たった2人だけで2時間弱! 伝説のジュリー武道館ライブをレポート
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第15回 (特別編)「沢田研二・武道館ライヴレポ」
最近、ますます加熱するアナログ盤ブーム。そしてシングル盤が「ドーナツ盤」でリリースされていた時代=昭和の楽曲に注目する平成世代も増えています。
子供の頃から歌謡曲にどっぷり浸かって育ち、部屋がドーナツ盤で溢れている構成作家・チャッピー加藤(昭和42年生)と、昭和の歌謡曲にインスパイアされた活動で注目のアーティスト・相澤瞬(昭和62年生)が、ターンテーブルでドーナツ盤を聴きながら、昭和の歌謡曲の妖しい魅力について語り合いますが……今回は特別編!
チャ:(時計台下に駆け込み)……瞬くん、お待たせ!
相澤:あ、チャッピーさん、お待ちしてました! いよいよですね!
チャ:いやー、きょうのライヴ、すんごく観たかったのよ。知り合いのジュリーファンから「チケット2枚、定価でお譲りできますが、いかがですか?」ってメールが来たとき、ちょうど横に瞬くんがいたんだよね(笑)。
相澤:ホントにラッキーでした! 先日、この連載でジュリー特集をやってから、もうジュリーのことで頭がいっぱいで!(笑)一度ステージを生で観たいと思ってたんです。
チャ:てなわけで今回は、いつもとちょっと趣向を変えまして、今年古希(70歳)を迎えたジュリーの全国ツアー初日、日本武道館公演のライヴレポートをお届けします!……瞬くん、中に入る前に、アリバイショット撮ろう!
相澤:あ、チャッピーさん、「自撮り棒」持ってきたんですか?
チャ:コレ、Bluetooth使って、遠隔操作でシャッター押せるはずなんだけど、設定がうまくいかなくてさぁ……瞬くん、わかる?
相澤:え、こうやればいいんじゃ……あれ? なんかヘンですね?
チャ:2年ぐらい使ってなかったから、スネてんのかなあ?……やばい! ライヴ始まっちゃうぞ! もういいや、タイマーで撮ろう!
チャ・相澤:はい、チーズ!!
■前代未聞の「武道館2人ライヴ」
(チャッピー&相澤、武道館の中へ)
チャ:ええと、南東ってこっちだよな。……アレ? オレの番号がないよ! なんで?
相澤:チャッピーさん、行き過ぎです! 35番はここですよ!
チャ:あ、35番か! 53番と勘違いしてた! 最近、老眼が進んじゃってさぁ……。
相澤:それ、老眼と関係ない気がします!……でもすごくいい席ですね!
チャ:正面ややナナメだけど、1階だし、思ったよりステージに近いなー。ラッキー!
相澤:ステージの真後ろにも、お客さん入れてるんですね!
チャ:5年前に武道館で、タイガースの再結成ライヴを演ったときも360°使ってたけど、これって、アーティスト側からするとやりにくくない?
相澤:僕はまだ経験ないんですけど、やはり右も左も背中も、すべてお客さまがいらっしゃるのは、相当緊張感が増すと思いますね。後ろ向いて、咳払いとかも出来ないでしょうし……
チャ:あー、確かに! 息が抜けないよねー。
相澤:あと、ステージが妙にガランとしてますけど……見たところ、ドラムもキーボードもないですね。
チャ:あ、実はね、今回のツアーが始まる前に、ジュリーはバックバンドを解散してるのよ。武道館どうすんのかな? と思ったら「ごくシンプルな編成でいく」ってウワサなんだよね。
相澤:そうなんですか。武道館クラスでは、あまり見たことの無いスッキリさですね…! これから何が起こるのか、ワクワクします!
チャ:オレも超楽しみ!……お、客電消えた! 来るよ来るよ!
(♪開演! → 2時間後……)
チャ:(興奮した顔で)うぅむ、こ、これは、とんでもないものを観てしまったゾ!……瞬くん、どうだった??
相澤:(同じく、上気した顔で)いやー! とにかく凄かった……!!
間違いなく、後世に語り継がれる、凄いものを観てしまった気がします……! 僕がこれまで観たライヴの中で、間違いなく5本の指に入りますね。
チャ:オレも同感! まさか、ジュリーとカズさん(=ギタリスト・柴山和彦氏)だけで最後まで演りきっちゃうとは! ここってライヴハウスじゃなくて、武道館だよ!
