エレキ歌謡史に欠かせない「一人GS」を振り返る!

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第20回 「納涼・エレキ歌謡スペシャル」(その2)

最近、ますます加熱するアナログ盤ブーム。そしてシングル盤が「ドーナツ盤」でリリースされていた時代=昭和の楽曲に注目する平成世代も増えています。
子供の頃から歌謡曲にどっぷり浸かって育ち、部屋がドーナツ盤で溢れている構成作家・チャッピー加藤(昭和42年生)と、昭和の歌謡曲にインスパイアされた活動で注目のアーティスト・相澤瞬(昭和62年生)が、ターンテーブルでドーナツ盤を聴きながら、昭和の歌謡曲の妖しい魅力について語り合います。


チャ:いやー、夏もそろそろ終わって、いよいよハロウィンの季節だねえ……こんにちは、チャッピー加藤です。

相澤:チャッピーさん、早い早い! もうちょい先です!

チャ:オレ、夏に弱いんだよ。とっとと先行ってほしいよ!……てなわけで今週も、店内が年中ハロウィンなお店、恵比寿の「魔女バー ハロウィン」からお送りします! 祝・連載20回!(拍手!)

相澤:いやー、20回もって嬉しいです!

チャ:そろそろなんか、記念のイベントやりたいねー、って言ってたら、ついに決まったんだって?

相澤:そうなんです! ひそかに準備を進めてたんですが、9月23日・秋分の日に、神田での開催が決まりました!

チャ:うぉー!! 素晴らしい!(拍手!)渋谷とか下北じゃなくて、神田ってのがイイなー、昭和な感じで。

相澤:また次回、詳しくお知らせしますが、とりあえずインフォを!

9月23日(日) 神田 音STAGE
◆チャッピー加藤×相澤瞬のそれゆけ!“リアル”ドーナツ盤万博
「ドキッ!昭和を彩った男性アイドルスペシャル
~沢田研二・郷ひろみ・光GENJI~」

OPEN 18:30 / START 19:00
前売 ¥2,500 (1D別) / 当日 ¥2,800 (1D別)
出演/
チャッピー加藤 (放送作家)
相澤瞬 (プラグラムハッチ、ニュー昭和万博)
タカハシヒョウリ (オワリカラ、科楽特奏隊)

チャ:なんか楽しそうじゃん! 客席で観たいよ、コレ!

相澤:いやいや、出てくれないと困ります(笑)。スペシャルゲストもお声がけしました!

チャ:ますます楽しみだなー。しかも翌日は振替休日じゃないですか。これは観に来るしかないね!

相澤:僕も楽しみです! トーク、そしてアコースティックライヴもあります!

チャ:合言葉は「秋分の日は、神田へ全員集合!」……ウィ〜ッス!お疲れ様でした。じゃ、1ヵ月後ね!

相澤: ちょっとちょっと、本題がまだですよ!

チャ:あ、いけね、ひと仕事終えた気になっちゃった(笑)。……てなわけで今回も、「ハロウィン」の狂夜さん、音楽プロデューサーのイノジョーさんを交えて、「納涼・エレキ歌謡特集」ということで。
んじゃ行くよ、瞬くん!

チャ・相澤:(口でエレキ)テケテケテケテケ……デュワ〜ン!


■百花繚乱!「一人GS」

チャ:で、後ろでギターがテケテケ言ってる「エレキ歌謡」、前回は「ベンチャーズ歌謡」の話で終わったけど、もう一つ、押さえておかないといけないワードがあってですね……。

相澤:なんでしょう?

チャ:「一人GS」。

相澤:え、GS(グループサウンズ)なのに、一人なんですか?

チャ:これね、オレが尊敬するGS研究家の故・黒沢進さんが命名した言葉で、GSブームがドーン! と来た60年代後半あたりから、レコード各社が「この波に乗らない手はない!」つって、自分ところの若い女性シンガーに、GS風の歌を歌わせたの。

相澤:あー、その時期のガールポップを集めたコンピ盤、聴いたことあります!……あれ、「一人GS」って言うんだ? そう言われるとなんか、しっくりきますね。

チャ:でしょ? 言い得て妙なのよ。あの美空ひばりさんも、67年にブルー・コメッツを後ろに従えて『真赤な太陽』を歌ってヒットしたからね、あやかれあやかれですよ。レコード会社って節操ないから(笑)。

相澤:でも、この時期のエレキ入ったガールポップっていいですよね。いしだあゆみさん特集のときに聴いた『太陽は泣いている』も、すごく好きです。

チャ:あれも「一人GS」だよね。じゃ、その先駆とも言えるヒット曲を聴いてもらいましょう。こちら!


