リニア中央新幹線関連工事で不正入札の疑い~東京地検が大林組を事情聴取

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12/11 (月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

深刻な人手不足も影響か
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

リニア 中央新幹線 関連工事 入札 東京地検 大林組 家宅捜索

リニア中央新幹線関連工事入札で東京地検が大林組を家宅捜索。家宅捜索を終え、大林組が入るビルから出る捜査関係者の車両=2017年12月9日午前2時、東京都港区 写真提供:産経新聞社

リニア不正入札を巡り、大手ゼネコンの大林組に地検特捜部が任意で事情聴取

JR東海が発注したリニア中央新幹線関連工事の入札妨害事件で、東京地検特捜部が、大手ゼネコンの大林組の副社長らを、任意で事情聴取したことが、関係者の話で分かりました。特捜部は、受注に至る経緯を確認したと見られます。

JR東海が進めているリニア中央新幹線は、総工費が9兆円を超える巨大プロジェクトです。

名古屋や品川の駅は、地下およそ30メートル、40メートルのところに作られます。そして、路線の大部分はトンネルで、難工事となります。品川~名古屋間をおよそ40分で結び、2027年開業を目指しています。

今回、入札に不正があった疑いが持たれているのは、運行中の事故や火災に備えるため、名古屋市に新設される、非常口の工事です。新設される非常口は、「名城非常口」と呼ばれ、大林組・戸田建設・ジェイアール東海建設の共同企業体(ジョイントベンチャー)が、去年4月に受注しました。建設費は公表されていませんが、「90億円」との報道もあります。「名古屋市の官庁街にある国有地を、直径約40メートル、深さ約90メートル掘る」という内容で、非常口はリニアが走る地下トンネルの工事にも利用されます。

関係者によると、この工事を巡り、JR東海の入札業務を妨害する不正行為があった疑いが持たれており、東京地検特捜部による、大林組本社への家宅捜索は、12月8日(金)に行われました。

また、大林組の土木部門トップの、66歳の副社長と、名古屋支店の営業担当者を、任意で事情聴取したということも分かっています。

さらに、大林組だけでなく、別の工事を受注した、他のゼネコンの担当者からも、東京地検が任意で事情聴取したことが、今日、新たに分かりました。東京地検特捜部は順次聴取の対象を広げ、入札の実態解明を進めると見られています。

2020年 東京五輪 競技会場 見学するツアー 新国立競技場 建設予定地

2020年東京五輪の競技会場などを親子で見学するツアーが開かれた。新国立競技場建設予定地で進む工事=2017年9月2日午前、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

オリンピックと東日本大震災復興が原因で、建設・土木業界は深刻な人手不足

高嶋)「東京地検特捜部が手がけた事件」と聞いて、「えっ」と思いました。リニアと言うからね。地下の工事とか、90億円だとか聞くと、別に、金額で大小を言うわけではないですが、他にもっと、やらなきゃいけないのがあるんじゃないかな、と。こういう考え方は間違っていますか?

須田)いや、ハッキリ言ってショボい事件ですよね。加えて、違和感を持たれた方も多いと思いますが、何故「偽計業務妨害」なのか。本来ならこの手の談合は、「独占禁止法違反」で摘発すべきなのに、何故「偽計業務妨害」なのかというと、民間VS民間だからこそ、なのです。
そういった点で言うと、談合したのは悪いことかもしれないけれど、工期通りに確かな、スムーズな工事をやる、というのが必要なわけですから、その中で順番をつけたりローテーションを組んだりするのは、あってもおかしくないのではないかと思います。それに加えて、ここ最近はこの手の工事は、入札不調が相次いでいるじゃないですか。その背景には業者や労働者不足があるのです。職人、あるいは現場労働者も不足している状況の中で……

高嶋)相当、足りないようですね。

須田)そうなのです。実は、建設・土木業界で働いている人は、ピークは1998年で、672万人いたのです。当時の総就業人口が7,000万人だから、10人に1人が建設・土木業界で働いていた計算になります。その頃と比べると、200万人近く減っているのですよ。圧倒的な人手不足です。

高嶋)オリンピックに持って行かれてしまっている?

須田)そうですね。オリンピックに相当数が割かれている。もう1つは、東日本大震災。あれの復興工事にも、人が行っている。

高嶋)あれもね……ずっと、らちが明きませんからね。

須田)そうした中で、平成39年(仮称)のリニア開業に向け、そっちもやっていかなければならない。ということで、あちこちで人手や重機の不足している状況が発生しているのです。

先進坑 リニア中央新幹線 掘削現場 重機

地質を調査するための「先進坑」(約5.2㌔)の最先端部。リニア中央新幹線の難関工事の一つとされる「南アルプストンネル」(全長約25㌔)の山梨県早川町の掘削現場。正面は掘削用の重機。=2017年8月23日、早川町新倉 写真提供:産経新聞社

受注に見返りを求めたのか、それに関して捜査が及ぶのかが今回のポイント

高嶋)「総額9兆円」がやたら強調されていますが、今度のリニア工費は90億円?

森田解説委員)90億円が実際の工費と言われているのですが、それが果たしてどの程度の談合額なのかは分かっていません。

高嶋)この辺も、何だか変ですよね。

須田)ただ、1つ大きな問題があるとするなら、この工事を受注するに当たり、見返り(キックバック)が行われたならば話は別ですよ。ようするに、「受注するために便宜を図った」というのなら、まったく違った意味合いを持ってきます。「特捜部の捜査がそこまで及ぶのか?」、「そういった事実が、そもそもあるのか?」がポイントだと思います。

高嶋)その辺、掴んでいるかもしれない。そうすると、意味合いが変わってくる、ということですね。特捜部から「小さい事件と言うけれど」と文句を言われそうですね。だけど、この頃大きい事件を特捜部がやるのは聞いたことがないですね。

須田)いま、ちょうどいろいろな意味で「リハビリ期間中」なのですよ。地検は過去にいろいろ問題を起こしてきたじゃないですか。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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