『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

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Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1285回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、12月19日公開の『楓』と『新解釈・幕末伝』をご紹介します。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

画像を見る(全13枚) (C)2025映画『楓』製作委員会

『楓』スピッツの名曲を、恋愛映画の名手・行定勲監督が珠玉のラブストーリーへと昇華させる

「ロビンソン」や「チェリー」など数多くの名曲を世に送り出し、世代を超えて愛され続けている国民的バンド スピッツ。彼らの楽曲は主題歌という形で、これまで様々な映画やドラマに寄り添ってきましたが、楽曲そのものが映画の題材となるのは本作が初となります。

1998年にリリースされた8枚目のアルバム「フェイクファー」の収録曲で、同年にシングルカットされた「楓」。発表から27年が経った今も私たちに寄り添う名曲から、切なくも美しいラブストーリーが誕生しました。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025映画『楓』製作委員会

『楓』のあらすじ

共通の趣味を楽しみながら、恋人の木下亜子と一緒に満ち足りた生活を送っている須永恵。

しかし彼の本当の姿は、恵の双子の弟でカメラマンの須永涼。恵は1ヶ月前にニュージーランドで事故死したのだが、ショックで混乱してしまった亜子が目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまったことから、涼は本当のことを言えずにいた。

カメラマンとしての活動と、恵として亜子と過ごす時間。二重生活に戸惑いながらも、明るく真っ直ぐな亜子に惹かれていく涼だったが......。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025映画『楓』製作委員会

『楓』のみどころ

須永涼と恵の2役を演じたのは、福士蒼汰。単純に双子の兄弟を演じ分けるというのではなく、本作では“恵のフリをして生活する涼”という難しい役どころに挑戦。対照的な涼と恵の繊細な心の機微を、見事なまでに体現しています。

そして木下亜子役は、福原遥。恋人との幸せな生活の中で、心の奥底には誰にも打ち明けられない秘密を持っているという複雑なキャラクターを好演。明るい笑顔がトレードマークの彼女がみせる憂いのある表情に、ドキッとしてしまう人も多いことでしょう。

共演には宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗、大塚寧々、加藤雅也など豪華なメンバーが集結。大切な人への想いがあふれる極上のラブストーリーに、さらなる深みを与える存在感を見せています。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025映画『楓』製作委員会

恵と亜子の共通の趣味が天体観測だという設定をはじめ、本作では星空や彗星など天体にまつわるキーワードが散りばめられていますが、こうしたモチーフは「楓」の歌詞から想起されたとのこと。スピッツの楽曲は、メロディーは親しみやすい一方で、歌詞は聴く人によって多様な受け取り方ができるのが特徴。映画『楓』も楽曲の特徴と呼応するかのように、様々な解釈をもたらすことができるように作られているのが印象的です。

そして、この映画の肝となっているのは、もちろん「楓」の楽曲。本作では、いろいろなバージョンの「楓」が重要なシーンで流れてきて、その度に心を揺さぶられます。

楽曲が流れてくるたびに、観客の感情にギアが入る。この仕掛けの巧みさは、さすが恋愛映画の名手・行定勲監督と唸らされるばかりです。

ひとつの名曲から生まれたオリジナルストーリー。音楽と映画が見事に溶け合った秀作です。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会

『新解釈・幕末伝』福田雄一監督が描く、斬新すぎるニッポンの夜明け

日本史好きの中で特に人気が高い時代と言えるのが、幕末。これまでにも小説や漫画、ゲーム、そして大河ドラマなどで取り上げられ、多くのファンを魅了する圧倒的人気を誇っています。

そんな激動の時代を新たな斬り口で描いたのが『新解釈・幕末伝』。『新解釈・三國志』で「三國志」を独自の解釈でユーモラスに描いた福田雄一監督が、これまた大胆な発想で“知ってそうで知らない幕末”に迫ります。

今から150年前。日本の未来を変えようと立ち上がった男たちがいた。のちに“幕末のヒーロー”と呼ばれる坂本龍馬と西郷隆盛だ。260年続いた江戸幕府の終焉と、新しい日本の夜明けが訪れようとしていた時、その裏では誰も想像できなかった戦いと友情の物語があった……。

坂本龍馬、西郷隆盛を演じたのは、“福田雄一組の風神雷神”と称されるムロツヨシと佐藤二朗。2人を中心に豪華キャストたちが体を張ったコメディシーンを繰り広げる。その気迫に圧倒され、笑いがこぼれることしきり。

これまで誰も観たことがない幕末の偉人たちの姿に、抱腹絶倒の一作です。

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025映画『楓』製作委員会

<作品情報>

2025年12月19日(金)から全国ロードショー

出演:
福士蒼汰 福原遥
宮沢氷魚 石井杏奈 宮近海斗
大塚寧々 加藤雅也

監督:行定勲
脚本:髙橋泉
原案・主題歌:スピッツ「楓」(Polydor Records)
音楽:Yaffle
製作:アスミック・エース 東映 研音 JR東海エージェンシー カルチュア・エンタテインメント 東映ビデオ 日本出版販売 C&Iエンタテインメント セカンドサイト
制作プロダクション:アスミック・エース C&Iエンタテインメント
配給:東映 アスミック・エース
(C)2025 映画『楓』製作委員会
公式サイト https://kaede-movie.asmik-ace.co.jp/

『楓』福士蒼汰×福原遥、スピッツの名曲から生まれたオリジナルストーリー

(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会

<作品情報>
新解釈・幕末伝
2025年12月19日(金)から全国東宝系にてロードショー

出演:
ムロツヨシ 佐藤二朗
広瀬アリス 岩田剛典 矢本悠馬 / 松山ケンイチ
染谷将太 勝地涼 倉悠貴 山下美月 / 賀来賢人
小手伸也 高橋克実 / 市村正親(語り部)
渡部篤郎 山田孝之

脚本・監督:福田雄一
主題歌:「龍」福山雅治(アミューズ/Polydor Records)
制作プロダクション:クレデウス
配給:東宝
(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会
公式サイト https://new-bakumatsu.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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