チャ:1967年10月10日、キングレコードから発売、中村晃子『虹色の湖』!

相澤:あー、なんかエキゾティックというか、すごくキュートな方ですね! 衣裳もオシャレだし。

チャ:でしょ? すごく小悪魔チックでキュートだし、あと声もシャンとしてて、エレキに合うのよ。まずは聴いてみよう。

(♪ターンテーブルで、演奏)

相澤:いい! すごくいいです。この声の貫禄、ヤバイですね!

チャ:そう! これ、中村晃子の声だからイイんですよ。「私は私の道を行くのよッ!」って主張してる声じゃん。当時まだ19ですよ。なんなんだろうな、このオトナな感じは。

相澤:あと、この曲聴いて最初に思ったのは、僕の大好きなスリーピースバンド「GO!GO!7188」(2000年メジャーデビュー→2012年解散)に、すごく近いものを感じました!

チャ:フロントの二人(ギター&ベース)が女の子の、ガレージっぽいバンドだったよね。解散しちゃって残念だけど、なるほど、そう聞こえるんだ!面白いなー!

相澤:かなりアレンジとか雰囲気が近いですよね。このあたりが原点になっているのでしょうか。すごくいいです!

チャ:オレね、この歌、超スキなのよ。ヴォーカルも曲もアレンジもすべてイイし、詞の世界観もたまらんし、2分34秒で終わるのもすごくイイ!(笑)やっぱ歌謡曲は3分以内だよ。

相澤:ですね(笑)。

チャ:あと終わり方で言うとね、コレもそうなんだけど、GSの曲って、マイナーの曲でも、最後はなぜかメジャーに転調して終わるんだよね。お約束で(笑)。

相澤:確かに!

チャ:なんなんすかね、GSをリアルタイムで聴いてたイノジョーさん?

イノジョー:最後が「♪ジャーン!」ってメジャーになるのは、当時ベンチャーズがよくやってたんだよね。その影響じゃないかな?

チャ:てか、「様式美」ですよね。マイナーの曲は、必ずメジャーに転調して終わらなきゃいけないって、お作法のような(笑)。

相澤:今度、自分の曲でやってみよう(笑)。

チャ:もう一曲聴いてみようか。これもすごくヒットした曲だけど、エレキと言えば、ベンチャーズがいる東芝も黙ってないよ! 68年1月5日発売、黛ジュン『乙女の祈り』!


(♪ターンテーブルで、演奏)

相澤:うわー! これも好きだわー。このギター、すごくガレージっぽいですね。

チャ:走りまくってるでしょ? 作曲&編曲は鈴木邦彦さんで、GS期の「3大邦彦」(加瀬邦彦・村井邦彦・鈴木邦彦)の一人だけど、もうこのへんになると、既存の作曲家センセイの手に負えなくなるわけよ。

相澤:ですよねー。

チャ:あと、レコード会社の専属バンドも、こんなギター弾けないから、フリーの作曲家や、腕利きのミュージシャンが、旧態依然だった日本のレコード業界に参入するきっかけになったのね。「一人GS」もまた、革命にひと役買ったわけですよ。

相澤:これもジャスト3分ですけど、最後の「♪イエイエ! ウォウォ!」っていう合いの手も好きですねー。この頃から「イエイエ!」には「ウォウォ!」なんですねー。

チャ:言われてみれば、確かに!

狂夜:アタシ、TRF歌っちゃった(笑)。

相澤:そういえば僕も、「♪イエイエ!」のあとに「ウォウォ!」って言ってる曲を書いたことあります!(笑)知らなかったけど、このへんがモトなんですかね?

チャ:たぶんそうじゃないの? あらためてみんなで聴いてみると、いろんなコトに気付くなあ(笑)。


■時代を進めたアレンジャー

チャ:「一人GS」について語ってくとホントにキリがないんだけど、これもぜひ聴いてもらいたい。ちょっと時代が下るけど、71年6月1日発売、小山ルミ『さすらいのギター』!


相澤:この人もまたエキゾチックですね!

チャ:そう、お父さんがアイルランド人で、ハーフなんだけど、モデルから女優になって、レコード出すっていうよくあるパターン。当時、ドリフの映画にも出てて、加藤茶さんと一時噂があったのよ。

相澤:へー。このときいくつですか?

チャ:18(爆笑)。

相澤:なんなんでしょうね、このオトナっぽさは?(ジャケット手にとって)あっ、なんですか、このジャケット! 脚まで写真がある!


