11/10(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
今日、ベトナム・ダナンの首脳宣言で正式に宣言される
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)
TPP参加11カ国、アメリカ抜きで大筋合意~アメリカの要求項目は凍結
TPP(環太平洋連携協定)に参加している11カ国は、ベトナム中部ダナンで閣僚会合を開き、離脱したアメリカ抜きでのTPP発効で、大筋合意しました。11カ国は、知的財産の扱いなど、アメリカが要求した1部項目の効力を凍結することで一致し、正式名称も変更して、今日の首脳会合で宣言します。
アメリカが抜けた後のTPP参加している残り11カ国は、「抜けたアメリカに要求で盛り込まれていた項目を軸に1部凍結した上で、何とかTPPを発効させよう」と、対象となる項目の絞り込みを協議していました。昨日の閣僚会合で、共同議長国の日本が中心となって最終案を示し、「知的財産の扱いなど、1部項目の効力を凍結する」と各国が一致しました。
日本が輸入する農産物を含む、関税の撤廃や削減は維持されます。参加国のGDP合計は、アメリカの離脱で、「世界の40%近く」と言われていたのが、13%程度に縮小することになります。新しい協定は「11カ国中6カ国以上の承認手続きが完了した時点で発効させる」ということになります。日本は牛肉に課す関税の引き下げなど、この規定は変わっていませんが、アメリカ産牛肉はもちろん対象からはずれることになります。TPPの首脳会合が、今日の午後ベトナムのダノンで開かれ、ここでアメリカ抜きの発効に大筋合意したことを、安倍総理等が確認します。11カ国は「包括的」とか「進歩的」という言葉を加えた、TPPの新たな名称も宣言する方向で、アメリカには引き続き復帰を促すことにしています。一方、TPPには韓国やタイ、フィリピンやコロンビアなども関心を示しており、参加国が増える可能性もあります。
海外から安い農産物が日本に入ってくるということで、国内農家には引き続き不満がくすぶるのですが、2国間の貿易協定の要求をちらつかせる、アメリカを牽制する狙い。それから、一帯一路構想などで、自国に好都合な貿易ルールを広げようとしている、中国に対抗する、という狙いも引き続きあるようです。
自由貿易でいちばん得をするのは日本
高嶋)ダナンで、APECの会議があるでしょう?
森田解説委員)はい。ダナンでは今日からAPEC首脳会合が開かれるのですが、APECの首脳宣言の中には、保護主義に対しては「対処する」という言葉になりそうで、去年は「闘う」という言葉でしたが、APECの方は、トランプ政権に保護主義に配慮したようです。
高嶋)トランプさんも同じ場所に行っている。それで、TPPイレブンもやっている。だけど、接点はない、ということですか。
森田)そうです。
高嶋)12カ国で当初は合意したものですが、今年1月にアメリカが離脱して。GDPの約65%を占めるアメリカが離れたことでどうなるのか? となっていましたが、まだ死んではいないのですね。宮家さん、これはどう取ったらよろしいのでしょうか?
宮家)まず日本から見れば、良かったと思います。何故かと言うと、やはり自由貿易でいちばん得をするのは日本なのですよ。アメリカが入ってこないのは、トランプさんがいる限り仕方がない。ただ、世の中は「12で纏まっていたけど1抜けた場合、簡単に残りの11だけで上手くいくか」と言われると、必ずしもそうではない。合意というのは、タイミングというものがあって、1つを間違えたらバラバラになる。名前は伏せますが1部の国が自分のことを言い出したら、やっと纏まったものが壊れてしまう。壊れていちばん被害を被るのは日本だから、その意味では、私はよくやったと思います。その結果、タイミングはぎりぎりだったと思いますが、何とか形を維持しました。あとはトランプさんがいなくなるのを待つしかない、ということです。
これからはアメリカを抜きにした様々な交渉が始まる
高嶋)茂木大臣も、「まさに薄氷の交渉を妥結に導いた」という達成感がにじんでいたとか。
宮家)やはり交渉というのは、最後の最後に、賭けに近いものがあるのですよ。だから、よくやったと思います。
高嶋)森田さん、これから先はこのTPPイレブン、どのような段取りになっていくのですか?
森田)その各国で、承認手続きをまたしていかなければならないのですが、この11カ国中の6カ国以上が承認手続きを国内でそれぞれ完了した時点で発効、ということになります。
高嶋)アメリカ抜きで、発効する?
森田)はい。アメリカ抜きです。
高嶋)アメリカ抜きで発効するということは、日本もそういう国々とは、TPPの中でのお付き合いをするのですね。
森田)そうです。たとえばオーストラリア産の牛肉が入ってくるとか、そういうことですね。
高嶋)国を見てみると、ニュージーランドも入っているし、ベトナムにマレーシア、ブルネイ、シンガポールとか、いろいろ入っていますから。
宮家)それを、アメリカが焦ってしまうわけですよ。農産物だって、みんなあちらの方へ行ってしまうわけですから。ちょっと考えてみて下さい。
高嶋)「買え、買え!」と言っても、「いや、こっちの肉が美味しいので」となってね。これは最終的には消費者次第ですからね。ということは、トランプさんも意外と、最後には折れてきたりして。それはないかな?
宮家)いやあ、それはないでしょう。それでは、トランプさんではなくなってしまうと思います。
高嶋)でも、来年の中間選挙の結果次第では、ちょっとどう動くか分からないところがありますね。
宮家)それはそうでしょうね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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