3/14(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！③
サウジアラビア国王のアジア諸国歴訪とその狙い
7:10～やじうまニュースネットワーク：コメンテーター富坂聰（拓殖大学教授・ジャーナリスト）
石油依存からの脱却を目指すサウジアラビアの経済構造改革
会談を前に握手を交わす、サウジアラビアのサルマン国王と安倍首相＝2017年3月13日午後、首相官邸 写真提供：共同通信社
安倍総理大臣は、来日中のサウジアラビアのサルマン国王と会談し、石油依存からの脱却を進めるサウジアラビアの経済構造改革の支援に向けた協力効果を確認しました。中東市場の開拓に繋げる狙いがあり、両首脳は、日本企業のサウジアラビア進出を促す、経済特区の創設を柱とする、合意文書を発表しました。
森田）サウジアラビアは経済の大半を石油に依存するために、最近は原油安の影響で経済が悪化しているうえ、アメリカのシェールオイルに、シェアを奪われるという危機感が強まっています。それで、サルマン国王の息子で経済と軍事を任されているムハンマド副皇太子を中心に、石油依存からの脱却を目指しています。
昨日、安倍総理大臣とサルマン国王との間で合意した合意文書”日･サウジ･ビジョン2030”の中では、日本企業のサウジアラビア進出を促す経済特区創設が盛り込まれています。特区では日系の工場や研究開発施設を集積するための規制緩和や、関税手続きの簡略化などの投資促進策が盛り込まれています。
また、世界最大の石油会社であるサウジ国営の”サウジアラムコ”の、東京証券取引所での上場誘致に向けた協議を進めようということも一致しました。サルマン国王は足まで日本に滞在するのですが、その後マレーシアやインドネシア、中国など、併せておよそ1ヶ月かけて歴訪することになっています。
トランプ大統領就任後の初訪米よりも、アジア歴訪を優先した形になっており、トランプ政権の先行き不透明感を念頭に、日本や中国などとの関係拡大と進化を急いだ、このように見られています。
中国とサウジアラビアの複雑な関係
高嶋）サウジ国王一行はこれから中国へ行くわけですけれど、やはり本命は中国だと思います。
富坂）投資の力という意味でもそうだと思いますし、あわよくば、日本と中国を競争させようということです。これは最近よくやられることで、パターンに入ってくるだろうなと思います。中国もかなり積極的ですね。原発の輸出も決めています。
実際、中国は自国に石油を届けるためにカラコルムハイウェイを作るなど、いろいろなことをやってきます。石油を持ってくるという意味ではサウジは大事な国で非常に重視しているので、凄く力を入れてきたということは間違いないですね。高嶋）一方でそういう経済の濃密さ。これからの発展を願う国状というのがありながら、イランに対する態度がですね、あれは確か中国はイランに武器とかを出しているんですよね？ サウジは、イラン大嫌いでしょう？
富坂）そうですね。さらに言うと、イスラエルと中国はすごく仲がいい。アメリカの軍事技術はイスラエル経由で中国に流れたと言われているくらい、密接ですから。そういう意味では、サウジアラビアが警戒するべき相手とも仲良くしている。
さらにISの感じで行くと、ISは中国とは本当にダメ。そういう中で、サウジアラビアは裏でISに金を流しているのではないか、という疑いもあります。 表立っては非常に警戒しているのですけれども、裏で出しているのではという疑惑も。あくまで”疑惑”ですけど。だけれど、外交の応用問題の最たる物がそこにあって、難しいところです。高嶋）もう、したたかさを絵に描いたような……
富坂）そうなんですよね。だけど、第三世界の名士というポジションも、中国は目指していますから。周辺の貧しい国はもうガッサリと抑えていますからね。それで、特にいまはシェールガスでアメリカは影響力が落ちていますから。そこへグッと入るという目標も持っているので、いろいろな思惑が。
このまま人口増加が進むと、2030年には石油輸入国となるサウジ
高嶋）3年連続、とにかく赤字だよね？
森田）そうですね。人口が増え続け34歳以下の人口が62%。人口増加がこのまま進むと消費が増えて、2030年には原油輸入国に転じるのではないかという試算もあるのですよ。13年後には原油を輸入することになってしまう。失業率もどんどん高くなっています。
高嶋）じゃあ勤労意欲はわいてきている？
富坂）いや、そこが難しいと専門家も言いますよね。「全く働く気がないんじゃないか」と。
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