【ニッポンチャレンジドアスリート】
毎回一人の障がい者アスリート、チャレンジドアスリート、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを伺います。
―右ヒザが人口関節のため、90度までしか曲がらないという齋藤。車椅子バスケットボールだけではなく、車椅子ソフトボールを始めたきっかけは?
齋藤 バスケットボールの仲間から車椅子ソフトというのが日本でもあるということを聞きました。もともと野球が好きだったので興味を持ち、バスケットボールと共にソフトボールも始めることになりました。
―攻撃も守りも全員車椅子に乗ってプレーするが、フライを取る場合は落下地点まですぐにたどり着けるのだろうか。
齋藤 打球を全力で追って取ることはあるのですが、ボールが普通のソフトボールと違って、大きくて重いのでどちらかというとフライよりも強烈なゴロが来ることが多いです。横に手を出しても車椅子の高さがあって降ろすことができません。ボールの正面に回ることを前提に動かなくてはいけないので守備はスピードとチェアースキルの技術が必要になってきます。
―実は守備の難しさをカバーするため、車椅子ソフトボールは通常のソフトとは大きく異なる点がひとつある。
齋藤 通常の野球やソフトボールは9名なのですが、車椅子ソフトボールは10名でプレーします。外野は4名で守るのが基本となります。
―また、内野ゴロを1塁に送球する際、ファーストの選手と車椅子で走ってくるバッターランナーが衝突するのではと思うも、これも特別のルールがある。
齋藤 ファーストとサードにはベースラインの中に守備用のベース、ベースラインの外側に打者用のベースと、二つのベースが用意されています。1塁に走る時は、その外側を目指して車椅子を漕ぐ形になります。
―自分もプレーしたいという健常者も多いそうだ。
齋藤 1チーム半分くらいは健常者がいます。障がい者も健常者も分け隔てなくゲームをして楽しめるというところが車椅子ソフトボールの最大の魅力です。女性や子供も多く、とても活気にあるフィールドとなります。
―現在、年間で行われている車椅子ソフトボールの主な大会は?
齋藤 7月に北海道で行われる日本選手権、9月には西武ライオンズ主催のライオンズカップ、そして2月には北九州のチーム主催の北九州カップと、大きな大会は年に3回あります。また、8月には日本代表が遠征してアメリカと戦う全米選手権があります。
―アメリカではメジャーリーグのチームが車椅子ソフトボールのチームをサポートしている例も多い。
齋藤 今年は8月に全米選手権がアメリカのミシシッピーで行われました。日本代表も参加したのですが、メジャーリーグの傘下チームが6チーム出ていました。
―現在、関東にはTOKYO LEGEND FELLOWS、埼玉A.S.ライオンズ、斎藤が所属する横浜グラゴスなどのチームがある。車椅子ソフトボールをやってみたいという人はどうすればいいのか?
齋藤 各大会で体験会も行われていますし、月に2~3回は東京で練習会を行っていますので、HP見ていただいて気軽に来て声をかけてください。
―障がい者と健常者が一緒に楽しめるのも車椅子ソフトボールの大きな魅力の一つ。だが最近は健常者によるチームも誕生している。
齋藤 最近では上智ホイールイーグルスという駒大苫小牧で田中将大選手と同期だった鷲谷選手が立ち上げたチームがあります。女性も多くて楽しそうなチームです。
―東京オリンピックでは野球・ソフトボールが復活したが、これも車椅子ソフトボールにとってはいい追い風になりそうだ。
齋藤 車椅子ソフトボールの場合はまだ正式種目ではないので、協会と一丸となってパラリンピックの正式種目になるように頑張って動いています。
―最後に車椅子ソフトボールの魅力は?
齋藤 障がいがあってもなくても、男性も女性も子供もみんな楽しめるというところが最大の魅力だと思います。ランナーが出た場合、車椅子ソフトボールにはボークがないので投げるふりをしてけん制して盗塁を阻止しようとする、そこの駆け引きも面白いと思います。車椅子に乗ってプレーをするので守備が難しく、エラーも出やすい。そこをチームでフォローをすることが基本となりますので、そのために声を掛け合ったり、助け合ったりするところも注目して欲しいところです。
(2016年9月20日~9月23日放送分より)
『ニッポンチャレンジドアスリート』
ニッポン放送 (月)~(金) 13:42~放送中
(月)~(木)は「土屋礼央 レオなるど」内、(金)は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。