西武・牧田投手のアンダースローが米スカウト陣から高評価を受ける理由

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牧田和久

【プロ野球・西武対ソフトバンク】10回のマウンドにあがる、西武・牧田和久=2017年9月17日、埼玉県所沢市のメットライフドーム 写真提供:産経新聞社

1995年の野茂英雄から、日本からMLB移籍が盛んに行われましたが17年は、ルーキーが1人もいないシーズンとなりました。ところが、今オフは、日本ハム・大谷を目玉に、ロッテ・涌井、オリックス・平野がFAでメジャー挑戦を表明し、市場が活気を呈している。さびしい気もしますが、チャレンジすることは大切です。

とりわけ、牧田は、海外FA取得は2年後ながら、「年齢的にラストチャンス」と早くから、フロントへ訴え続けてきた。意外といっては失礼ですが、ファンが思っている以上の評価をされているそうです。ちょうど1年前、フロントが2年契約を提示すると、きっぱりと断った。移籍のアクションを起こしていたのです。セールスポイントは、先発、中継ぎ、守護神もできる。これほど、使い勝手が良い投手はいない。

最大のセールスポイントは、絶滅危惧種ともいわれるアンダースローです。静岡・静清工業高、1年の秋から、現在のフォームで投げている。静清工野球部では、2番手投手は「変則フォーム」の伝統があるそうです。そこで、牧田へ白羽の矢が当たりました。アンダースローにすると、ものすごいボールを投げた。現在では、チェンジアップ、スライダー、シンカー、カーブ、シュートと5種類の変化球を投げ、さらにストレートも数種類の球種をもっています。

当然ながら、下手投げは制球力が生命線。

「140キロを出したことがない」

と、苦笑していますが、対戦する打者にすれば、まことにやっかいだとか。ひざの高さに見えるボールが、いざ打つ、という段になると、顔の高さへ浮き上がってくる。魔球です。牧田獲得を密かに狙っていたのが、巨人。8月からスカウトが熱投を見守り続けた。セ・リーグにはいないタイプで、トレードが実現すれば、かなりの戦力になると見込んだのでしょう。しかし、牧田はメジャー挑戦の意志が固い。静観するしか手がありません。

大学、社会人を経て、2010年のドラフト2巡目で西武へ入団。翌11年には新人王を獲得しました。スポットを浴びたのは13、17年のWBC。強打者をきりきり舞いさせています。特に、セットアッパーとして、これほど頼りになる投手はいません。「フリスビーを投げるようだ」と話題になった。

「ロッカールーム、トレーニング設備など、とにかく素晴らしい。アメリカの空気まで、勉強になりました」

と目を輝かせています。

32歳。本人がラストチャンスと語るのは、ドジャースへ移籍した黒田が33歳だった影響もあるでしょう。横浜から移籍した斎藤隆は36歳でしたが、早ければ早い方がいい。

1920年、アンダースローのヤンキース、カール・メイズからインディアンスのレイ・チャップマンが頭部へ死球を受け、翌日、死亡するという悲しい出来事がありました。以来、MLBではアンダースローは危険な投法の評価が確立され、いなくなったと言われます。

13年から続いた、日米のポスティングシステムは10月31日で終了。もっか、新しい内容を構築するため交渉が続いています。果たして、まとまるのは、いつになるか。球団は容認しても、これからが問題。牧田に興味を示しているチームは複数あるそうですが…。

11月9日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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