2025年を象徴する映画とは?

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Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1287回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

2025年も残りわずかとなりました。皆さんにとって、今年はどんな1年でしたか?

「あなたの2025年を漢字一文字で表す」という診断サイトを見つけたので試しにやってみると、私、八雲ふみねの2025年を表す漢字は「忙」とのこと。う〜ん、当たらずとも遠からじ。確かに例年になく、忙しい1年でした。でも決して“心を亡くす”ことなく、充実した時間を過ごすことが出来たのでは……、と自負しています。

そこで今回は、2025年年末特集。話題となった映画とともに2025年を振り返ります。

2025年を象徴する映画とは?

画像を見る(全9枚) (C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

『国宝』社会現象を巻き起こした記録的大ヒット映画

2025年を象徴する映画と言えば、やはり『国宝』。6月6日に劇場公開され、11月には興行収入173.7億円を突破。『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年公開、173.5億円)を超えて国内実写映画の興収歴代1位となり、22年ぶりに記録を塗り替えました。

『国宝』の凄さは、その数字だけにとどまらず。“大ヒット”という言葉がさらに呼び水となり、トーク番組やバラエティ番組でも、本作を観たタレントさんが話題にすること度々。「第17回TAMA映画賞」「第50回報知映画賞」では作品賞、主演男優賞(吉沢亮)をはじめ、早くも国内の映画賞を獲得。

さらに海を渡って「第98回アカデミー賞」では、国際長編映画賞、メイクアップ&スタイリング賞の2部門で、アカデミー賞12部門の候補作を絞り込んだショートリスト入りを果たしています。

2025年を象徴する映画とは?

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

任侠の世界に生まれた主人公・喜久雄が上方歌舞伎の名家に引き取られ、御曹司・俊介と切磋琢磨しながら女形としての芸を極めていく。その姿を鮮烈に描いた映画『国宝』。圧倒的な映像美で再現された歌舞伎の舞台シーンは実に美しく、息をするのを忘れてしまうほど見入ってしまいます。

そして作品の底辺には日本特有の美意識と精神性が脈々と流れており、日本文化の素晴らしさを再発見できることも魅力のひとつと言えるでしょう。まさに社会現象と呼べる『国宝』の快進撃は、2026年も続きそうです。

2025年を象徴する映画とは?

(C)2025 Tokyo comic con All rights reserved.

※写真は「東京コミコン2025」セレブステージに登場したジョニー・デップ。

ハリウッドスター来日に映画ファン歓喜!

コロナ禍以降、製作の遅れやストライキなどの問題が発生し、やや低迷な状態が続いていた洋画作品。良作が公開されているはずなのに、日本での興行収入面ではアニメや邦画実写作品に押されている感がありましたが、2025年は「これぞエンタメ!」と呼べる超大作が続々と公開。

そして映画プロモーションのために、大物ハリウッドスターが来日したことも話題となりました。

2025年を象徴する映画とは?

トム・クルーズ

※写真は『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ジャパンプレミアに登場したトム・クルーズ。

私が特に印象に残ったのが、5月に『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』チームを率いてやって来たトム・クルーズ。翌月に「映画『F1(R) エフワン』」を引っ提げて緊急来日したブラッド・ピット。そして12月5日から7日に幕張メッセで開催された「東京コミコン2025」に出席のため、約8年半ぶりの公式来日を果たしたジョニー・デップ。『ベスト・キッド:レジェンズ』の日本公開初日、主演のジャッキー・チェンと初日舞台挨拶でご一緒したことも、個人的には嬉しい出来事でした。

ハリウッド映画を象徴する俳優たちの来日は、映画ファンのみならず、彼らの映画を観て育ってきた業界関係者の胸をも熱くするもの。時代や社会情勢が変わったことで、映画を取り巻く環境もここ数年で随分と変化しましたが、やっぱり多くのスターに日本を訪れてほしいものですね。

2025年を象徴する映画とは?

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ / 1995

ガメラ生誕60周年! 平成ガメラ3部作がドルビーシネマで復活上映

2025年は『ガメラ』シリーズ第1作『大怪獣ガメラ』が公開されてから60年目にあたる年。昭和に8作品、平成に4作品の劇場映画が公開され、令和にはアニメシリーズが発表されるなど、今もなお時代を超えて愛されています。

そんなアニバーサリーイヤーに発足されたのが、ガメラ生誕60周年プロジェクト。『大怪獣ガメラ』『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』4Kデジタル修復版ほか、ガメラ映画が上映される「昭和ガメラ映画祭」。ガメラシリーズの軌跡と魅力に迫る「ガメラEXPO」。そして『ガメラ 大怪獣空中決戦』『ガメラ2 レギオン襲来』『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』の平成三部作がドルビーシネマで復活上映など、ガメラファン、そして特撮ファンならずとも見逃せないイベントが開催されています。

2025年を象徴する映画とは?