相澤:レジェンドが、さらに新たな伝説を作ってしまった歴史的な一日だったんじゃないかと思います…! このギタリストのカズさんって、ジュリーとは長いんですよね?
チャ:そう。前に井上尭之バンドの話をしたじゃない? 1980年に尭之バンドが解散したあと、ジュリーは新たに「ALWAYS」っていうバンドを結成するんだけど、カズさんとはそこからの付き合いだから、かれこれ38年か。
相澤:どおりで、納得です! 2人だったのに、確実に「バンド」の音が鳴っていた気がします。
チャ:あー、確かにそれは言えるなあ。いつもより短かったけど、ボーカルとギターだけで2時間弱……普通もたないよね?
相澤:「2人だけで演奏する」ということなら、絶対的な信頼関係があれば、それ難しいことではないと思うんです。でも、あの数の観客を相手に2時間弱、飽きさせずにパフォーマンスするなんて、これは本当に、簡単にはできないことだと思います。
チャ:そうだよねー。ジュリーもMCで「構想12年」って言ってたけど、実行に移すには相当な勇気が要ったと思うんだよ。でもそれを、70歳記念のツアーで演るか? しかも、これから2人だけで全国廻ってくわけでしょ? うーん(絶句……)
相澤:基本的に楽器が少なければ少ないほど、長時間の演奏って、演奏する側も、聴く側もなかなか大変だなと思っていて。それを軽々と、ものすごいクオリティで最後まで演奏できるのは、あのお2人だからこそできたことですよね。
チャ:そうだよなー。だってゴマカシが利かないもんね。あと、聴く側も「ここでキーボードが入ったらなー」とか、どうしても思っちゃうじゃない? でもきょうに関して言うと、もっと「2人だけの音」を聴いていたかった。
相澤:僕もです! そして、ボーカルの「表現力」が圧倒的なジュリーだからこそ、できたライブですよね。70歳というお歳でもまったく声が衰えてなかったですし、むしろパワーアップしているように感じました…!
チャ:10年前の還暦ライヴでは、東京ドームと、大阪の京セラドームを借り切って1人で80曲歌いきったんだけど、あれと同等、いや、それ以上のキツさがあったと思うのね。なんでジュリーって、こうもガチンコなんだろうなあ。だから好きなんだけどさ(笑)。
相澤:そうですよねー。シンプルな編成だからこそ、ジュリーの唄やパッションの「芯」の部分をビシビシ感じました。
チャ:そうだね。喩えて言うならば、具が何も入ってないけど、めちゃくちゃ美味い「素うどん」を喰った感じだなー(笑)。
■ファンへの「愛」と「感謝」
チャ:ツアーはまだ始まったばかりなんで、細かい曲目に触れるのは避けようと思うんだけど、オープニング曲については触れておこう。なんと『カサブランカ・ダンディ』(1979)だったんだよなー。
チャ:70年代末のジュリーを代表する曲だけど、瞬くんは生で聴いてどう思った?
相澤:キターッ! って感じで、興奮しまくりでした……。しかもウィスキーをプシューっと、天に向かって吹いてましたよね?!
チャ:あれはね、当時TVの歌番組でもやってたパフォーマンスなんだけど、水筒の水使って、よくマネしたもんよ。でも鼻に入ってむせちゃってさぁ……。
相澤:(笑)。僕はあの伝説の「ウィスキー吹き」、初めて生で観て、それだけでも感激なんですけど、ステージがプロレスのリングに見えて、ジュリーの並々ならぬ気合を感じました!
チャ:あー、確かにあれは、プロレスのリングパフォーマンスに通じるモノがあるよね。なるほど!
相澤:昔のヒット曲は少なめでしたけど、メチャクチャ楽しめました! ホント感服です!
チャ:衣裳もけっこうキてたよねー。電飾付いてたし(笑)。
相澤:イメージと違う衣装でビックリしました!(笑)でもジュリーは『TOKIO』(1980)でパラシュートも衣装にしてしまうくらい奇抜なこともされてましたから、そう考えると、あれは「私服」くらいの感覚なのかもしれませんね!(笑)
チャ:そうだねー。あと、アンコールの衣裳にもマジで驚いたけど、それはこれから行く人のために、あえて伏せておきます(笑)。いずれにせよ、こんなサービス精神旺盛な人、そういないよね。
相澤:そんなところも格好いいですよね…!
