「日中首脳会談」実現の際、日本がするべきこと
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キヤノングローバル戦略研究所主任研究員でジャーナリストの峯村健司が11月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田政権がAPECに合わせて開催を検討している日中首脳会談について解説した。
日中首脳会談、APECのタイミングで調整
飯田)11月15日から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせ、米中首脳会談を開催する方向で調整が進んでいますが、日本も中国との首脳会談を検討しているようです。会談実現に向け、国家安全保障局の秋葉局長が北京を訪れ、王毅外相と会談しました。
峯村)実現するべく動いていると聞いていますし、重要だと思います。約1年ぶりですよね。
飯田)タイ・バンコクで会談して以来です。
峯村)いまの習近平体制の状況だと、ナンバー2の李強首相や、いまの王毅外相に言ったところで、何の意味もありません。習近平氏がすべてを決めていますので、「習近平氏に直接入れ込む」というのがまず大事です。
米中関係ほど信用ならないものはない
峯村)一方で、米中関係を20年間研究していて思うのは、「米中関係ほど信用ならないものはない」ということです。いつか絶対にこの人たちは梯子を外してきます。
飯田)梯子を外してくる。
峯村)例えば、1972年のニクソン・ショックがそうです。あれだけ「中国は敵だ」と言っていたのに、急にキッシンジャー大統領補佐官(当時)が訪中し、日本は梯子を外されました。ずっとそういうことを続けているのです。だから、常に米中をしっかりモニターし、監視しなくてはいけない。ある意味、乗り遅れないようにすることは重要なのだと思います。同じことをする必要はないのですが、梯子だけは外されないようにしなくてはいけません。
日中関係を成功させるには、「米中会談との違い」をどう出せるか
峯村)もう1つ、気を付けなくてはいけないのが、日中関係を成功させるにはどうすればいいかと言うと、「米中会談との違いをいかに出せるか」ということです。いまの岸田政権の対中関係や外交を見ていると、中国からすれば、日本はただのバイデン政権の追随、要は「ポチ」としか見ていない節があります。
飯田)日本は。
峯村)それだと、日本と話す必要がないからバイデン大統領とだけ話して、「日本も言うことを聞いておけよ」となってしまうわけです。だから違いを見せて、日本も大事なのだと思わせる。むしろ「米中を我々が何とかしてやる」くらいの勢いがないと、成果は期待できません。
日本のEEZ内でのブイ設置とアステラス製薬幹部の解放は強く抗議しなければいけない
飯田)いま中国との間で考えると、福島第一原発の処理水の海洋放出に関して、この間は錦鯉まで輸入を止めるという話が出ていました。海と何の関係があるのだという感じですが。または、日中中間線にブイを浮かべるなど、いろいろやっていますよね。この辺りは議題になるのでしょうか?
峯村)議題にしなくてはダメです。議題にしないなら会う必要はありません。特にブイの問題は、安全保障であり、日本の排他的経済水域(EEZ)内での話ですから、言わなくてはダメです。あと、もう1つ言わなくてはいけないのが、拘束された邦人の解放です。
飯田)邦人解放。
峯村)アステラス製薬の幹部の方は、刑事手続きに入っていますが、とにかく言わなくてはいけません。拘束直後の今年4月、林外務大臣(当時)が中国に行ったときは、うまく救出できませんでした。李強首相とまで話したのにダメだった。やはり巻き返さないといけません。可能性はかなり低いですが、言うことが大事です。習近平氏に「あなたたちは経済が大変なのでしょう? 投資して欲しかったら解放しなさい」と。そういうディールをしないとダメです。
飯田)ビジネスと直結してくる話ですからね。
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