日経株価「バブル後最高値更新」 30年前の水準を「ようやく超える」だけのこと

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元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が2月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。史上最高値の更新に期待が高まる日経平均株価について解説した。

日経平均の上げ幅が一時700円を超えたことを示すモニター=2024年2月16日午前、東京・東新橋の外為どっとコム(鴨志田拓海撮影) 写真提供:産経新聞社

日経平均の上げ幅が一時700円を超えたことを示すモニター=2024年2月16日午前、東京・東新橋の外為どっとコム(鴨志田拓海撮影) 写真提供:産経新聞社

日経平均株価、史上最高値更新なるか

飯田)日経平均株価について、「いよいよ最高値更新か」というような話が出ています。

片岡)それ自体は1つの通過点でしかないので、個人的にはあまり盛り上がってはいません。30年かけて、30年前の株価の水準をようやく超えそうになっている。喜ばしいことかも知れませんが、あまり騒ぐ必要はないと思います。現状の株価は、30年前の当時と比べると、PERなどの指標を見ても行き過ぎた株価上昇ではなく、むしろ企業業績を反映した結果という側面が強い。よく言われる30年前の「バブル」では、資産市場を運用する一部の人たちが儲かって、我々庶民には恩恵が届かないという言説がありました。30年後にようやく30年前の状況を超えるということなので、基本的にそのような話はありません。

飯田)今回は。

片岡)むしろ日経平均株価の上昇で、社会保障云々の運用などにも好影響を及ぼすわけですし、そうしたところも見ていく必要があります。株価が安定的に上昇を始めたのは2012年12月ごろで、アベノミクスが開始されたことによって生じています。もちろん上下はあるけれど、傾向として上昇基調になっている。それは諸外国においても普通のことです。ようやく10年経って、そのような状況が持続的に続くようになった。結果として今回の話になっていると理解した方がいいでしょう。

利下げはまだ先のアメリカ

飯田)アメリカ経済の1つのポイントとして、インフレの粘着性が指摘されますが、日本におけるデフレの粘着性はそれ以上でしたよね。10年掛かってようやくですから。

片岡)デフレの粘着性は強いですよね。アメリカの資本について言うと、足元の小売売上高もそうですし、住宅着工なども少し弱目の指標が出ていますが、アメリカでは季節要因の影響も強いのです。冬で寒くなる1月は、住宅着工なども含めて消費が落ちる傾向にあるので、実体経済とは分けて考える必要があると思います。

飯田)アメリカの場合、この先の利下げについて「3月はなくなったのではないか」などと言われていますが。

片岡)この先、予想以上に物価上昇率2%への道のりは平坦ではないのだと思います。3%台から2%台に落としていくには、生産者物価指数も下げ止まりの兆候ですし、それほどアメリカ経済は悪くない感じですね。

飯田)利下げ云々を言うのはまだ先になる。

片岡)まだ先だと思います。

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