チャ:でも、いくつか歌詞を間違えたりしてて、そこも好き(笑)。……あ、格好いいといえば、さっき武道館の正面で写真撮ったじゃない? 看板見て「アレ?」って思わなかった?
相澤:看板?……あ! そういえば、冠が付いてなかったですね!
チャ:そう、スポンサー一切なしでツアーやってるのよ。完全に自主興行。なのに、物販も欲がないんだよね。そんなとこも実にジュリーらしい。で、そんなジュリーに付いてくファンの多さね。
相澤:僕も、さっきチャッピーさんを待ってる間、武道館を囲んだファンの皆さんの熱気にビックリしました…。本当にこの日を待ち望んでいたんだなって。
チャ:「OLD GUYS ROCK」ってツアータイトルは、そんなファンの熱さも込みのネーミングじゃないのかな。まあ今回は、ホント来てよかったし、20歳下の瞬くんと、この感動を共有できたことを幸せに思います。じゃ、最後に瞬くん、きょうのまとめをどうぞ!(笑)
相澤:きょうは「伝説の一日を目撃してしまった」の一言につきます…! 70歳という節目のライブに参加出来て、本当に幸せです。
そして、僕はとにかく、ジュリーからお客さんへの「感謝」と「愛」を感じました。
チャ:確かに、MCとか最小限しかしないし、時にステージからお客さんを叱ったりもするジュリーだけど、みんなわかってるわけよ。「それがジュリーなんだ」って。そういう関係が成立してることにも感動するなー。
相澤:まだまだ、僕自身ジュリーを勉強中ですが、ジュリーが100歳まで、いや200歳まで追いかけていきたいです! チャッピーさん、また是非一緒にライブに行きましょう!
チャ:OK!……200歳のジュリーって、ナニ歌ってるんだろう?(笑)
……次回はスペシャルゲストが登場! 「永遠の若大将」加山雄三の魅力を、若大将フリークで知られる映画監督・河崎実さんをお迎えして、あれこれ語ります! お楽しみに!
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▼相澤瞬 おすすめライブ情報はこちら!▼
7月22日(日)吉祥寺シルバーエレファント
◆プラグラムハッチ レコ発&改名10周年記念企画
「TOKYOトレンディナイト」
open 17:30 / start 18:00
前売券 ¥2,500(1D別) / 当日券 ¥2,800(1D別)
■前売券のメール予約はプラグラムハッチ official HPにて
http://plugramhatchi.com
■シルバーエレファント店頭でも販売しております。
【出演】プラグラムハッチ、姫乃たま、弱虫倶楽部、かなまる、オワリズム弁慶、テジナ
8月12日(日)吉祥寺シルバーエレファント(ニュー昭和万博)
◆ニュー昭和万博 レコ発ディナーショウ
レコ発 ワンマンディナーショウ
「新人類の進歩と調和 2018」
開場18:00 / 開演19:00
前売券 ¥2,500(1D別) / 当日券 ¥10,000(5D別)
■前売券のご予約はnewshowa@gmail.com、吉祥寺シルバーエレファント店頭、Twitterで受付中!
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【チャッピー加藤/Chappy Kato】
昭和42年(1967)生まれ。名古屋市出身。歌謡曲をこよなく愛する構成作家。好きな曲を発売当時のドーナツ盤で聴こうとコツコツ買い集めているうちに、いつの間にか部屋が中古レコード店状態に。みんなにも聴いてもらおうと、本業のかたわら、ターンテーブル片手に出張。歌謡DJ活動にも勤しむ。
好きなものは、ドラゴンズ、バカ映画、プリン、つけ麺、キジトラ猫。
【相澤瞬/Shun Aizawa】
昭和62年(1987)生まれ。千葉県出身。懐かしさと新しさを兼ね備えた中毒性のある楽曲を、類い稀なる唄声で届けるシンガーソングライター。どこまでもポップなソロ活動、ニューウェーヴな歌謡曲を奏でる「プラグラムハッチ」、 昭和歌謡曲のカバーバンド「ニュー昭和万博」など幅広く活動。
好きなものは、昭和歌謡、特撮、温泉、うどん、ポメラニアン。