リオデジャネイロ・オリンピック競泳男子、感動です!
萩野選手と瀬戸選手が金と銅のメダルをもたらしてくれたこと、そして48年ぶり、メキシコ大会以来となるという400mリレーの日本新記録での決勝進出も本当に嬉しかったです。
特に一番手で泳ぎきった中村克選手。初めて48秒を切った47秒99というタイムももちろん日本新記録!
その中村選手は東京都出身。
ご実家は足立区竹ノ塚で居酒屋「厳選もつ酒場・エビス參」を営んでいらっしゃいますが、そのお店で“決勝進出で飲み放題が半額”セールをおこなっていると聞いたら、もうこれはお邪魔してみるしかないでしょ~!というわけで私ひろた、行ってまいりました。
東武スカイツリーライン竹ノ塚の駅からほど近い、雰囲気のいいお店のガラス戸をガラガラっと開けると、「いらっしゃい!」と元気に迎えたくれたのは、爽やか好青年!
むむむっ!!!どことなく中村選手に似ています、聞けば年子のお兄さん。
そして、これまたどことなく似たおじさまが登場!
このお店のオーナーで中村選手のお父さん・昇さんでした。
とても気さくな方で、中村選手についていろいろお話を伺うことが出来ました。
中村選手は幼い頃から水泳を始めたのかと思いきや、なんと小学校5年生の時からだそうで、それまではお兄さんと一緒にサッカーをしていました。
実はその頃、中村選手のお母さんが交通事故に合い、目指していたライフセーバーを諦めざるを得なくなってしまいます。
その時になぜか「僕が代わりに泳ぐ」と言って水泳を始めたのだそうです。
しかし、始めるのも容易ではありませんでした。近くのスイミングスクールの選手コースは、赤ちゃんや幼稚園の頃から水泳を始めた生え抜きの子供達でいっぱいで、小学校高学年の中村選手は受け入れてもらえません。
それでもお父さんは諦めませんでした。
スイミングスクールを探しては何度も通い、息子を選手コースに入れてくれるようお願いして回ります。
やっと受け入れてくれたコーチがいました。
渡辺さんという女性のコーチです。
それから中村選手の水泳人生がスタートします。
その後足立区に引っ越し、新しいスイミングスクールで出会った仲間たちに刺激され、メキメキ上達。タイムが縮んでいき、今の中村選手が誕生しました。
※「その時の恩人である渡辺コーチにお会いしてお礼が言いたい」とお父さん。でも、そのスクールを辞められた今、コーチの行方はわからないそうです…なんとか会わせてあげたいと切に思ってしまいます。
記録を出す選手となってからの家族のサポートも大変だったそうです。
大会に出場するためご両親で全国を飛び回るのはもちろん、日々の食事に努力されたお母さん。
1日5食だそうです!
食べ盛りのアスリートのお子さんにバランスの良い食事を出すのは本当に大変なことですよね。
中村選手は子供の頃、肉より野菜が大好きだったそうですよ。
ある時「この大会で勝ったらご褒美は何がいい?」と尋ねると「ほうれん草5キロ!」と答えるような子どもだったと笑顔で話して下さいました。
思い出のご飯は「森林弁当」。
お味噌で味付けしたブロッコリーがお弁当箱一杯に入っているのが大好きだったそうです。
その他は卵焼きとおにぎり…「今考えるとバランス悪いですよね~」と懐かしそうに笑ってらっしゃいました。
中村選手にはお姉さんもいるのですが、産まれた赤ちゃんに「りお」という名前をつけたそうです。
もちろん、中村選手がリオデジャネイロ・オリンピックに行けるようにとの願いを込めて。
その家族の思いを胸に前進し続ける中村選手。
ご家族とはLINEで連絡を取り合っていて、次も手応えがあると良い便りもあったそうです。
「スタートは遅かったけれど、克には水泳が本当に合っていたんでしょうね。自分に合うものに出会えてよかったと思います。スポーツでも音楽でも勉強でもなんでもいい、これからの子供達が自分に合うものに出会えたらいいなと思います。」
最後にこう語って下さったお父さん。
その始まりは「諦めないこと。」
お父さんが諦めずに中村選手をスイミングスクールに入れてくれるよう何度もチャレンジしたからだと思います。
その血を引き継ぐ中村選手も最後まで諦めない泳ぎをみせてくれるはず。頑張れ、中村選手!頑張れ、ニッポン!!
次の競技は8/10(水)の午前1時2分(日本時間)からスタートする男子100m自由形予選です。
写真提供:時事通信フォト(topのみ)
レポート:ひろたみゆ紀
「ひろたみゆ紀・空を仰いで」
たったひとつ眩しく輝く大きな太陽、おぼろげに優しい光を放つ月、一つ一つは小さいけれど幾千幾万という圧倒的な数でキラキラ輝く星たち…空の主人公たちです。
晴れの日もあれば曇りや雨の日、そして嵐の日もあり、毎日刻々と表情を変え、一つとして同じだったことがない空。
その空に輝く太陽・月・星も毎日姿を変えています。空には果てしないドラマがあるのです。そして、私たちの世界もまた同じ。同じような毎日でも一日たりとも同じ日はありません。ひとりひとりに果てしないドラマがあります。
ここでは、人一倍空から遠いちっちゃいひろたが、空を見上げるように、低いところからいろんなものを見上げてひとつひとつドラマを探しにいきます。プロフィール
栃木県出身。NHK宇都宮放送局のキャスター、レディオベリー(エフエム栃木)のパーソナリティを経てフリーへ。
以降ニッポン放送のパーソナリティやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。
2009年には韓国に語学留学。両国の文化を身につけパワーアップして活動中。