気候、宿泊、警備……札幌の場合も課題が山積~五輪マラソン開催地変更問題

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月30日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。マラソン・競歩の札幌開催の議論が調整委員会で始まったことについて解説した。

小池知事「東京開催望む」  IOC調整委と大会組織委、東京都などとの合同会議で握手するIOCのジョン・コーツ調整委員長(奥中央)と東京都の小池百合子知事=2019年10月30日午後、東京都中央区 写真提供:共同通信社

マラソンと競歩の札幌開催について30日から議論

東京オリンピックのマラソン、競歩を札幌で開催することについて、IOC(国際オリンピック委員会)の調整委員会が10月30日から3日間、都内で行われている。IOCは札幌開催は決定済みとしているが、東京都は東京開催を主張している。また、札幌で開催することになった場合の追加の負担を誰が出すかについても激しいやりとりが行われた模様。

森田耕次解説委員)IOC調整委員会と東京オリンピック大会組織委員会、東京都などとの合同会議が30日午後、東京都内で始まりました。マラソン・競歩の開催地を札幌市に変更するIOCの計画について、東京都の小池知事は冒頭のあいさつで「開催都市の長として、都民の代表として東京開催を望みたい」と述べて、納得できる説明を求めました。この会議は3日間行われる予定で、小池知事はIOC主導の強引な変更に対決姿勢を強めていまして、「東京都に最後の段階まで相談もないまま、議論もないままで、極めて異例の事態と捉えている」と述べました。英語と日本語の両方で訴えたということです。IOCのコーツ調整委員長は「コンセンサスを得られずに日本を離れたくない」と述べて4者の実務者会議の開催を提案したということです。30日の会議には組織委員会の森喜朗会長、橋本聖子五輪担当大臣も出席しています。IOCはマラソンの札幌開催はすでに決定事項としているのですが、東京都は不透明な決定プロセスなどを強く問題視しています。この会議終了後、小池知事は報道陣の取材に応じて次のように述べています。

小池知事)9ヵ月を切りました。準備が総仕上げの段階に入るなかで、開催都市東京都に最後の段階までご相談がないまま、議論もないままでこのような提案がなされたことは極めて異例の事態と捉えています。開催都市の長と致しまして、都民の代表としてマラソン・競歩の東京での開催を望みたいところでございます。

森田)河合さん、この一件はどうご覧になっていますか?

河合)私も東京都民なのでびっくりしました。私だけでなくがっかりしている人も多いと思います。でも主催がIOCで、「決定」となってしまっている以上、なかなかこの状況をひっくり返すのは難しいかな、というのが正直な感想です。

【東京2020オリンピック1年前セレモニー】セレモニーに臨む小池百合子都知事、東京2020組織委員会の森喜朗会長、IOCのトーマス・バッハ会長、安倍晋三首相=2019年07月24日 午後、東京都千代田区  写真提供:産経新聞社

バッハ会長、一度は東京開催を評価

森田)IOCのバッハ会長は10月3日に開かれたIOCの理事会のときには東京大会の暑さ対策について評価する発言をしていたということで、札幌での移転案の発表はその13日後だったと。中東・ドーハの陸上世界選手権で女子マラソンが行われたのが9月の下旬ですから、いつ誰がどういう風に決めたのかと、小池さんはこの辺の経緯について疑問点を並べているようなのです。都庁内でも移転を検討している最中に東京を評価する発言をバッハ会長がしていたので、不信感が渦巻いているようです。

河合)東京都知事の発言は聞いていましたが、小池さんのおっしゃる通りで、IOCの進め方そのものがどう見ても課題を残していると思います。

森田)確かに経緯の説明が足りないという気はします。メールもたくさんいただいているのですが、千葉市の“みつこ”さん60歳の主婦の方「小池都知事、IOCの決定に従わなければならないのならば、選手のことをいちばんに考えて大人の対応をした方がいいのではないでしょうか。パフォーマンスはよくわかりますが」。“マナロワイヤル”さん「マラソン・競歩のごたごたを見聞きしていると、何がアスリートファーストだ、と言いたくなります。私はハーフマラソンまでしか走ったことのない平凡な市民ランナーですが、そんな私でも記録を狙いたいときにはコースを下見したり、スタート時間に合わせて生活リズムを変えたりします。9時スタートのマラソンだと5時くらいに起きてストレッチをしてから朝食、体慣らしのトレーニングをして大会に臨みます。私レベルでこうですから一流選手はもっと準備に余念がないはず。それなのに急に会場を北海道に変更しようとしたり、スタート時間を早朝や深夜にしようとしたり、一体何なんですかこれは。アスリートが気にしているのは暑さだけではないはずです」といただいています。

五輪マラソン札幌開催案 急転「政治決着」に反発も 2018年8月の北海道マラソンで札幌市街地を走るランナー=2018年8月26日 写真提供:共同通信社

札幌開催の場合、決定後も課題が山積

河合)私が疑問なのは、札幌が本当に気候的に大丈夫なのかどうかです。東京と比較すれば遥かに涼しいのは間違いないですが、オリンピックをやるころは札幌でも30度を超えます。

森田)最近の札幌は暑いですからね。

河合)また、物理的な準備は大丈夫なのか。札幌とすれば突如降ってきたような話になっています。選手の移動もそうですが、宿泊場所の確保も観光シーズンで多くのところが埋まっていると思いますし、テロの多い時代なので警備もしなければいけない。態勢(を整えるの)も重要ななかで、訓練も他の県警を含めてすることになると思います。そういうことも果たして間に合うのか、開催地がどちらになるかということ以上の問題が後ろに残っています。残りの時間も乏しいなかでやっていけるのか気になります。

森田)30日に入ってきた情報だと、スタート、ゴールになっている大通公園には観客席はつくらないでチケットの販売は行わない方向だと。入場料は減るのですが、仮設の観客席スペースの確保が難しい、設備面で費用がかさむことが理由で、観戦は沿道のみになるのではないかという報道もあります。IOCのコーツ調整委員長は暑さの懸念から一部競技の開始時間も検討する必要があるのではないか、と言っています。トライアスロンや女子サッカー、馬術など。この競技は競技団体側の要望もあるのですが、時間帯の変更で対応できなければ会場変更をテーマにするべきだという競技団体もあるということで、30日から始まったこの調整委員会で他の競技についての話も行われる可能性があります。

河合)マラソン・競歩の話が出たということは、当然「他の競技も」という話も出てくるわけですよね。そうすると、本当に東京大会なのかどうかという話になってしまいます。いずれにせよ時間の足りないなかで、暑さの問題はわかっていたことですよね。6年も7年も前から夏の東京はどうなのかわかった状態で(開催を決めたはずです)。

森田)選手のことを考えると、早く決めて整備をしないといけません。

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