話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、28日のサッカー・アジアカップ準決勝で、絶妙のコンビネーションを見せて強敵・イランを下した日本代表の2トップ、大迫勇也選手・南野拓実選手のエピソードを取り上げる。
アジアの覇権奪回を目指し、負けられない戦いが続いている森保ジャパン。2大会ぶりのVに向け最大の難敵と言われていたのが、準決勝の相手・イランでした。今大会、イランは準々決勝まで5試合戦って無失点、攻めては、エースのアズムンを中心に12得点。しかも、国際Aマッチの公式戦では、アジア勢に39戦無敗。「アジア最強」の呼び声も高く、優勝候補の1つだったのです。
そのイランが誇る鉄壁の守備をいきなり崩したのが、故障休養から復帰した大迫と、南野のコンビでした。0-0で迎えた後半11分、南野の左クロスに頭を合わせると、ボールはネットに突き刺さり、先制ゴール!
「僕がこけた時に相手の足が止まったのは分かりましたし、笛も鳴っていなかった。サコくん(大迫)がなかでしっかりと決めてくれたのでよかった」(南野)
この直前、イランのDFが南野を倒したと勘違いして足を止めるシーンがありましたが、その一瞬のスキを見逃さず、南野はクロスを放り込み、大迫はベストポジションに飛び込んだのです。アジア最高のGKと呼ばれるベイランバンドも反応できない、素晴らしいゴールでした。
さらに11分後の後半22分、南野の入れたクロスが、今度は相手DFの手に当たりPKに。これも大迫がしっかり決め、2-0。イランを意気消沈させてしまったのです。このPKゲットも、南野が大迫にパスを送ろうとした際の出来事で、やはりこのコンビ「半端ないって」。
さらに後半終了間際、MF原口がトドメの3点目。V奪回に、ついに王手を掛けたのです。
「(故障で)出場できない時間が続いていたので、チームのために点を取ろうと思っていた。ふがいない気持ちが強かったので、今日はプレーで示したかった」(大迫)
「サコくんが入って、やっぱり落ち着く場面があった。最前線で戦ってチームを引っ張ってくれるので、やりやすかったです」(南野)
今大会初戦のトルクメニスタン戦で2得点した代わりに、リーグ戦で負傷した臀部の痛みが再発した大迫。一時は歩くだけで痛みがある状態でしたが、リハビリを重ね、最も大事なところで戻って来たのです。大迫欠場後、決定機を逃がすことも多かった南野ですが、やはり息の合った“相方”が帰って来たのは大きく、的確な動きでイランを翻弄。
「まだまだ完成されたチームではなく未完成。成長しながら結果を出していこう、ということでやっているチーム」(森保監督)
大迫がゴールを決めた試合は、これで8勝2分けと、不敗神話は継続中です。いよいよV奪回まであと1勝。決勝の相手はカタール vs UAE戦の勝者ですが、29日夜に決まります。ちなみにUAEを率いるのは、元日本代表の指揮官だったザッケローニ監督。ザックも“古巣”との対戦を楽しみにしています。
「日本から応援してくれる人や、現地で応援してくれる人たちのためにも、ラスト1試合、勝って帰りたい」(南野)
注目の決勝は、日本時間2月1日の夜11時から。代表史上最強のコンビ、という声も挙がっている2人が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみでなりません。