5/11　FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ！④

キーワードは「マレーシアで史上初の政権交代」
7：27～教えて! ニュースキーワード：コメンテーター高橋和夫（国際政治学者）

マレーシア総選挙でマハティール元首相率いる野党連合が勝利

9日投票のマレーシア総選挙で92歳のマハティール元首相率いる野党連合「希望連盟」が、過半数の議席を獲得し勝利した。これによってマハティール氏が首相に就任し1957年イギリスからの独立後、初の政権交代が実現する。

飯田）なんと言っても92歳で首相に返り咲き、これから先どうしていくのかという辺りですが、事前の予想ではナジブ首相率いる与党が強いんじゃないかということも一時期言われていましたよね？

高橋）世論調査の予想をひっくり返してみんなびっくり、本人もびっくりしているのではないかと思うくらいですね。でも政権交代と言ってもマハティールさんはずっと与党にいてまた首相になったから、変わらないような気がするのですが、今度は野党のリーダーですから。野党でマハティールさんを支えている人たちは彼に刑務所へ放り込まれたような人ばかりで、その人たちを引っ張り出して応援するって不思議な人ですよね。

飯田）権力っていうのはそれだけ魅力的な部分があるのでしょうかね。

高橋）確かにナジブさんの汚職が酷いというのが広がっていて、じゃあマハティールさんのときに真っ白だったかと言うといろいろあったのですが、いまほどSNSも発達していないというところもあって「ナジブさんの汚職が酷いからお前たちの生活は悪いだろう、俺にやらせたら昔みたいによくなる」という非常に大雑把な議論だったのですけれど、国民はマハティールの時代に所得が4倍になったのはよく覚えていると思うのです。じゃあもう1回マハティールに賭けてみようかということになったわけです。ただ彼はもう92歳ですから、2年後にはいま刑務所に彼が放り込んでいるアンワルを引っ張り出してバトンタッチすると。本当にするのかなというのはあるのですが、国民としてはそれなりのビジョンを示しているかなという感覚は持っていると思いますね。

新政権で、対中国への姿勢はどうなるか

飯田）ナジブさんの汚職は、ワン・マレーシア・ディベロップメントという会社が不正会計と不正融資がかなりあって、ナジブさんが私腹を肥やしていたんじゃないかと。最後にお尻を拭った形になったのは、これは中国のお金が入っていますよね。それでかなり中国寄りだと言われたマレーシアですが、これからスタンスは変わっていきますか？

高橋）少しは変わってくると思います。世界的によく見るのは、借金漬けになった国が中国にお願いと言って、中国からお金を借りて中国の影響が入るというのが見えていて、あまり中国に付き合っていると中国に取り込まれてしまうから、どこかでバランスをとって中国から離れようとする。ミャンマーやスリランカもその例ですし、マレーシアは、少し形は違うけれど、もしかしたらそれに近い例なのかもしれないですね。
マレーシアの場合、マレー系の方が67％、中国系の方が25％という多民族国家ですからそのバランス感覚が凄く難しくて、マレー系の方にとって中国に接近することに関してはちょっと抵抗感もあると思うのです。そういう意味ではマレー系の人に対する優遇政策を打ち出していたマハティールに対する良い印象はあると思うのです。ただマハティールの時代はあまりにマレー系の方を優遇したので、才能がある中国系の人はこんな国にいられないと外へ出るということもあって、なかなかそのバランスが難しいですよね。

飯田）民族問題で言うとナジブさんがいた与党はマレー系の政党でしたけれど、今回の野党連合には多民族の人たちが入っているわけですよね。

高橋）そうですね、だからマハティールのバランス感覚をみんな信じたと思うのです。あの頃はいろいろあったけれど、経済は発展した。現在は汚職で自分たちは国際的に恥ずかしい思いをしている。だからマハティールにクリーンにしてもらって、2年で辞めると言っているからいいか、というところはあったと思います。

飯田）経済が良ければ七難隠すみたいなところもありますが、マハティールさんが経済をどう立て直すかというところは非常に重要になってきますね。

高橋）国民の生活を良くする、しかしどうやってお金を見つけてくるんだといったところですね。選挙のときにはみんな約束はできますけど、実際にそれを実行するというのはとても大変で、マハティールさんは難しい時代に入ると思います。とりあえずは選挙に勝った92歳ですから、おめでとうと言いたいですね。

飯田浩司のOK! Cozy up！
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