借金のカタに途上国から産業を取り上げる中国~安全保障問題も孕む「一帯一路」構想

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。G7が首脳会議(サミット)で中国の経済圏構想「一帯一路」への対抗策を協議する調整に入ったというニュースについて解説した。

習主席、国連総会の一般討論演説=2020年9月11日 〔新華社=中国通信〕 中国通信/時事通信

中国の経済圏構想「一帯一路」~G7首脳会議で対抗策を協議へ

先進7ヵ国(G7)は6月11日からイギリス・コーンウォールで開催される首脳会議(サミット)で、中国の経済圏構想「一帯一路」への対抗策を協議する調整に入った。一帯一路についてG7で本格的な協議が行われるのは初めてとなる。

飯田)日本からは菅総理大臣が向かいますが、対中国について、いろいろなところで議論になりそうですね。

安全保障問題も孕む「一帯一路」構想~借金のカタに土地などが取り上げられる途上国

須田)「一帯一路」構想は経済面だけではなく、安全保障上の問題も孕んでいるために、かなり大きな問題になっています。途上国では、借金のカタに土地などが取り上げられていて、それが先進国の脅威にもなって来ています。

飯田)途上国で。

須田)一例を挙げますと、アフリカの一帯一路構想の優等生と言われているモーリタニアという国があります。モーリタニアにはほとんど経済的に成長できるような産業がないものですから、中国の一帯一路構想を活かして、公共事業投資を中心に経済の活性化を図ろうとしています。大統領公邸、官邸、国会議事堂などを一帯一路構想のなかで建設するという状況になっています。コンピューターネットワークや監視カメラのネットワークなども中国が提供しています。他にも、選挙結果を判定する機械なども中国が提供しているような状況です。そして公的な借款以外に、民間のローンも付随して来るのです。その結果、借金が払えなくなって、さまざまなものが借金のカタに取られています。そのなかで有名なのが、モーリタニア産のタコ漁があります。

飯田)最近、モーリタニアという名前を見たことがありますね。

須田)かつてはモロッコだったのですが、最近だと輸入品ではモーリタニア産が多いのかも知れません。モーリタニアの海産物の輸出は、45%程度がタコによって占められているとも言われていて、主要産業なのです。もともとは日本のJICAが開発したものです。

飯田)もともと日本の技術が入っていたのですか。

須田)タコ壺漁なのです。ところが借金を返せないということで、タコ漁の権利を取り上げられてしまい、中国企業がこれをやっているのです。ほとんどペイを払わないものだから漁師のなり手がいなくて、犯罪者に対して、刑務所に行くのがいいか、タコ漁に行くのがいいかということを聞いて、犯罪者がタコ漁に従事しているなどという側面もある。

飯田)それだけ払いが悪いわけですね。

国の生活の根幹にあるものがすべて取られてしまう

須田)国の生活の根幹にあるものが一切合切取られて行ってしまう。これはその国にとっても死活問題になるし、そういう状況は、西側からすると「何をやっているのだ」という話になりますからね。

飯田)JICAがタコ壺漁を教えたのは、「皆さん、これで自分で生活できるようになりましょうね」ということで教えたはずなのに。精神がまるで逆ですよね。

須田)モーリタニアにはタコ壺の製造工場まであるのです。これもいま飯田さんがおっしゃったように、経済の自立を促すために、ということでやって来たのですが。

有効率が10%の中国製ワクチン

飯田)新型コロナワクチンについて、「2022年末までには、全世界で接種するように」というイギリスのジョンソン首相のコメントが紹介されていました。ワクチン外交もそうだし、気候変動もそうですが、「中国にどう対抗して行くのか」というのが喫緊の課題になりますね。

須田)中国製のシノファームなどのワクチンは、事実かどうかは別として、日本政府の理解としては、有効率10%程度なのだそうです。ほとんど効かないと。その効果のないワクチンが提供されれば、パンデミックが収束するどころか、再拡大する可能性もあるのです。我が国も含めて。

飯田)渡航者として入って来る可能性も含めると。

須田)そういうリスクも兼ねているのです。

法人税の最低税率「15%以上」~イギリスなどタックスヘイブンを持つ国がどう対応するか

飯田)G7財務相会合が行われたばかりです。法人税の最低税率を「15%以上」とすることが国際課税で合意、という報道も出て来ています。「法人税の引き下げ競争を止めるのだ」ということを、アメリカのイエレン財務長官などが言っていましたが、これは具体的なものになるのでしょうか?

須田)これをやらないと、税率の低い国や地域に企業が移転して、「税金を取り損ねる」という各国共通の悩みを抱えてしまうことになるのです。ただ、イギリスなどのようにタックスヘイブンを持っている国々がどう対応するのかというところも、問題になって来ると思います。

飯田)そうすると、イギリス的にはサミットで議題にあげたくないかも知れない。

須田)そうですね。金融立国ということで進んで来て、その一面では、タックスヘイブンの利用によって、というところもありましたからね。

飯田)ケイマン、ジャージー、香港もそうかも知れませんが、イギリスはそういうところをうまく使っている部分があったわけですよね。

須田)それを言い出すと、「ではアメリカ国内はどうなのだ」ということにもなりかねない。デラウェアとかね。

飯田)法人税がそもそも非常に低いところ。

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