Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1282回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、11月28日に公開された『栄光のバックホーム』と『ナイトフラワー』をご紹介します。

画像を見る(全13枚) (C)2025「栄光のバックホーム」製作委員会
『栄光のバックホーム』横田慎太郎さん、この映画を観てますか?
2023年9月14日。岡田彰布監督率いる阪神タイガースが、18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を果たしました。歓喜に沸くチームメイトの輪の中で一際目を引いたのが、背番号「24」のユニフォーム。同年7月に亡くなった元選手・横田慎太郎さんのもので、胴上げされて宙に舞うユニフォームを見た瞬間、タイガースファンのみならず、多くのプロ野球ファンが感涙したのではないでしょうか。
映画『栄光のバックホーム』は、元阪神タイガース外野手で、2023年に28歳の若さで死去した横田慎太郎さんの人生を綴った物語。野球を愛し続けた彼の生きざまが鮮烈に映し出されます。
『栄光のバックホーム』のあらすじ
2013年のドラフト会議で、阪神タイガーズから2位指名を受けた受けた横田慎太郎。2016年の開幕戦では一軍のスタメンに大抜擢され、初ヒットを記録。その将来性に、誰もが大きな期待を寄せていた。
ところが間もなく、ボールが二重に見えるという異変が慎太郎を襲う。医師の診断結果は、脳腫瘍。21歳の若者には無常なものだった。
それでも慎太郎は、母・まなみをはじめとする家族、恩師、そしてチームメイトたちに助けられながら、病に立ち向かっていくが……。
『栄光のバックホーム』のみどころ
本作の主演を務めたのは、元高校球児で新人俳優の松谷鷹也。本企画の立ち上げ当初から横田氏と交流を深めていた彼は、現役時代の横田氏の体型に近づけるために20kg増量。社会人野球チームの練習に参加するなど、この映画のために文字どおり野球にすべてを捧げ、横田慎太郎選手の人生を追体験しました。
そんな慎太郎を支え続ける母・まなみ役は、もう一人の主演俳優、鈴木京香。野球選手としての人生を全うしようとする息子への揺るぎない愛情を体現しています。
そして忘れてはならないのが、横田選手の現役時代の登場曲である、ゆずの「栄光の架橋」。リーグ優勝を決めた試合の9回表、横田選手とドラフト同期の岩崎優投手が、自身の登場曲を「栄光の架橋」に変更してグラウンドに登場。4万人の観客が横田選手を想って大合唱した名曲が主題歌として起用され、観客を深い感動へと誘います。
「病と向き合う」と簡単に言葉にすれども、その実は過酷で残酷。それでも希望を失うことなく、常に前を見て生き続けたエピソードの数々は、胸を打つものばかり。
とりわけ引退試合で見せた“奇跡のバックホーム”は、鳥肌が立つほどの再現力。主演の松谷鷹也が横田さん本人から譲り受けたグローブを手に、撮影に挑んだからでしょうか。
センター前ヒットを前に出て捕り、バックホームへと投げる。ひとつひとつの動きが力強く躍動的で、本当にそこに横田選手がいるかのような臨場感。「横田、やった!」と、思わず声に出してガッツポーズをしてしまう人も多いはず。
プロ野球史に残る真実を、しっかりと目に焼き付けて。
『ナイトフラワー』孤独な女性が思い描く、ささやかな幸せとは
借金取りから逃れるために、二人の子どもを連れて東京へとやって来た永島夏希。昼はパート、夜は水商売。休みなく働きながらも困窮した生活を送る中で、ドラッグの密売現場を目撃する。
子どもたちの将来のためにはお金が必要だと、ドラッグの売人になろうとする夏希の前に現れたのが、格闘家の芳井多摩恵。夜の街のルールを知らない夏希に手を差し伸べ、ボディーガードを買って出た多摩恵は、行動を共にするようになるが……。
貧困から抜け出すために裏社会に身を投じていく母親と、心に深い孤独を抱える女性格闘家。彼女たちの運命を鮮烈に描いたヒューマンサスペンス『ナイトフラワー』。
主人公・永島夏希に扮したのは、国民的人気を誇る北川景子。ほぼすっぴん、髪をブルーに染め、そして早口の関西弁でまくし立てる。子どものためなら自らの命も厭わない母親を、白熱の演技で体現しています。
多摩恵役の森田望智は、本作のためにクランクインの半年前から格闘技の特訓を開始。二人が奏でるシスターフッドな物語からも目が離せません。
この愛情は、善か悪か。モラルや正論を超えた母親のたくましい生きざまに心揺さぶられる、感動の一作です。

(C)2025「栄光のバックホーム」製作委員会
<作品情報>
幻冬舎フィルム 第一回作品『栄光のバックホーム』
2025年11月28日(金)から全国ロードショー
出演:
松谷鷹也 鈴木京香
前田拳太郎 伊原六花 ・ 山崎紘菜 草川拓弥
萩原聖人 上地雄輔
古田新太 加藤雅也 小澤征悦
嘉島 陸 小貫莉奈 長内映里香 長江健次 ふとがね金太
平泉 成 田中 健
佐藤浩市 大森南朋
柄本 明 / 高橋克典
製作総指揮:見城 徹 / 依田 巽
原作:「奇跡のバックホーム」横田慎太郎(幻冬舎文庫)「栄光のバックホーム」中井由梨子(幻冬舎文庫)
脚本:中井由梨子
企画・監督・プロデュース:秋山 純
主題歌 : 「栄光の架橋」ゆず(SENHA)
ゼネラルプロデューサー : 三田真奈美 プロデューサー : 小玉圭太
協力 : 阪神タイガース
特別協力 : 東宝 電通
配給 :ギャガ
制作 : ジュン・秋山クリエイティブ
(C)2025「栄光のバックホーム」製作委員会
公式サイト https://gaga.ne.jp/eikounobackhome/

(C)2025「ナイトフラワー」製作委員会
<作品情報>
ナイトフラワー
2025年11月28日(金)から全国ロードショー
出演:北川景子 森田望智 佐久間大介(Snow Man) 渋谷龍太 渡瀬結美 加藤侑大 / 渋川清彦 池内博之 / 田中麗奈 光石研
原案・脚本・監督:内田英治
音楽:小林洋平
エンディングテーマ:角野隼斗「Spring Lullaby」(Sony Classical International)
製作:「ナイトフラワー」製作委員会
制作プロダクション:DASH
配給:松竹
製作幹事:関西テレビ放送
(C)2025「ナイトフラワー」製作委員会
公式サイト https://movies.shochiku.co.jp/nightflower/
連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/






















