国民負担率について「いろいろな数字があるので騙されないように」 高橋洋一が持論を展開

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数量政策学者の高橋洋一が2月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。財務省が発表した今年度の国民負担率について解説した。

国民負担率について「いろいろな数字があるので騙されないように」 高橋洋一が持論を展開

※画像はイメージです

国民負担率

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」について、財務省は今年度(2022年度)は47.5%になる見込みだと発表した。過去最大だった昨年度をやや下回ったものの、国民所得の半分近くを占める。

飯田)個人や企業の所得などを合わせた国民全体の所得に占める税金や、社会保険料の負担の割合となります。数字だけを見ると「諸外国に比べて負担は軽いのだ」と言われますが。

高橋)国民所得はあまりなじみのない概念です。国内総生産(GDP)で割り算するのが普通なのですけれど、GDPの方が大きくて、国民所得はGDPの7割~8割です。その数字が、GDPで割り算すると0.7~0.8掛けになって、小さく出てしまうのです。

財政赤字を分子に入れて足し算する「潜在的国民負担率」

高橋)小さく出ることがいいときと悪いときがあり、少し大きめの数字を出しておくという手でもあります。あと、あまり海外にはないのですが、潜在的国民負担率という概念があります。今年度の潜在的国民負担率は61%で、少し前のコロナ体制のときは60数%になっていました。赤字を分子に入れて足し算するのですよ。

飯田)財政赤字を。

高橋)財政赤字を。でも、安倍さんの『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)のなかに「コロナ対策をして、財務省が強調し過ぎているから皆さん誤解があるのですけれど」と書いてあって、「それは子や孫の負担にはなっていません」とされています。100兆円に関してもね。だから本当は国民負担ではないのだけれど、それも入れて、ときどき煽るのです。

飯田)ときどき煽る。

諸外国と比較すれば日本の潜在的国民負担率は低いので「まだ増税の余地がある」 ~いろいろな数字があるので騙されないように

高橋)いろいろな数字があって、おそらくみんなわからないから、いいように財務省が説明するのですよね。だから「潜在的国民負担率は60%以上あります! 大変です!」という言い方をするのです。

飯田)よく出てくるのが「国民1人当たりの借金」という言葉で、政府債務の残高を人口で割ったような数字が出ますよね。

高橋)通常はバランスシートで考えると、借金と資産が両方あるので、そうすると資産の方が大きいから、実は借金はないのですよ。

飯田)そうなのですか。

高橋)そういうことを言わないので、この手の数字にはよく注意した方がいい。私が役所にいたときも「なぜGDPで割り算しないのですか?」と思うことがあったのですが、「こうやって少し大きめに出しておくのだよ」と言っていましたね。

飯田)大きめに。

高橋)諸外国と比較するときには、どんなもので行っても日本は(潜在的国民負担率が)下になるから、「まだ増税の余地がある」と言うのです。

飯田)諸外国と比較して。

高橋)確かに財政赤字を加えると数字が大きくなるのですが、財政赤字があっても安倍さんがやったように、財政負担にならないやり方もあるのです。

飯田)なるほど。

高橋)いろいろな数字があるから騙されないようにしてください、という言い方をするしかないですね。

社会保障費も法的性格は税と一緒 ~一緒に取れば効率化されるがそれはやらない

飯田)現実の負担感で考えると、社会保険料は上がってきている。特に現役で給料から天引きされる人の負担は増えていますよね。

高橋)負担感は増えるでしょうね。でも、数字を見て「もっと負担の大きい国はたくさんある」とも言えるのです。

飯田)よく北欧などと比較した話が出ますけれども。

高橋)高負担・高福祉というパターンと、低負担・低福祉というパターンがあって、日本はどちらかと言うと真ん中より少し下です。

飯田)平均より下。

高橋)でも、負担が大きければいいわけではないし、少なければいいわけでもなく、国民の選択なのです。この手の話を増税に結びつけるのですが、税金と社会保障を一緒に議論するのは正しいですよ。正しいのですが、それなら歳入庁のようなものをつくった方がすっきりしますよね。でも、それはしないでしょう?

飯田)そうですね。議論ごとにすべて一緒にすることもあれば、「税は税でしょう」と分けることもある。「社会保障費は社会保障費」と分けてやろうとすることもある。

高橋)社会保障費も法的性格は税と一緒です。だから一緒に取らないのは非効率ですよ。一緒に取れば効率化されるのは間違いありません。効率化されて保険料の取りっぱぐれもほとんどなくなります。でも、そういうことは絶対に議論しないわけです。縦割りで厚労省と財務省が、それぞれ「自分のところだ」と言っているのです。

飯田)お互いに持っているデータも整合がつかないから、資産の把握や捕捉も国税の方がよかったり。

高橋)そうですね。

飯田)社会保険料の取りっぱぐれも、実はかなりあるという話ですよね。

高橋)社会保険料の取りっぱぐれは多いですよ。多いのだけれど、国税と一緒にするという議論はしないでしょう? 普通に考えると、別の組織を内閣府の下につくればいいというのが解なのですが、厚労省も財務省も絶対に嫌がる。特に財務省は絶対に嫌がりますよね。だからこうやって数字だけ出しているときに、「一緒にやれば」と提案しても「いやいやいや」と言うわけです。みんなご都合主義で動くので、こういう数字は面白いですよ。

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