巻の平家が、栄えた雅な時代から滅んで行くところの悲しみまで。素晴らしい音楽とバレエの融合、日本舞踊ではなくバレエでどのように日本の情緒が描かれているのかというところを、ぜひ観ていただきたいですね。
黒木)日本のバレエで日本の古典。日本の『白鳥の湖』であると評されたと伺いましたが、それは嬉しいですね。
白鳥)母も苦労のかいがあったのではないでしょうか。鹿児島からの引っ越し公演で、東京で上演するだけでも大変なことです。
黒木)初演が東京だったということです。舞台装置からすべてを運ばれたわけですよね。相当な労力と努力、思いで上演したいと。ですが「日本の『白鳥の湖』ができた」と言っていただけて、その苦労も消えるかとは思いますけれども。
白鳥)女性の方たちはよくバレエに触れてくださるのですが、武士が踊っているシーンでは、男性も感じるものがあると思います。子どもたちから男性の方々までぜひ。
黒木)11月30日、鹿児島市民文化ホールで上演です。いまお稽古はたけなわと申しましたけれども、毎日のレッスンはどういうスケジュールになっているのですか?
白鳥)私たちは指導をしながらなので、体力的に厳しいです。稽古の時間までなるべく歩かずに、休んで体力を使わないようにしています。
黒木)現役でいる間は毎日行わなければならない。これも大変でしょうけれども、ご自分ではどのように考えていらっしゃるのですか?
白鳥)精神的には、バレエが安定させてくれています。なぜなのでしょうね。音楽もあるのでしょうけれども、自律神経が整うのだと思います。肉体と表現に集中するので悩みが吹き飛ぶというか、考えずに1歩を踏み出すエネルギーが自然と出ているというのか。私は元気になります。
黒木)バレエをやると?
白鳥)やったほうが。
黒木)天性のバレリーナでいらっしゃいますね。『平家物語』もお母さんが舞台監督でいらっしゃいますが、そのあたりは親子でということですけれども。
白鳥)同じ道を目指す親子、同じ芸道を目指す親子ということは、難しいところがありますね。
黒木)それを破壊して、子どもは親を抜いて行くということでしょうか。
白鳥)そうなのでしょうね。1人のカリスマが切り開いて行かないと、方向性が難しい世界と言いますか。親がずっと上なのです。
黒木)師匠がね。
白鳥)その環境にはいろいろな葛藤があるし、ありがたい面もあります。今回のように芸術監督をしてもらって、全部を見渡してくれているなかで自分が踊れるので、私もいろいろなことができる。
白鳥五十鈴(しらとり・いすず)/白鳥バレエ プリマバレリーナ
■白鳥バレエ主宰の母・白鳥みなみに師事。4歳からバレエをはじめる。
■高校卒業後、文学座演劇研究所に入所。女優として映画や舞台に出演。
■2000年、ロシアバレエフェスティバル「ロミオとジュリエット」に出演。バレエの感性と女優としての磨かれた演技力で一躍注目を集める。
■2009年、白鳥バレエ創立60周年を記念したオリジナル作品「平家物語」公演。母・白鳥みなみのファイナルステージ。白鳥五十鈴の襲名公演となった。
■地域文化振興のための芸術鑑賞事業、バレエ、ワークショップ、講演など、バレエの創造と普及のための活動に従事。
■2019年11月に創立70周年の記念公演「平家物語」が決定。全幕上演は2009年以来10年ぶり。白鳥五十鈴は平清盛の娘・徳子を演じる。※11月30日「鹿児島市民文化ホール」で上演。
ENEOSプレゼンツ あさナビ(10月17日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