【月イチ連載コラム:工藤大輝と偶像音楽論(通算 第25回)】
ニッチにアプローチし続けることによって、
マスを少しずつ侵食していくスタイル。
ライブ・ライフ / フィロソフィーのダンス
それの良し悪しと時代に対してのアプローチの正当性は、オリコン1位という結果を伴って証明されたと思います。本当にめでたい。
いつの時代も先駆者の息は長く、Perfumeさんのエレクトロしかり、狭く細いジャンルは多様性こそ王道タイプに劣るものの、コアなファン層の獲得に大きな説得力と信頼を持たせることができます。フィロのスは序盤からそのスタンスを崩すことはなく、これからも恐らくそれは変わらないでしょう。
コアな曲だとか、マニアックなジャンルだとか、言われている部分はあるのかもしれませんが、そもそも「お茶の間」や「ゴールデンタイム」という言葉の存在意義が殆ど無くなり、テレビは録画、ネット配信、いつでもどこでも観れるYoutubeに、Instagramなどが主流になり情報の入手方法に一貫性が無いのに、マニアックもなにもあったものではないのです。
故に、誰でも知ってるヒット曲を作るのは難しい。
ならいっそ、とことん、ディープに。
とは言え、コンセプチュアルなグループは年々増加傾向にあり、「あえて」「逆に」なアイデアもかなり消費されてきてしまっているのが現状。フィロのスがそんな中でも右肩上がり続けているのには幾つか理由があるとは思いますが、最も重要な部分が、超を付けても足りないくらいの「徹底」だと思っています。
楽曲のジャンル、これはある程度担当の制作チームを固めれられれば大幅にブレることは無いとは思います。振付、ここも同じことが言えます。ジャケットデザインやビジュアルコンセプト、意外とこれはブレやすくて、曲に合わせるのか人に合わせるのかでも変わってきますが、勿論ここもフィロのスはブレません。MV、これも観せたいものがハッキリしていて曲ごと世界観は異なるものの時代背景はブレない。衣装もそう。
そして一番大切なのは、それをメンバーが嫌々やっていないこと、理解していること。
イッツ・マイ・ターン / フィロソフィーのダンス
僕らの世代には懐かしの、あんなゲームやこんなゲームのパロディが盛り沢山のMVも、ネタじゃなくて、ガチでやる。これこそがグレーゾーンの評価に繋がっていってるんだと思います。
昔の記事で書きましたが、ライブでは段違いのボーカルスキル。そして、楽曲や映像作品なども抜かりなく、メンバーもキャラが立っててそれぞれ可愛い。改めて、死角なし。さぁ、ライブに行きましょう。
と言うことで今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。