サッカー日本代表・冨安 ゴールよりも無失点に抑えられたことのほうが嬉しい

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、21日のサッカーアジア杯で、貴重なゴールを決めた弱冠20歳の日本代表・冨安健洋選手のエピソードを取り上げる。

サッカー日本代表・冨安 ゴールよりも無失点に抑えられたことのほうが嬉しい

決勝トーナメント1回戦・日本-サウジアラビア。前半、先制ゴールを決めて祝福される冨安健洋(中央、シントトロイデン)=2019年1月21日、アラブ首長国連邦・シャルジャ 写真提供:時事通信

「久々ですし、あまりゴールを取れる選手じゃないので、喜び方もあまり分からなかった。本当に嬉しい」(試合後・冨安のコメント)

21日のサッカーアジア杯・決勝トーナメント1回戦・日本−サウジアラビア戦。ここからは一発勝負、アジア王者奪還のためには負けられない戦いが続きますが、サウジ戦は、相手に76.3%のボール支配率を許し、終始敵の攻撃にさらされる厳しい展開になりました。

そんななか前半20分、相手のマークを外して果敢に前へ飛び込み、決勝ゴールをもぎ取ったのが、身長188センチのDF・冨安健洋でした。MF・柴崎の左コーナーキックに合わせ、ヘディングでゴール左隅に突き刺したのです。

「追い込まれているときだったので、このCKで得点できればと思っていた」

冨安は、これがA代表初ゴール。代表6試合目、20歳2ヵ月での得点は、アジアカップ最年少記録となりました。ゴールを決めた瞬間、笑顔でチームメイトたちの方に駆け出すと、同学年のMF・堂安とハイタッチ。先輩たちには頭を叩かれて祝福されました。

しかし、喜んでばかりはいられません。得点を決めたあとは、CB(センターバック)としての働きに徹し、何度もクロスをはね返して、チームを1−0の完封勝ちに導いたのです。

「ゴールよりも、無失点に抑えることの方がこだわりが強いですし、今日はしっかりゼロに守ることができたので、そっちの方が嬉しい」

1998年11月生まれの冨安は、福岡出身。中学のときから地元・アビスパ福岡の下部組織に所属し、叩き上げで2016年、トップチームに昇格。この年、高2でJ1デビューを果たしました。日本代表では、CB・吉田麻也主将の後継者になれる存在と言われています。

サウジ戦でも、吉田との長身コンビで「壁」となって活躍。吉田は試合後、冨安について、

「素晴らしいと思います。よくゴールも取りましたし、守備でも集中力を切らさず最後までやり切った。正直驚いています」

と絶賛しました。2020年の東京オリンピックでは、五輪代表のストッパーとして大いに期待が懸かる選手です。

昨年1月、冨安はベルギー1部のシントトロイデンに移籍。このクラブの最高経営責任者(CEO)を務めるのは、日本人の立石敬之氏です。北九州市出身で、大分トリニータのコーチなどを経て、FC東京のゼネラルマネジャーに就任。長友佑都・武藤嘉紀、中島翔哉らの海外挑戦をバックアップしました。

その立石氏が、どうしてもベルギーでプレーさせたいと呼び寄せたのが、同じ福岡県出身の冨安だったのです。ベルギーリーグは、欧州の国内リーグのなかでも、若手が活躍できるリーグとして知られており、ステップアップにはまたとない環境。

移籍2シーズン目となる今季、冨安は公式戦全24試合にフル出場しており、レギュラーに定着。ドイツ・スペイン・プレミアリーグのクラブからも問い合わせが殺到しているそうです。

「(自分は)攻撃より守備で良さを出せる選手。まだ序盤でしたし、ゲームが終わるまではとにかく集中を切らさないことを意識していた」

ゴールを奪っても浮かれず、自分がやるべきことをやる……代表のなかでも、存在感が増していると評判の冨安。ベスト8に進出した日本の次戦は、中2日でベトナム戦ですが、これからの戦いは、20歳のCBがカギを握っているかもしれません。

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