イチローは涙を懸命にこらえていました。
日本時間8日のロッキーズ戦でMLB史上30人目の3,000本安打を達成。
「達成した瞬間にチームメートたちが喜んでくれて、ファンの人たちが喜んでくれた。ぼくにとって3,000という数字よりも、ぼくが何かをすることで、ぼく以外の人たちが喜んでくれることが、今のぼくにとって何より大事なことだということを再認識した瞬間でした。」
この日、日本は当然のこと、米国でも主役はイチローでした。
物議をかもした6月のMLB、NPB通算4257安打とは違い、すべての関係者、ファンが絶賛と祝福のメッセージをおくっています。
あのピート・ローズ氏でさえ
「イチローはとてつもないバッター。3,000本安打を打った選手は誰もが偉大だ。」
と異議などはまったくはさまずに、称賛のコメントを寄せました。
2000年末、果たしてイチローはメジャーで通用するのか?という疑いの目を背に渡米。
翌2001年から野手として日本人初のメジャーリーガーは、ヒットを量産し続けてきたのです。
「3,000本は走ること、投げること、バットを振ることだけではできない。」
「数字を残そうとすると脳まで使わないといけない。」
常に最良の準備をすることは、欠かさずイチローが行ってきた重要なファクターでした。
人間は必ず衰える。
経験がそれをカバーするといっても、年齢に合わせた準備をすることを、常に実践し続けている。
40歳は節目といわれますが、不惑を過ぎてから、よりルーティンを大切にしています。
ホームでは5時間前に球場へ入り、より入念なストレッチを行い、肩甲骨、骨盤などをほぐしてトレーニング。量でいえば、3割増やしたそうです。
一方で、食事もこだわり、高カロリーを避け、フライなども口にしない。
生ものも胃腸をこわしては、ということで食べなくなったといわれます。
友人などと食事をしていても、午後9時ぐらいになると、「トレーニングの時間ですから。」と退席して体を動かす。
さらには、視力低下を防止するため、PCでのメール、SNSなどは必要があれば、弓子夫人が行う。
イチローはこだわりのかたまりのよう、と称されていますが、その一端が最もうかがい知れるのは、ベンチでバットを常に手元へ置いていることでしょう。
加えて、グリップへ芝や土は絶対に付着しないようにして、さらに持ち運びにはまるで楽器を入れるようなハードケースに入れている。
全てのことを徹底的にやって、今日のイチローがあるということでしょう。
写真提供:時事通信フォト
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