1月16日（月）深夜、ラッパー・R-指定とターンテーブリスト・DJ松永による音楽ユニット・Creepy Nutsがパーソナリティを務めるラジオ番組「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」（ニッポン放送・毎週月曜25時～27時）が放送。2023年3月をもって「オールナイトニッポン」から卒業することを発表した。

2023年3月にオールナイトニッポンを卒業するCreepy NutsのDJ松永（左）とR-指定（右）

Creepy Nutsは『オールナイトニッポンR』の単発を4回担当し、2018年4月から『オールナイトニッポン0(ZERO)』火曜パーソナリティに。『オールナイトニッポン0(ZERO)』を4年担当し、2022年4月から通称“1部”の『オールナイトニッポン』に昇格した。

DJ松永：「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」、2023年の3月いっぱいで終了させていただくことになりました。シンプルに理由をお伝えすると、色々お仕事させていただくなかで、もうちょっとゆっくり時間を使ったり、音楽の仕事にトライ＆エラーできる時間をつくったりしたい。「このあたりで一度働き方を見直してもいいかな」と俺とRで話し合って決断しました。「音楽に費やす時間を増やそう」と。

R-指定：番組を楽しんでくれていた人、応援してくれてた皆さんには本当に申し訳ないです。お互い忙しい毎日を駆け抜けていて、俺はここ2年くらいで少しずつ音楽と毎週のラジオの切り替えがちょっと難しくなってきていて。もちろんありがたいことではあるんですよ。一週間まるまる音楽のことをやっているなかにラジオという1個全然別のスイッチが入ることで、リフレッシュになったり救われたりするタイミングもめっちゃあったんやけど、切り替えがどんどん難しくなってきてるのを肌で感じていて。

“1部”になって、聴いてくれる人も増えてくれて、ラジオの状況はどんどん良くなっていきました。だから、ミュージシャンとしての性（サガ）というか、音楽に100％自分の全部の時間を使いたい気持ちを、なんとかグッと引っ込めてやってきたんですが……。ラジオが幸せな場所ゆえに。松永さんもその気持ちで。お互いの気持ちを知らない状態で走り続けて、でもお互い急に不調が出て、「結構ガタきてんのや」と思いつつ、満を持して去年「来年どうする？」みたいな話を2人でして……。

DJ松永：2人で話し合って出した結論で。理解のあるスタッフに支えられているから、こういう決断ができたと思うんだけど。音楽で上手くいかないときとか、日常生活でしんどい思いをしてるときとか救ってくれてたのがこのラジオだったんですよね。単発を何回かやらせてもらって、レギュラーになって、ANN0から1部になって、そのときに企画書を出してくれたスタッフさん、初回からずっとタッグを組んでつくり上げてくれたチームの皆さん、そして何よりこのラジオを楽しみにしてくれて寄り添ってくれた皆さんのことを考えるとなかなか整理がつかないところもあるけど、やっぱりRが言ったように基本的にミュージシャンだから、ラップやってDJやってここまで来たから。1部も夢のまた夢みたいな今でも信じられないところがあるんですけど……。

特にこのラジオはホームだし、スタッフも俺たちのことをすごく理解してくれてる人たちだから。こういう場所はあったほうがいいことはわかってるんだけど、ここ2～3年は無呼吸で走り続けてきた感じがあるんですよね。でも、人生のフェーズが今と数年前では徐々に変わってきていて。俺もRもラップとDJをがむしゃらにやってて、たくさんお仕事をいただくようになって。月並みですが、「人生一度きりなんで、いろんな生き方を試してみたい」とすごい思ってて。

俺とRにとって自分たちの人生が豊かにする方法ってラップとDJなんですよ。だから、それをもう一回、ちゃんともっとゆっくり見直す時間が一旦必要だと思って。ほんとに贅沢言ってるなと思うんですけど、どうしてもレギュラー番組って、週に1回、規則的に生放送の時間がやってくるので……。

R-指定：もちろん、ラップとDJで人生豊かにするんやけど、やっぱりラジオによって俺らの音楽自体、音楽の表現とかも豊かにしてもらった部分はめちゃくちゃ大きいから。俺の中では一心同体というか「切っても切れないもんや」という考えは絶対あったから、それで何年か走ってこれた。

むしろ回転速度を上げれば上げる程頑張れたり、ドーパミンが出るタイミングやったりはもちろん何年か前はあったから。そのなかで、毎週でこの“1部”の枠というありがたいことにものすごい大きなものを背負わせていただいて。でも同じくらい全部が大きくなっていって……「一番俺らが本来最もやりたくて全生命をつぎ込んでやるものは？」という、究極の決断ですよね。いままでは「全部やってやるんだ」という気持ちでできたけど、さすがに自分のこの体的にも心的にも……お互いを見てても「最後は音楽やな」って。

DJ松永：自分で決断したくせに、俺らもオールナイトニッポンをやめる実感がまだないところがあって。自分たちが昔聴いてたラジオとかも思い出して「どう終わるんだろう」とかも考えて、昔は10代の自分が聴いてたラジオが急に終わったら「本当に好きな人、すごい大事な人と断絶されたような気持ちになるな」とか思ったけど、いまはSNSもあるし、ライブと音楽があるし、ラジオが現状報告の場でもあるけど、HIP HOP自体は現状報告の音楽でもあるから前向きな気持ちではいれると思います。

5年に渡り深夜ラジオをアツく盛り上げてきた“HIPHOP ラジオ”は3月で終演となるが、DJ松永は言葉を詰まらせながら「このラジオがなかったら今の俺らは絶対いない」と感謝を伝え、R-指定は「最後までみなさん是非お付き合いください。楽しくいきたいと思います」と明るくラストを迎えたいと語った。