慰安婦像問題~韓国外相名義で“移転”求める文書をようやく送る。高嶋ひでたけのあさラジ

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2/24(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

金正男殺害事件によってマレーシアは北朝鮮との国交断絶?
慰安婦像問題、韓国外相名義で“移転”求める文書をようやく送る
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・元外交官)

金正男の親族が一両日中にもマレーシア入り

北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、遺体の身元を確認するため親族が一両日中にもマレーシア入りする見通しであることが分かりました。DNA鑑定などを行うと見られ、具体的に誰が来るのかは明らかにされていません。

高嶋)微量の薬物が検出されたとか、マレーシアとの間でも、いろいろな動きがありました。この辺を整理して、ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員お願いします。

森田)金正男氏殺害事件で、マレーシア警察の副長官が昨日、遺体の身元を確認するため親族が一両日中にもマレーシア入りする見通しだと述べています。DNA鑑定などを行って遺体を親族に引き渡したい意向です。金正男氏は北京在住の本妻と息子がいる他、マカオに別の女性とその息子の漢率(ハンソル)氏、そして娘が住んでいるとされています。マレーシア警察の副長官はマレーシアに来るのは周辺に住んでいる子供か親族と述べるにとどめています。
しかし、いずれの家族も北京やマカオを離れているという観測もありまして、情報が錯綜しています。また息子の漢率氏についてはかつて金正恩朝鮮労働党員長を“独裁者”と表現したことがあり、次の標的になるという懸念も浮上しています。またマレーシアの保健大臣は昨日、来週までに金正男氏の死因を特定できるという見通しを明らかにしています。
一方ロイター通信によりますとマレーシア政府筋は北朝鮮が捜査に対する批判をやめなければ、平壌のマレーシア大使館の閉鎖、それからマレーシア駐在の北朝鮮大使を追放するということも選択肢だと述べたということです。またマレーシアの観光文化大臣は北朝鮮を“ならず者国家”だと痛烈に批判をしています。
こうした中、複数のマレーシア治安当局者は北朝鮮大使館のヒョン・ガンソン二等書記官が事件を画策した主導的人物だと明らかにしています。事件当日国外へ逃れる4人の容疑者をこの二等書記官が見送る様子が空港の監視カメラに捉えられていたことが分かっています。警察によりますとこのヒョン二等書記官は去年9月にマレーシアに入ったのですが、マレーシア外務省が公表している去年12月時点の外交官名簿には記載されていなかったということです。

ヒョン・ガンソン二等書記官はIDを持った外交官なのか?

高嶋)この辺からまずどうですか。いわゆるマレーシアにある北朝鮮大使館。普通に言えばもう全員スパイみたいなものだろうと思うのですけれども……。

宮家)そんなことは無いですよ(笑)。

高嶋)そうですか(笑)。それで彼らは大使館の人ですから、表向き、体制を守らなければならない訳なのですけど、複雑でしょうね、はっきり言ってこういういろいろな自由な空気を吸って、さらに教養もあるような人が大使館に来ている訳ですから、なんであのお兄ちゃんを崇拝しなきゃいけないのかという。そういうことも含めて、元外交官の宮家さんどう思われますか?

宮家)私の知っている限りのことを言うと、まず外交官としてある国に行くとしますよね。そうすると日本政府から外交パスポートを発行される訳です。そして東京の大使館からその国へのビザを貰う。「ビザなし」とかなんとか言うけれども、外交官はビザがいるはずです。
それから入国をします。だけどこの人は単なる外交パスポートを持った、外交ビザで入った人ではなく、大使館に行く人ですよと、こうなる訳ですよね。そうすると今度は大使館のメンバーであって、しかもこの国に住みますというIDカードを貰わないといけない訳です。そうなると間違いなくその国の日本大使館の会員ということになって、おそらく国際法上は身体の不可侵等も含めて、最も強い保護が与えられる。その国に対して登録されていないということは“ただ外交パスポートを持った外交ビザで入った人”でしかないはずなのですよ。

高嶋)それは正規の外交官ではないということですか?

宮家)正規の外交官なのですが、日本から言えば外交官だけれど、その国からすれば大使館員として常駐している登録された外交官ではないということですね。

高嶋)まあ俗に言えば“格が違う”と。

宮家)まあIDを持っていますから、持っているか持ってないかは違いますからね。それで私に言わせればその中に“その筋”の方々がいないとは限らない。ああいう一般論として言えばね。そういう人は大体外交官のカバーで入ってくる人がいますから、この二等書記官というのはおそらくそうなのでしょう。しかし二等書記官だということであれば、外交官リストには絶対に載るはずです。だけど今の話を聞いていて、9月に来て12月には載っていない、これは十分あり得る。下手したらIDを貰うのに一ヶ月以上かかりますから。

マレーシアにとって北朝鮮との付き合いをやめる“いい機会”となる?

高嶋)他にも伺いたいのは、いわゆる当事国になったマレーシアは民間では北朝鮮とビザ無しで行ったり来たり出来るということ。あの国と? みたいな感じなのですけどね。それともう一つは、今回の正男暗殺に対して北朝鮮は勝手な事を言っていますから、それに対して(マレーシアは)少し怒り心頭で。ネット情報では「国交断絶もあり得るか?」みたいな、人もいますけど、この辺はどうですか?

