キャスターの辛坊治郎氏が7月6日（月）、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか！」に出演。このたびの都知事選の結果を分析するとともに、選挙ポスターの仕組みについて解説した。

東京都知事選　ポスター掲示用の選挙看板を設置する作業員ら＝2020年6月13日、東京都品川区　写真提供：産経新聞社

東京都知事選挙　小池百合子氏再選

辛坊）今回の選挙戦で注目は、実は二番手が誰に入るかという話だったのですよ。そういう意味では全員負けでしたね。今回、小池さんが1人で366万票とったわけですね。投票率は前回に比べると、５%弱低かったですが、そのなかで小池さんがそれだけとって、二番手の人が100万票にいくかというのが注目だったのですよ。二番手にいくのが、宇都宮健児さん。元々、野党統一候補のはずだったのですが、その後で山本太郎さんが立候補されることによって、野党が二つに分裂するということになりました。それから、維新は独自に小野泰介さんという候補を立てて戦ったということで、野党の足並みが見事に揃わなかった。

野党がどれくらい票を取るかということが注目点だったのですが、宇都宮健児さんは無所属で立候補されていますが、元々日本弁護士会の会長でいらして、正直に言うと共産党色が非常に強いです。日弁連の会長はそういう思想性の色彩のある人が多いですから、まさに宇都宮さんは共産党の色彩がかなり強い人で、共産党と社民党と立憲民主党ですね。そのなかで、最大勢力でいうと、国会の議席数でいうと、立憲民主でしょう。これで野党がまとまって、宇都宮さんが100万票を超える票を取るということになったら、立憲民主を中心に野党が一つに固まって、次の選挙で自民党と対立する形の大きな政治勢力として、これは小選挙区ですから、1人しか衆議院の場合は当選しないわけで、2つの大きな勢力になった場合、オセロゲームですから、がらっと政治の図式が変わる可能性があるという意味では、今回注目していたのですが、野党票は分断ということになって、宇都宮さんが二番手にはつけたけれども、84万票と。一応二番手につけたということで、立憲民主は面目を若干保ったのですが、100万票いかなかったしなあというところで、微妙な数字だなあと。令和新撰組代表の山本太郎さんも、10万円を皆さんにあげますというかなりポピュリズム色が強いので、もう一回ブームが起きたら、次の衆議院選挙で令和新撰組が大きな核になるでしょう。立憲民主を核にした勢力ではなく、山本太郎さんを中心にした一つの野党の政治勢力ができるのではないかという可能性もあったのですが、山本太郎さんが65万票あまりしか取れなかったということは、極めて選挙結果としては重大ですね。

万博誘致について議論する松井一郎知事（右・当時）と堀江貴文氏　＝大阪市北区　撮影日：2017年06月25日　写真提供：産経新聞社

選挙ポスターを“並び”で貼れる方法がある

辛坊）ところで、なぜホリエモン新党でポスターを3枚も貼れたのか、なぜ2枚同じポスターが貼れたのか。その3枚のうちの真ん中が立花さんで、あの方がホリエモン新党の代表という形になって立候補されて、両側にホリエモンの顔写真を入れたホリエモン新党のポスターが3枚並んでいるわけですよ。そもそもあの場所を確保するようなことがどうしてできるのか。

ポスターの貼り位置というものは、その日の立候補の8時半までに行って抽選するのですよ。その結果によって、あのポスターの貼り位置や立候補の届出順が決まるわけですよ。ところが、その時、抽選に参加しないで、8時半より遅れて行くと、その後、並びで取れるわけですよ。

増山）ライバルがいないわけですからね。

辛坊）そう。抽選だと、同じところに3枚並べて貼るなんてできないわけじゃないですか。だからこれは、わざわざ遅れて行って、抽選じゃない時間帯を狙って行って、3枚場所を確保して、それも意図的ですよ。ホリエモンとホリエモンの間に立花さんを挟むと。結果的に、それだけの戦術をした割には、大した得票を取れていませんが、極めて一つ一つが意図的で、そもそも立候補していないホリエモンの顔写真を貼ることができるのかと。

増山）あれは違反ではないのですか。

辛坊）これはですね、掲示責任者となんとか責任者という2人の責任者の名前は必ず要るのですが、立候補者本人の名前はマストじゃないのですよ。これが公職選挙法のおかしなところで、（法律を）決めた人の気持ちとしては、選挙ポスターに本人の名前がないなんてことはありえないから、そんなことを法律で義務付ける必要はなくて、選挙責任者や掲示責任者の名前は入れなさいよという縛りはあるのですが、立候補者の名前を入れなければいけないという縛りはないわけですよ。なおかつ、そこに入れる写真なのですが、表現の自由も含めていろいろありますから、一切制限がないわけです。何でもいいのです。