本日はジュリーこと沢田研二の誕生日、70歳、古希である!
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【大人のMusic Calendar】
本日でジュリーも何と70歳ですよ。
もっとも、ザ・タイガースのオリジナル・メンバーでは一番若い。
10年前の東京ドームでの還暦ライヴからアッと言う間の感もありますが、かく言う私も今や還暦から3年も過ぎてしまいました。
自分がそうなってみると、今日の体力・明日への気力に翳りが見えて来るということも大いにありますゎね。
私と同い年の秀樹も逝ってしまいましたし、ジュリーとの関係は言わずもがなの井上堯之さんも、そして「許されない愛」「危険なふたり」「追憶」など初期の大ヒット曲のアレンジャーとして、ジュリーならではの斬新な、お茶の間ロックのたたずまいを構築した東海林修先生の訃報も記憶に新しいところです。
(ほんの少しだけ私も関わらせていただいた、昨年11月に放映されたCSの歌謡ポップスチャンネル『永遠のロッカーたち』の加瀬邦彦特集で、東海林先生は特に「許されない愛」を含むロンドン録音のアルバム『Julie II』に触れて「(ヒットして)沢田はとても喜んで、もうグループサウンズの沢田って言われなくなりましたあ~、って」などと語られていましたが、これが生前最後の公のインタビューとなったのでしょうか)
しかしながら、ジュリー本人はまた本年も来月から半年以上に渡って全国縦断のコンサートを精力的に開催!
このまま後10年も軽いんじゃないかと思わせてくれますが、とはいえ今日は昔のジュリー宝石箱をちょっと開けてみたくなりました。
決して懐古だけのつもりでは無くて、…いやいや、還暦も過ぎると、若かった時代の記憶こそが、より鮮明にキラッキラッと光り輝くような気もしたりして。
20年くらい前、ある本に書いたこともありましたが、やはりジュリーはライヴやアルバムや芝居などもさることながら、それよりも1枚のシングル盤をこそ引っ提げて、その時折の演歌勢やニューミュージック勢、はたまた新御三家、たのきん、あまたの女性アイドル達とバトルロイヤルなヒットチャートのリング上で闘っていた時代が最も面白かったように思われてなりません。
そこで、まずは前記の本でも挙げたシングルA面曲のマイベスト10を転載。
なお、私が考える「美しいシングル盤」の条件を付けての選定でしたが、その条件とは「先行発売アルバムからのシングルカットでは無いこと」、そして「フェイドアウトしないこと」。
従って「許されない愛」「危険なふたり」「TOKIO」などは対象外。
さらには「長さは3分間」の条件をこそ付けたかったのに、それだとハードル高くなり過ぎて…。
(ちなみに、私が考える古今東西の最高シングルはローリング・ストーンズの「ホンキー・トンク・ウィメン」ですが、当然ながら上記の3条件を満たしている訳で…)
ともかく、結果は以下の通り。
1)死んでもいい(1972年/作詞・山上路夫/作曲・加瀬邦彦)
2)時の過ぎゆくままに(1975/阿久悠/大野克夫)
3)勝手にしやがれ(1977/ 阿久悠/大野克夫)
4)ダーリング(1978/阿久悠/大野克夫)
5)恋のバッド・チューニング(1980/糸井重里/加瀬邦彦)
6)渚のラブレター(1981/三浦徳子/沢田研二)
7)麗人(1982/阿久悠/沢田研二)
8)どん底(1984/大津あきら/井上大輔)
9)muda ムーダ(1989/神沢礼江/井上ヨシマサ)
10)愛まで待てない(1996/覚和歌子/吉田光)
順位は敢えてリリース順としたものですが、この際「死んでもいい」がオールタイム・マイベスト1でもイイかな~
そして今日は、新たに「裏ベスト10」をチョイスしてみました。条件は「シングルA面曲」では無いことだけ。
1)美しい予感(1971/山上路夫/井上堯之)
2)世紀末ブルース(1980/浅野裕子/大野克夫)
3)バイバイジェラシー(1981/三浦徳子/加瀬邦彦)
4)テーブル4の女(1981/三浦徳子/加瀬邦彦)
5)一人ベッドで(1972/沢田研二/沢田研二)
6)夜の翼(1973/安井かずみ/加瀬邦彦)
7)枯葉のように囁いて(1983/三浦徳子/井上大輔)
8)ジャスト フィット(1982/井上陽水/井上陽水)
9)アンドロメダ(1980/岡田冨美子/鈴木キサブロー)
10)お前なら(1972/沢田研二/沢田研二)
11)遠い旅(1974/安井かずみ/井上堯之)
こちらの順番も順位じゃなくて、この流れで丸ごと聴きたいというセットリストのつもりですが、アレレ、ポリドール時代だけでも思わず10曲を超えちゃった。でも、まあ勝手な愉しみだから、今回はこれでGo‼(実は上記の21曲をCDRに焼くと、ちょうど過不足無く1枚に収まるのです)
ちなみに「世紀末ブルース」はアルバムにはライヴ録音が収録されていましたが、それとは異なるスタジオテイクの、特にパーカッション風のドラムが誠に小気味良いシングル(B面)のみのヴァージョンで。
「バイバイジェラシー」もアルバムとは違ってヴォーカルが普通にONにミックスされ、別の気持良く展開するギターソロがフィーチャーされたシングル(B面)ヴァージョンを。
両曲は編集盤CD『B面コレクション』から(おそらくアルバムに曲があるからと機械的に)外されたので、CDでは結構入手困難のはずですが、当然ながらアナログ・シングル盤は数多く出回っているので、「恋のバッド・チューニング」と「渚のラブレター」のシングル盤をお持ちの方はB面にも針を落としてみてくださいませ。
「テーブル4の女」はタイトルと曲調、演奏および歌唱からはハードボイルドな悪女モノかと思わせて、よくよく歌詞を眺めるとオタク野郎の妄想的な片想いの戯言、というギャップもある意味スリリング(笑)ですが、洋楽ロックの2人組マーク=アーモンド(ソロ歌手のマーク・アーモンドとは別人)のアルバム『Other Peoples Rooms』収録の「Girl on Table 4」の日本題と全く同じ。これはジュリーより3年ほど前の作品ですが、曲想は全然違っても歌詞は同じシチュエーション。ま、偶然の一致では無いでしょう。
また、堯之さんの2曲は一聴では淡泊な印象でも、聴き込むほどに滋味あふれて底光り度は増すばかりの、私にとっては一生の宝物。
以上、とりわけ熱いファンの方からは異論続出ではありましょうが、ともかく、ファンの皆さま、今日こそは(いや、今日もまた)ジュリー三昧で♪
沢田研二「許されない愛」「死んでもいい」「恋のバッド・チューニング」ジャケット撮影協力:鈴木啓之
【著者】小野善太郎(おの・ぜんたろう):高校生の時に映画『イージー・ライダー』と出逢って多大な影響を受け、大学卒業後オートバイ会社に就職。その後、映画館「大井武蔵野館」支配人を閉館まで務める。現在は中古レコード店「えとせとらレコード」店主。 著書に『橋幸夫歌謡魂』(橋幸夫と共著)、『日本カルト映画全集 夢野久作の少女地獄』(小沼勝監督らと共著)がある。