チャ:あ、この頃の若い女性歌手のレコードは、みんなこうなってたのよ。折り目を伸ばすとピンナップになるっていうね。

相澤:ホントだ!「あなたのお部屋にピンアップして下さい」って書いてある!(笑)

狂夜:そうか、レコード買わないと手に入らないのね〜。特典写真だ。

チャ:そうなんですよ。この頃のレコジャケはポスター代わりでもあったんです。さっそく聴いてみよう。

(♪ターンテーブルで、演奏)

相澤:あ、これもアレンジは川口真さんだ! これもいいですねー。

チャ:ここでもいい仕事してるんですよ。これね、モトはロシア民謡で『満州の丘に立ちて』って曲なんだけど、これをフィンランドのあるバンドが、エレキアレンジでカヴァーして、世界中でヒットしたのね。

相澤:あ、ロシアの曲なんですか。外国の曲って、歌謡曲にするとすごく合う曲ってありますよね。

チャ:これなんかもそうだよなー。で、そのエレキ化されたヴァージョンを誰が日本に伝えたかというと、ベンチャーズなんですよ(笑)。なんでもカヴァーするからね、彼ら。

相澤:そのベンチャーズをまたカヴァーしたのが、これなんですね? 歌詞が付いて、完全に歌謡曲になってますねー。

チャ:そう、カヴァーのカヴァーのカヴァーなんだよ。この曲って大瀧詠一さんの『さらばシベリア鉄道』にも影響を与えたんじゃないか、と言われてるけどね。

相澤:でも川口さんのアレンジ、攻めてますよね。なにかこう、新しい歌謡曲を創っていこう! という心意気を感じます!

チャ:そうだねー。やっぱり、従来のセンセイに編曲をお願いすると、どうしても橋幸夫の青春歌謡みたいになっちゃうわけですよ。川口さんのように、新しい感覚のアレンジャーが出てきたことで、日本の歌謡曲はどんどん進化していったんだよね。

相澤:この曲とか、歌謡曲というより、すでにニューミュージックというか、そっちに向いていってるような気がしますね。いやー、今回も勉強になりました!

チャ:さらに80年代編をやろうと思ったんだけど、瞬くんもライヴ終わりだし、オレもイノジョーさんと昼にハロプロ観たばかりだから(笑)、ちょっと仕切り直そうか。……じゃ、また来週、ココで!

相澤:楽しみにしてます!

……次回も、さらに進化した「エレキ歌謡」について、二人があれこれ語ります!お楽しみに!

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今回お邪魔したお店:「魔女バー ハロウィン」
東京都渋谷区恵比寿西1-2-7-3F
JR山手線・埼京線、地下鉄恵比寿駅西口より徒歩1分
営業時間:20:00~翌5:00 日曜も営業 基本休みなし
地図はホームページにて(道案内動画もあり)
http://majobar.com
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9月23日(日) 神田 音STAGE
◆チャッピー加藤×相澤瞬のそれゆけ!“リアル”ドーナツ盤万博
「ドキッ!昭和を彩った男性アイドルスペシャル
~沢田研二・郷ひろみ・光GENJI~」

OPEN 18:30 / START 19:00
前売 ¥2,500 (1D別) / 当日 ¥2,800 (1D別)
出演/
チャッピー加藤 (放送作家)
相澤瞬 (プラグラムハッチ、ニュー昭和万博)
タカハシヒョウリ (オワリカラ、科楽特奏隊)
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音楽プロデューサー:イノジョーさんのイチ押しアーティストは下記。
和歌山プロモーションソング「マイヤコンディアス」絶賛発売中!
◆魚住弘樹 http://uozumihiroki.com/
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【チャッピー加藤/Chappy Kato】

昭和42年(1967)生まれ。名古屋市出身。歌謡曲をこよなく愛する構成作家。好きな曲を発売当時のドーナツ盤で聴こうとコツコツ買い集めているうちに、いつの間にか部屋が中古レコード店状態に。みんなにも聴いてもらおうと、本業のかたわら、ターンテーブル片手に出張。歌謡DJ活動にも勤しむ。
好きなものは、ドラゴンズ、バカ映画、プリン、つけ麺、キジトラ猫。

【相澤瞬/Shun Aizawa】

昭和62年(1987)生まれ。千葉県出身。懐かしさと新しさを兼ね備えた中毒性のある楽曲を、類い稀なる唄声で届けるシンガーソングライター。どこまでもポップなソロ活動、ニューウェーヴな歌謡曲を奏でる「プラグラムハッチ」、 昭和歌謡曲のカバーバンド「ニュー昭和万博」など幅広く活動。
好きなものは、昭和歌謡、特撮、温泉、うどん、ポメラニアン。

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