宮家)昔はマレーシアといえば、東方政策のマハティール元首相いましたよね、彼は反米でしたから、その意味で北朝鮮と親和性があった訳ですよ。おそらくその時代に北朝鮮との関係が生まれた。しかしその後マハティールさんもいなくなって、世の中変わっちゃった訳ですから。しかし中々外交儀礼等々そんなに簡単に変えられないという事もあってズルズル来ちゃったのではないでしょうかね。しかし今回国内でこれだけやられたら主権侵害丸出しですから、いい加減にしなさいということで良い機会だから少しずつ厳しい態度を取るようになるのではないかと思います。

高嶋)「良い機会だから」というのが今響きましたね。要するにマハティールさんのその路線をやめる訳にはいかなかったけれども、このような事態で相手が我が儘言うのだったら無茶苦茶な国なのだから、この機会にちょっと閉じるか、というような事ですか。

宮家)マレーシアにもちゃんと誇りがありますから。

高嶋)そうですよね。という事で、来週中にもDNAの確認ができるのではないか、肉親が近くマレーシア入りか、等いろいろ伝えられております。

では続いてもう一本ニュースいきましょう。

慰安婦像問題、韓国外相名義で“移転”求める文書をようやく送る

抗議活動のプラカードなどが散乱するソウルの日本大使館建物前の慰安婦像=2015年08月15日韓国・ソウル 写真提供:産経新聞社

抗議活動のプラカードなどが散乱するソウルの日本大使館建物前の慰安婦像=2015年08月15日韓国・ソウル 写真提供:産経新聞社

外相名義の文書、今頃出したの?

韓国釜山日本総領事館前に設置された慰安婦被害を象徴する像をめぐり、韓国外務省が釜山市などに、慰安婦像の移転を求める文書を送っていたことが分かりました。日本政府は韓国側の取り決めを見極め、一時帰国させた長嶺大使を帰任させる時期を慎重に検討する構えです。

高嶋)ようやっとという事ですけどね、実際動くかどうかは分かりませんが。

森田)去年の12月に釜山市の東区の日本総領事館前に慰安婦像が設置されておりましたが、韓国外務省のユン・ビョンセ外相名義の文書というのが14日付で釜山市、そして東区に送られました。文書の内容は外交高官の保護に関する国際儀礼などの面からも望ましくない、適切な場所への移転に向けて知恵を集める必要がある、このような見解を示した文書でした。これに対して菅官房長官は昨日の記者会見で「引き続き韓国側に対し、粘り強く、あらゆる機会を通じて慰安婦像の問題を含め合意の着実な実施を求めていきたい。このように思っている」と述べております。
韓国外務省の報道官はソウルの日本大使館前の慰安婦像についても同じ考えだと言っていますが、移転などに向けた取り組みには言及しておりません。一時帰国させている長嶺大使の帰任時期について菅官房長官は「諸般の状況を総合的に判断して決める」と、こう述べるにとどまりました。

高嶋)この辺難しいですね。具体的に、例えば大使を戻すきっかけとか。この程度で戻していいのかという意見もあるでしょうし。

宮家)私に言わせれば「外相名義の文書、今頃出したの? まだ出してなかったの?」という事ですよね。それからなんとなく文言が他人事みたいで、あなたの国の事ですよ、頼みますよ、と言いたい。さらに強制措置は無い訳でしょう。そうなると我々からすると「もう一声やってくれないと、これくらいの事で帰せるかよ」という意見があるのは十分あり得る。

高嶋)その本音が通せますか?

宮家)分からない。ただ韓国とこういう喧嘩してもあまり生産的じゃない事も事実ですよね。だってこれは韓国国内の問題が絡んでいるから、我々が言える事にももちろんある程度限界がある訳ですから。

高嶋)ユン・ビョンセ外相もいままでずっとできなくて、これでようやっと、これだけでもものが言えるのだと、要求が出せるのだという事をもっと深く解釈して欲しいと言うかもしれませんね。

宮家)これだけやったのだから何とかしてよと向こうは思っているかもしれないけれど、もう一声やんないと、ちょっとっていう、非常に判断が難しい。だから総合的に諸般の事情を判断するということなのでしょう。

喧嘩は始めるのは簡単だけど終わらせるのは難しい。日韓関係改善への長い道のり

高嶋)やはり大使を引き上げるとか、国との付き合いでも非常に象徴的な出来事ですからね。

宮家)喧嘩は始めるのは簡単だけど終わらせるのは難しい。

高嶋)本当のことを言って、しっかりとあそこ撤去して、すっきりこちらの言い分が効いてあの10億円もちゃんと活きたというような事が分かってから大使館に戻るとかね。

宮家)そうすると相当時間が掛かっちゃうかもしれないですよ(笑)。

高嶋)そうですよね、それをやるとね(笑)。“10年河清を待つ”感がありますよね。

宮家)やっぱりどこかで大人の判断をしなきゃいけない時は来ると思いますが。

高嶋)パク・クネ大統領がどうなるか、弾劾があるのか。それから色んな出来事がどういう風にまとまるか、その辺りでしょうね。

宮家)それが絡んでくると思います。どさくさに紛れてちゃんといい事やって欲しいですよね。

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