亀渕昭信さんの紹介で会った、若き日の秋元康さん 

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(3月31日放送)にフジパシフィックミュージック会長の朝妻一郎が出演。これまでに手掛けた楽曲や出会った才能について語った。

作詞家 秋元康 撮影日:1986年01月28日 写真提供:産経新聞社

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朝妻一郎が出会った楽曲や才能

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。3月28日(月)~4月1日(金)のゲストはフジパシフィックミュージック会長の朝妻一郎。4日目は、これまでに出会った楽曲や才能について---

黒木)朝妻さんが書かれた『高鳴る心の歌 ヒット曲の伴走者として』という本には、これまで朝妻さんが手掛けられた楽曲、出会った才能についてのエピソードもたくさん掲載されております。著書のなかで紹介されているアーティストの方からピックアップします。おニャン子クラブと秋元康さんというところがございますけれども、そのお話を教えていただけますか?

朝妻)ニッポン放送に亀渕昭信さんというプロデューサーがいて(※のちの代表取締役社長)、あるとき亀渕さんから「秋元くんという構成作家がいるのだけれども、作詞家として才能があると思うから、会ってあげてくれ」と言われたのです。そしてある日、秋元くんが作品を持って私のオフィスに来ました。

黒木)若き日の秋元さんが。

朝妻)詩を見せてもらったら、言葉の使い方やシチュエーションの構成の仕方がすごくて、「君は才能があるから、ぜひうちで仕事をしよう」と言って、仕事を一緒にさせてもらうようになりました。私が探したというよりは、亀渕さんという人が秋元くんを送り込んでくれたというラッキーな立場です。

黒木)最初からやはり光っていたのですか?

朝妻)すごいセンスがありましたね。

黒木)そうなのですね。

「帰ってきたヨッパライ」記者会見のフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」 左から)北山修、はしだのりひこ、加藤和彦 撮影日:1968年02月19日 写真提供:産経新聞社

「帰ってきたヨッパライ」記者会見のフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」 左から)北山修、はしだのりひこ、加藤和彦 撮影日:1968年02月19日 写真提供:産経新聞社

黒木)あとは「帰って来たヨッパライ」ですか。

朝妻)「帰って来たヨッパライ」は、木崎義二さんという音楽評論家の方がいらっしゃるのですけれども、その方が「これはいま関西ですごく人気だぞ」と言ってこの音を聴かせてくださったのです。聴いたら面白くて、高崎さんに「これはすごく面白くて、アマチュアがつくったということだから、レコードの権利も取れると思うので、大阪に取りに行きたいのですけれども」と言うと、「面白いから取りに行ってこい」ということで行ったのです。

黒木)そんな経緯があったのですね。それから「千の風になって」です。

朝妻)これはもともと、新井満さんが友達が亡くなったときに、その追悼のために、レコードをつくって友達に配ったものです。詩自体はアメリカに古くから伝わるもので、それを新井さんが訳して、ご自分で曲をつけて歌ったら、友達の間で「これはいい」と評判になったそうです。

黒木)お配りになったレコードが。

朝妻)そのことが新聞に載って、新井さんからあるとき電話がかかってきたのです。「新聞読んだ?」と。そのとき、その新聞は読んでいなかったのですが、「こういうことでレコードをつくったので聴いてくれないか」と言われました。

黒木)新井さんから。

朝妻)そして新聞を読みました。新聞を読んだだけで面白いなとは思ったのですが、音を聴いたら素直なメロディーで言葉が刺さってくる。「新井さん、これは絶対にスタンダードになるから、ぜひうちで契約をさせてください」と言って、契約をさせてもらった曲です。

黒木)そうやって人と曲との出会いがあるわけですね。「聴いてください」と言われて、「これはダメだ」というときもあるのですか?

朝妻)あります。「これは面白いな」と思うのは、10%あるかないかですね。

黒木)そうなのですね。それはどのようにわかるのですか?

朝妻)いままで聴いた曲の数や自分のなかのセンサーみたいなものでしょうね。常に新しい情報を入れて更新させる必要があると思うのですけれども、やはり、「過去に聴いた曲が何曲あるか」ということがいちばん大きな要素ではないかという気がします。アメリカでチャートに挙がった曲を毎週聴いていたということなども、大きく役に立っていると思います。

亀渕昭信さんの紹介で会った、若き日の秋元康さん 

朝妻一郎

朝妻一郎(あさつま・いちろう)/ フジパシフィックミュージック会長

■昭和18年 東京生まれ。
■昭和41年 株式会社パシフィック音楽出版に入社。
■昭和55年 常務取締役 就任。
■昭和60年 代表取締役 就任。
■昭和60年 合併により、「株式会社フジパシフィック音楽出版」と改称。代表取締役社長に就任。
■平成17年 代表取締役会長 就任。
■平成27年 株式会社フジパシフィックミュージックと改称。
■パシフィック音楽出版時代より、ザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」、モコ・ビーバー・オリーブの「海の底でうたう唄」、加藤和彦・北山修の「あの素晴しい愛をもう一度」をはじめ、山下達郎、大滝詠一、サザンオールスターズ、オフコースなど多くのアーティストのヒットづくりに携わる。
■2022年2月28日に著書『高鳴る心の歌 ヒット曲の伴走者として』(アルテスパブリッシング)を発売。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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