ヨット太平洋単独無寄港横断に出航したキャスターの辛坊治郎が6月10日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」にヨット太平洋単独無寄港横断中の船上から電話出演。航海終了を目前にして、これまでの長く厳しい航海生活のなかで至った「心境」について吐露した。
ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」では、番組パーソナリティの辛坊治郎がヨット太平洋単独無寄港横断に挑戦している間、“スペシャルパーソナリティ”たちが“留守番”をしているが、番組では「生存確認テレフォン」と題して、辛坊に持たせた衛星携帯電話へ毎回必ずかけることとなっている。
辛坊は4月9日午前9時17分に大阪府岬町の淡輪ヨットハーバーからKaorinV(カオリンファイブ)号で出港したが、ゴール地点の米西海岸サンディエゴまであとわずかの地点におり、一方で「無風」で進めないストレスにもさらされているらしいという辛坊へ、この日スペシャルパーソナリティを務める飯田浩司アナウンサーとアシスタントの増山さやかアナウンサーは電話を掛けた。
「完璧な青空が広がっていてね……」
珍しい報告を始めた辛坊。
「いわゆる“星座表”っていうの持ってきたんだけどさ、その星座表と照らし合わせて、いま、星座表に載っている星が全部ある」
これは壮観な光景であろう。スタジオの2人も大きく感心する。
「水平線ギリギリから見えるから、絶対に日本だとどこか欠けるよねっていうところが、欠けずに全部見えてる。東の、真ん中よりもちょっと東の空にね、いわゆるミルキーウエイ、天の川が空を覆ってる感じでね、これは山に行っても地平線の端、全部見られないからね。これはすごいよ」
そんな辛坊に、番組リスナーからメールで届いた質問をぶつけるスタジオの2人。「もしだれか1人、女性にエールを送ってもらえるとするなら、どなたがいいですか? またその方に何と言ってエールを送ってもらいたいですか?」……すると辛坊は「いやいやいや……」と、予想外の答えを返した。
「言葉じゃないですから。もうそれはたぶん、言葉じゃなくて通じるものがあるんだろうなというのが、ここへきてね、すごく感じることで。こんなに濃密に人のことを考えたのはないよね、この2か月間。基本的に日本で普通に暮らしてるとさ、人のことなんか全く考えないんだけどさ、この2か月間は本当に、いろんな人のことを考えましたよ」
達観したような、そして情のあふれる言葉に、驚きを隠せないスタジオの2人。「あなた、辛坊さんですか? ホントに!」と増山アナが思わず口にすると、「凄いですね、なんか、ほんと修行僧みたいになってきましたよ。辛坊さん」と感想を述べる飯田アナ。
「そうそう、自分の中では、ほぼ、千日回峰行だなと思ってるんだな」
やはりそのような心境なのかと腑に落ちた飯田アナは冗談も含めつつ「じゃあ、大阿闍梨になってきましたか?」と訊く。
「ははは(笑)。大阿闍梨にはなれないけどさ、“生まれ変わる体験”みたいなことはあるよね」
またもや驚きの回答。修行のような心に達するのはなぜだろうか。
「北太平洋の真ん中というのは特別だと思うよ。例えば赤道のあたりってさ、太平洋の真ん中であってもいっぱい島があったりして、何かあったら島へ寄ったりできるじゃん。だけど、北太平洋って何にもないからね」
またもや腑に落ちた言葉を聴いた飯田アナは「たしかに、生命の息吹みたいなものは感じずにポツンと1人いるという中ですもんね」と納得の様子。そして「なにか光を見たりしましたか?」と続けたが……
「電話がとぎれとぎれで、飯田君が何を言ってるかわからないんだけどー」
そんなタイミングのいい“オチ”に大爆笑の増山アナ。そして「いい話してるのにな、俺……」と苦笑いの飯田アナであった。
電波状況が悪くても、気象状況だけは聞きたい辛坊は、今後の予報を増山アナから聞き、「気をつけてくださいね。最後まで気を抜かずに」「頑張ってくださーい」と飯田アナ・増山アナからエールを送られると、
「はい、ありがとう!」
と元気よく答えると、もう間近となったサンディエゴへ向けて、引き続き航海を続けた。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)