Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1265回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、8月8日公開の『近畿地方のある場所について』と『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』をご紹介します。

画像を見る(全12枚) (C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
『近畿地方のある場所について』ジャパニーズ・ホラーに新たな波がやって来た!
原作は、背筋によるホラー小説。その奇妙なストーリー構成がリアルな恐怖をもたらすことで大きな話題となった人気小説が、実写映画となりました。
『近畿地方のある場所について』。タイトルからして、なんだか不気味です。ある場所って何処? どんな謎が隠されているの???
『近畿地方のある場所について』のあらすじ
オカルト雑誌の編集をしている男性が行方不明になった。同僚の編集者・小沢悠生とオカルトライターの瀬野千紘は、彼が失踪直前まで調べていた過去の記事や取材メモを頼りに調査を始める。入手したビデオ映像をチェックしてみると、そこには幼女失踪事件や林間学校での集団ヒステリーなどの怪奇現象が記録されていた。
やがて、それらの未解決事件はすべて、“近畿地方のある場所”とつながっていることに気づく。何かに導かれるように“その場所”へとやって来た2人は、衝撃の事実を知ることになる……。
『近畿地方のある場所について』のみどころ
主人公・瀬野千紘を演じたのは、菅野美穂。そしてもう一人の主人公・小沢悠生に扮したのが、赤楚衛二。それぞれのキャラクターについては、ここではオカルトライターと雑誌の編集者、ということだけに留めておきますが、彼らの関係性の変化に注目です。
本作は、劇映画とドキュメンタリーの手法を取り入れたモキュメンタリーが融合していることが大きな特徴。2人の会話から次々と謎が浮かび上がり、点と点がつながっていく展開は、ミステリー的な要素が感じられて実にスリリング。観客は3人目の登場人物のような立場で物語を追体験していくことが出来るので、見応えありますよ。
メガホンを取ったのは、『ノロイ』などで知られるホラーの名手・白石晃士監督。この人が手がける作品は、とにかく怖い! 仕事柄ホラー映画に触れる機会が多く、ちょっとやそっとでは驚かないぞ……、という私ですが、白石監督の作品を観る時は気を引き締めて試写室のシートに座っても、毎回その覚悟を軽く超える恐怖に襲われます。
本作も例に漏れず、フィクションでありながら「その場所は、本当に実在するのではないか」と錯覚してしまいそうになるほどリアル。語りたいことは山ほどあれど、すべてがネタバレにつながってしまうのが心苦しいところ。
一体、千紘と小沢の身に何が起こったのか。是非、映画館で目撃して。
『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』
世界的ガールズグループ、TWICEのダヒョンが映画初主演。2002年の韓国を舞台に高校生の他愛ない青春を描いた『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』。
男友達とつるんでばかりの男子高校生ジヌ。ある出来事がきっかけで、彼は美しさと品格を兼ね備えたクラスの優等生・ソナに恋心を抱くようになる。みんなの憧れの存在であるソナと少しずつ心を通わせていくうちに、2人は固い絆で結ばれていくが……。
誰もが経験してきた10代後半の青春を瑞々しく映し出した本作。ソナ役のダヒョンとジヌ役のジニョンが、透明感あふれる演技で観客を魅了します。
まるで卒業アルバムをめくるような温もりと甘酸っぱさが詰まった、ノスタルジックなラブストーリーです。

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
<作品情報>
近畿地方のある場所について
2025年8月8日(金)から全国ロードショー
出演:菅野美穂 赤楚衛二
監督:白石晃士
脚本:大石哲也、白石晃士
脚本協力:背筋
音楽:ゲイリー芦屋、重盛康平
原作:背筋「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)
主題歌:椎名林檎「白日のもと」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
製作:日本テレビ放送網 ワーナー・ブラザース映画 読売テレビ放送 KADOKAWA JR東日本企画 KDDI 日テレ アックスオン 研音 トライストーン・エンタテイメント ムービーウォーカー バップ STV MMT SDT CTV HTV FBS
企画・製作幹事:日本テレビ放送網
制作プロダクション:日テレ アックスオン
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
公式サイト KINKI-MOVIE.jp

(C) 2025 STUDIO TAKE CO., Ltd. & JAYURO PICTURES CO., Ltd.
<作品情報>
あの夏、僕たちが好きだったソナへ
2025年8月8日(金)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:ダヒョン(TWICE) ジニョン ソン・ジョンヒョク キム・ヨハン イ・ミング イ・スンジュン キム・ミンジュ / パク・ソンウ ン シン・ウンジョン
監督:チョ・ヨンミョン
主題歌:ダヒョン&ジニョン「You Are the Apple of My Eye」
2025年/韓国/韓国語/101分/カラー/235:1/5.1ch/
原題:그 시절, 우리가 좋아했던 소녀
英題:YOU ARE THE APPLE OF MY EYE
字幕翻訳:平川こずえ
PG-12
配給:シンカ
提供:シンカ シャ・ラ・ラ・カンパニー
(C)2025 STUDIO TAKE CO., Ltd. & JAYURO PICTURES CO., Ltd.
公式サイト https://synca.jp/bokusona/
連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/