『ガメラ 大怪獣空中決戦』ドルビーシネマ復活上映公開記念舞台挨拶

※写真は『ガメラ 大怪獣空中決戦』ドルビーシネマ復活上映公開記念舞台挨拶にて。右から中山忍さん、金子修介監督、司会・八雲ふみね。

11月22日には『ガメラ 大怪獣空中決戦』ドルビーシネマ復活上映公開記念舞台挨拶を開催。長峰真弓役の中山忍さんと金子修介監督が登壇しました。

リアリズムを重視したストーリー展開と迫力ある映像で、特撮映画の歴史を変えたと称される「平成ガメラ三部作」。中でも『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、日本アカデミー賞、ヨコハマ映画祭、ブルーリボン賞にて受賞。キネマ旬報読者投票では第2位を獲得するなど、業界内外から高い評価を受けた作品です。

当時を振り返りながら、撮影エピソードを披露する中山さんと金子監督。“好きな怪獣トーク”にも花が咲き、何故か『ガメラ』シリーズには出てこない怪獣のことを話し出したお茶目な金子監督に、中山さんがツッコミを入れる場面も。和やかな雰囲気に包まれた舞台挨拶となりました。

2025年を象徴する映画とは?

『ガメラ 大怪獣空中決戦』ドルビーシネマ復活上映公開記念舞台挨拶

「平成ガメラ3部作」ドルビーシネマ復活上映では、2026年1月16日から『ガメラ2 レギオン襲来』の上映が決定。『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』も、順次公開予定です。

今年もニッポン放送 NEWS ONLINE「Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。2026年も、映画館に出かけたくなる“とっておきの一本”をご紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお過ごしください!

2025年を象徴する映画とは?

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

<作品情報>
国宝
全国東宝系にてロングラン上映中
出演:
吉沢亮
横浜流星 / 高畑充希 寺島しのぶ
森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎 / 田中泯
渡辺謙
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
音楽:原摩利彦
主題歌:「Luminance」原摩利彦 feat. 井口理(Sony Music labels Inc.)
製作幹事:MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

公式サイト https://kokuhou-movie.com/

2025年を象徴する映画とは?

(C)2025 PARAMOUNT PICTURES.

<作品情報>
ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング
Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
出演:
トム・クルーズ
ヘイリー・アトウェル ヴィング・レイムス サイモン・ペッグ ヴァネッサ・カービー イーサイ・モラレス ポム・クレメンティエフ マリエラ・ガリガ ヘンリー・ツェニー グレッグ・ターザン・デイヴィス ほか
監督:クリストファー・マッカリー
原題:Mission:Impossible–TheFinalReckoning
配給:東和ピクチャーズ
(C)2025 PARAMOUNT PICTURES.

公式サイト https://missionimpossible.jp/

2025年を象徴する映画とは?

(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

<作品情報>
映画『F1/エフワン』
Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
出演:ブラッド・ピット / ダムソン・イドリス ケリー・コンドン / ハビエル・バルデム
日本語吹替版:堀内賢雄 森本慎太郎(SixTONES) 大塚明夫 佐古真弓 本田貴子 江原正士 三宅健太 内田雄馬 森川智之 木村昴 杉村憲司 内田真礼 加瀬康之
監督:ジョセフ・コシンスキー
プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー
脚本:アーレン・クルーガー
原題:F1 : The Movie
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/f1-movie/
(映画『F1/エフワン』の正しい表記は、映画『F1 (R)/エフワン』となります)

2025年を象徴する映画とは?

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ / 1995

<作品情報>
平成ガメラ三部作
ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR

出演:井原剛 中山忍 藤谷文子 螢雪次朗 小野寺昭

監督:金子修介(本編) 樋口真嗣(特撮)
脚本:伊藤和典
音楽:大谷幸
主題歌:「神話」爆風スランプ
製作会社:大映
配給:KADOKAWA
(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ / 1995
ガメラ生誕60周年プロジェクト公式サイト https://cinemakadokawa.jp/gamera/

2025年を象徴する映画とは?

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ 富士通 日販 / 1996

<作品情報>
ガメラ2 レギオン襲来 4K HDR
2026年1月16日(金)よりDolby Cinema(TM)(ドルビーシネマ)にて全国上映

出演:永島敏行 水野美紀 石橋保 吹越満 藤谷文子 螢雪次朗 川津祐介 ベンガル 角替和枝

監督:金子修介(本編) 樋口真嗣(特撮)
脚本:伊藤和典
音楽:大谷幸
主題歌:「そら」ウルフルズ
製作会社:大映
配給:KADOKAWA
(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ 富士通 日販 / 1996
ガメラ生誕60周年プロジェクト公式サイト https://cinemakadokawa.jp/gamera/

2025年を象徴する映画とは?

(C)KADOKAWA 徳間書店 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ 日販 / 1999

<作品情報>
ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 4K HDR
順次上映予定

出演:中山忍 前田愛 藤谷文子 山咲千里 手塚とおる 螢雪次朗 本田博太郎 津川雅彦

監督:金子修介(本編) 樋口真嗣(特撮)
脚本:伊藤和典 金子修介
音楽:大谷幸
主題歌:「もういちど教えてほしい」ユリアーナ・シャノー
製作会社:大映
配給:KADOKAWA
(C)KADOKAWA 徳間書店 日本テレビ 博報堂 DY メディアパートナーズ 日販 / 1999
ガメラ生誕60周年プロジェクト公式サイト https://cinemakadokawa.jp/gamera/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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