マルチ本塁打連発! どこまでも謙虚なヤクルト“村神様”

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は6月絶好調だった東京ヤクルトスワローズの主砲・村上宗隆選手にまつわるエピソードを紹介する。

マルチ本塁打連発! どこまでも謙虚なヤクルト“村神様”

【プロ野球ヤクルト対巨人】ヤクルトが史上初となる全11球団連続勝ち越しを決めた。ヒーローとなって11球団連続勝ち越しの11をつば九郎と合わせて示す村上宗隆=2022年6月26日 神宮球場 写真提供:産経新聞社

「神様・仏様・“村神様”」……6月のヤクルト・村上宗隆は、まさに神がかり的な活躍を見せました。月間打率は何と.410。14本塁打、35打点と打ちまくり、球団タイ記録の月間19勝(4敗)に大きく貢献しました。

特に衝撃的だったのは、1試合2本の「マルチ本塁打」を何度も記録したこと。その数、6月だけで5試合。筒香嘉智(当時DeNA、現パイレーツ)が持つ日本記録「月間6試合」には惜しくも届きませんでしたが、どのマルチ本塁打も勝利につながる貴重な2発であり、ファンの度肝を抜くものばかりでした。

それでも、この若き4番は驕らず威張らず、感謝の言葉とともに歩んでいるのが何とも印象的。「マルチ本塁打」を放った試合で残した言葉には、彼の「謙虚さ」「感謝の気持ち」が見て取れます。

まずは交流戦中の6月11日、ソフトバンク戦で放った18・19号。この2発がモノを言ってヤクルトはこの日、交流戦優勝を決めました。特に「無我夢中に前に飛ばすことだけを意識した」という19号逆転満塁本塁打は圧巻の一言。出迎えた3番・山田哲人と熱い抱擁を交わしてファンを沸かせ、試合後のコメントもまた共感を呼びました。

『僕らが打てないときには、投手が粘って粘って抑えてくれる。4番としてとかじゃなく、チーム一丸となって戦えているなと思います』

~『サンケイスポーツ』2022年6月12日配信記事 より

2度目のマルチホームランは、6月19日の広島戦で放った20、21号です。4年連続で20号に到達し、チームに今季初の8連勝をもたらしたこの日は「父の日」でした。試合後、村上は父・公弥(きみや)さんに向けてこんな言葉を贈りました。

『父の日に打てたということで、すごくうれしい。ここまで大きく育ててくれたので、本当に感謝しかないです』

~『サンケイスポーツ』2022年6月20日配信記事 より

続く6月23日の中日戦では、初回に今季4本目の満塁弾となる22号。そして8回にもダメ押しの23号2ラン。この日の勝利で、チームは球団新記録となる11カード連続勝ち越しも果たしました。

村上の勢いは止まりません。何とその翌日、6月24日の巨人戦でも「2日連続マルチ本塁打」を放ってみせました。まずは6回、打った直後に「確信歩き」も見せたライトスタンドへの豪快な24号2ラン。さらに7回、今度はレフト方向への25号2ラン!

巨人に16対6と圧勝し、チームの主砲として見事な存在感を見せた村上ですが、試合後に出したコメントは、意外にも反省の弁でした。

『最後の2打席はいい形で打てたんですけど、入りはなかなかチャンスで打てなかったのでそこは反省です』

~『スポニチアネックス』2022年6月24日配信記事 より

また村上はこの日の試合で「332試合連続4番出場」を果たし、これまでアレックス・ラミレスが持っていたヤクルトの球団記録を更新しました。名実ともに、スワローズの歴史に残る4番となった村上。それでも“村神様”は決して慢心することなく、あくまで謙虚に感謝の言葉を口にするのです。

『今まで試合に出られてるのも本当に、トレーナーさんだったりいろんな方のおかげだと思ってます。感謝しかないですし、ファンの皆さんと選手、監督の期待を背負って打席に立っている。これからも期待に応えていきたいと思います』

~『スポニチアネックス』2022年6月24日配信記事 より

6月5度目のマルチ本塁打は、6月29日の広島戦でした。試合終盤の8回に28号2ラン、9回にも29号2ランを放ってチームの勝利に貢献。ここでも村上は、今季6度目(通算30度目)のアベックアーチを放った山田哲人に向けて、こんなコメントを残しました。

『僕の前を山田さんが打つことでいい形で回ってくるので心強い。信頼しているというか、一緒に勝ちへ、優勝に導きたい』

~『デイリースポーツonline』2022年6月30日配信記事 より

こうした仲間思い、チーム思いのコメントを常に心がける主砲が4番にドンと座っていることも、ヤクルトの強さにつながっているのでしょう。

6月終了時点で、本塁打29本は2位の岡本和真(巨人)に9本差、打点78も2位岡本に19の大差をつけ、独走の打撃2冠王です。さらに打率.315はリーグ3位。いよいよ令和初の三冠王も視野に入ってきた“村神様”のバットは、このまま打出の小槌のように結果を出し続けるのか? ますます目が離せません。

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